高度プロフェッショナル制度ーー。
いわゆる残業ゼロ法案で、法律が定める労働時間規制から完全にはずす、という制度です。
内容を簡単におさらいしておきますと……、
- 対象は金融ディーラーや研究開発など、高度の専門職で、年収がおよそ1075万円以上の人
- 年間104日の休日を義務化する
- さらに、「1日の中で一定の休息時間を確保(インターバル制度)」「労働時間の上限設定」「2週間の休日」「臨時の健康診断の実施」のいずれかを選択する
といったものです。
つまり、
「一応年間104日は休日にするけど、あとはキミの好きな感じでヨロシク!うち(会社)としては、オーダーした業務をきちんとやってくれればオッケー!え? 健康は誰が管理するのかって? そりゃあ、キミ自身だよ。一応、インターバル制度か労働時間の上限選べるし、臨時の健康診断ってのもアリだからさ」
ってこと。
働く人は雇用者側が投げかける「自由」という「不自由」に、囚われることになってしまうのです。
といった書き方をすると「賛成派」の人たちから総スカンを食らうのですが、高プロ推進の根底にあるのは“ペイ・フォー・パフォーマンス”です。
ペイ・フォー・パフォーマンスというのであれば、そのパフォーマンスに見合ったペイを算出する方法の議論も欠かせないはずなのに、すべては企業任せです。国は「職務内容・達成度・報酬などを明確にした労使双方の契約」としていますが、それが達成できなかったときのペナルティーは、いったい誰が払うことになるのでしょうか?
働く人。そうです。立場が弱い働く人です。
“命”をすり減らして働き続けることでペナルティーを払うという選択を余儀なくされるのです。