年金受給者が働いたら年金はもらえない?真相をプロに聞いた結果

 

1.昭和29年6月16日生まれの男性(今は63歳)

何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!

この男性は61歳からもう老齢厚生年金(報酬比例部分)が100万円(月額83,333円)。65歳から老齢基礎年金70万円と経過的加算3,000円支給されるものとします。60歳定年後も標準報酬月額20万円で継続雇用中(60歳到達日までの賃金は38万円だった)。7月と12月に賞与をそれぞれ30万円支給されるものとします。70歳までの労働を考えている。

今現在の在職老齢年金はどうなっているのか。ちなみに在職老齢年金に使う年金は老齢厚生年金の報酬比例部分の年金のみ(厚生年金基金の報酬比例の代行分も含む)。まず、標準報酬月額20万円と直近1年間に貰った標準賞与額(30万円×2回=60万円)を12で割った額の合計額を出す。これを「総報酬月額相当額」という。

・総報酬月額相当額→標準報酬月額20万円+直近1年間に貰った標準賞与額を12で割った額5万円=25万円

年金月額(基本月額という)は83,333円。これらを用いて年金停止額を算出する。

・年金停止月額→{(総報酬月額相当額25万円+基本月額83,333円)-支給停止調整開始額28万円}÷2=26,667円

※注意

支給停止調整開始額28万円は平成16年改正で定められた額ですが、平成17年度以降から今までの物価や賃金の伸びに影響する。平成29年度も変わらず28万円だった。平成30年度も28万円に据え置き。

なお、65歳以上になると28万円が48万円(平成16年改正で定められた額)になって停止基準が緩和されるが、こちらも平成17年度以降からの物価や賃金の伸びに影響するため平成29年度現在は46万円に下がっている。平成30年度も46万円に据え置き。

つまり、今の老齢厚生年金(報酬比例部分)83,333円-停止額26,667円=56,666円の支給になるという事。

また、60歳到達時賃金(60歳前6ヶ月間の賃金を180で割って30倍した額)38万円に対して給与が75%未満に下がってるから(38万円の52.6%になっちゃった)、雇用保険から高年齢雇用継続給付金が支給される場合がある。高年齢雇用継続給付金の最大支給率は下がった賃金の15%まで(低下率が61%未満になった場合)。だからこの人であれば、実際の給与20万円×15%=30,000円支給という事。この給付金も支給されてるものとする。

この場合は更に年金が停止される。いくら停止されるかというと、標準報酬月額20万円×6%=12,000円

標準報酬月額とか標準賞与額とは何なのか?(参考記事)

※参考

6%停止というのは、給付金支給15%に対して約4割を年金から停止するという意味。6÷15=0.4になる。

よって、さっきの在職老齢年金56,666円-高年齢雇用継続給付金による停止12,000円=44,666円が実際の年金月支給額。

ここで、月の収入総額を出すと給与20万円+高年齢雇用継続給付金3万円+{老齢厚生年金(報酬比例部分)83,333円-在職により停止額26,667円-給付金貰ってる事による停止額12,000円}=274,666円となる。

では65歳以降も同じ給与と賞与の条件で働き続けたらどうなるのか。総報酬月額相当額25万円+年金月額(基本月額)83,333円<46万円となるため年金停止は無くなる

なお、65歳以上は老齢基礎年金経過的加算、または配偶者加給年金389,800円といった年金が支給されたりしますが在職老齢年金の計算には含めない。また、高年齢雇用継続給付金は65歳到達月分までしか支給しないから給付金による停止も無くなる。

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