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よく聞く「年金」前納割引制度。実際には、どれだけおトクなの?

「国民年金前納割引制度」がお得だということを知ってはいるものの、割引額や手続き方法がわからず利用していないという方も多いようです。今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんが、国民年金保険料の前納について、割引額からちょっと変わった前納方法まで、初心者にもわかりやすくレクチャーしています。

国民年金保険料をまとめて払って割引を受ける保険料前納申込みは原則として2月末までに

平成30年度の物価変動率が0.5%上がり、賃金変動率(名目手取り賃金変動率)が0.4%下がったことで年金額自体は前年度と据え置きとなりました。名目手取り賃金変動率というのは、下の厚生労働省のリンクを見てもらうとわかりますが、物価変動率0.5%×実質賃金変動率マイナス0.7%×可処分所得割合変化率マイナス0.2%=マイナス0.4%から構成されています。計算の仕方は1.005×0.993×0.998=0.996→マイナス0.4%(→0.996)というふうに見るといいです。

平成30年度年金額改定(厚生労働省)

年金給付は年金額改定のルールにより据え置きになりましたが、国民年金保険料は変動しています。平成29年度は月額16,490円でしたが、平成30年度は16,340円と150円下がりました。平成31年度も早々に決まり16,410円と平成30年度よりも70円アップしました。この辺の詳細はかなり長くなってしまったので、この保険料改定の詳細や歴史的背景や仕組みは有料メルマガでお話しします^^;。

さて、2月のこの時期というのは国民年金保険料をまとめて支払って、割引が受けられる前納の申し込みの時期なのでこちらでお知らせと気を付けるべき点を書きたいと思います。

2月28日までに一括で保険料を支払う前納の申込みというのを年金事務所や市役所でやれば、4月30日に一定の割引がされた保険料額をまとめて金融機関等に支払う事になります。年金事務所や市役所では支払えませんよ(笑)。

前納には1ヶ月前納半年前納1年前納2年前納があります(厚生労働省)。

平成30年度における国民年金保険料の前納額について

上の厚生労働省のリンク見てもらえればわかりますが、平成30年4月から平成30年9月までの半額前納は口座振替の場合は1,110円の割引(現金納付やクレジットは800円の割引)。平成30年4月から平成31年3月までの1年前納は口座振替の場合は4,110円の割引(現金納付やクレジットは3,480円の割引)。平成30年4月から平成32年3月までの2年前納は口座振替の場合15,650円の割引(現金納付やクレジットの場合は14,420円の割引)。

このように、まとめて国民年金保険料を納める事により単純に毎月納付(当月分の保険料を翌月末の支払期限までに納める)していくより割引されて安く納めることができます。ただし、2月末までにその申し込みをした上で4月30日に引き落とされます。なお、現金納付の場合は4月中に前納専用の納付書を発行してもらってそれを使って納めてもらえばいいです(30万円以上の場合はコンビニでは受け付けられないので注意)。

口座振替やクレジットカードによる2年前納は2月28日までに申し込む必要がありますが、現金納付の半年前納1年前納2年前納は4月中までに専用の納付書を発行してもらう事により前納が可能。1ヶ月前納(当月分の保険料を当月に支払う)以外は2月28日までに申し込む必要があります(新規や変更の場合!!)。前年度から引き続く人は再度の申し込みは不要

また、ここで気を付けたいのは、例えば口座振替の2年前納の場合は377,350円ですが、今まで前納をした事がなく新規で前納する場合は3月分の前年度(平成29年度)の割引無しの16,490円も合わせて口座から引き落としされるから、377,350円+16,490円=393,840円の引き落としになります。つまり、3月分(割引無し)と合わせて引き落としされるんです。1年前納や半年前納も同じく3月分が含まれる。

なぜかというと、普通の3月分の保険料の口座引き落としは翌月末である4月30日になるから。国民年金保険料は当月分は翌月末が納付期限ですよね。だから新規で前納の人は引き落とし残高に注意する必要がある。

納付書前納は普通に毎月支払う納付書で一括で支払っても割引にならないので、割引を受けたい場合はかならず前納用の納付書で支払って下さい^ ^。口座振替の場合、通知は口座引き落とし前1週間内くらいに通知が来ます。

なお、引き落とし時に保険料を引き落とせなかった場合は、自動的に毎月引き落としに変わりますので気をつけて下さい。これは、割引はありません。例えば1年前納にしたけど残高が足りなかったとか、なんらかの原因で引き落としができなかった場合は、次回1年前納の引き落とし(翌年4月末)がくるまでずっと割引無しの毎月引き落としです。つまり、4月分の保険料は5月末、5月分の保険料は6月末というふうにその月の分を翌月末に引き落とす割引の無い普通の引き落とし。

また、来年の4月末まで待てなくて途中、他の前納に変えることはできます。例えば口座振替の半年前納(今年10月から翌年3月分までの6ヶ月分)であれば8月末までに申し込む。

さらに、1ヶ月前納(その月の保険料をその月末までに支払う。口座振替のみで月50円割引有り)の人は例えば4月分の国民年金保険料であれば、4月30日に口座引き落としですが、1ヶ月前納で引き落としができなかった時は、次の月の末にもう一度口座引き落とし(再振替)が実行されます。つまり4月分が4月30日に引き落とせなかったら、4月分の国民年金保険料を5月31日にもう一度再振替。

よって、5月31日に4月分(割引無し16,340円)と5月分(割引有り16,290円)が引き落としされます(16,340円+16,290円=32,630円の2ヶ月分が5月31日に引き落としになるから5月31日の口座残高には注意)。この4月分に関しては割引のないものになります。もし、4月分を5月に再振替して、5月末にさらに引き落とし出来なかったら、4月分の国民年金保険料納付書が送られてくるので、それで納付という形になります。1ヶ月前納の場合はこの繰り返し。

余談ではありますが、国民年金保険料の「納付書」での前納ですが、これに関してはちょっと扱いが異なるので覚えていて欲しい事があります。6ヶ月前納やら1年前納についてはいろんなところで案内されますが、納付書での前納はそれだけに限った話ではありません。例えば今年8月中に納付書で前納したくなった場合、8月から来年3月までというふうに8ヶ月分前納というちょっと変わった前納をする事ができます。8月から翌年3月までだから、8ヶ月分の前納とかですね。つまり「任意の月から年度末まで前納し一定の割引を受ける事ができます。

現金納付による2年前納も例えば4月中に2年前納し忘れたけど、今年7月とかに急に平成32年3月分まで支払いたい!! …っていうなら平成30年7月から平成32年3月までの21ヶ月分を7月中に前納してその期間分の割引を受けるみたいな事もできます。割引額は年金事務所の国民年金課に聞いてください(笑)。納付書でそういった前納をするのも手ではあります。

前納の申し込みは市役所でできますが、納付書前納は市役所だと前納用の納付書発行までに数日かかる(市役所から年金事務所に発行依頼して納付書送付の形になるから)ので、もし月末ギリギリになった場合は年金事務所での発行を依頼しましょう。年金事務所なら即日発行できます。

※追記

前納していても、途中厚生年金に加入したり国民年金第3号被保険者となった場合はその月以降の保険料は還付となります。国民年金保険料の還付は自動ではなく、管轄の年金事務所から還付請求書が送られてくるので、それで振込口座を指定して還付を受けます。還付請求して、還付されるまで約2ヶ月はかかります。保険料還付は結構時間かかるんですよ…。

ちなみに、その年に支払った国民年金保険料(自分だけのではなく生計を一にする家族のを支払ったりした場合も)は所得控除である全額社会保険料控除に使えるから、年末調整に間に合わなかったら翌年の確定申告で税の清算をして下さい。税金の還付が発生するかもしれません。

また、60歳から65歳までは国民年金保険料任意加入も可能ですが、こちらも前納は可能。付加保険料とか保険料免除の残りの保険料を支払う一部免除の場合も前納可能。

image by: Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

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【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

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