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年内に第二次朝鮮戦争が勃発?プロがみた米国の開戦パターン

平昌五輪への出場を北朝鮮が決め、南北両国の関係性は「統一」に向けて一歩進んだようにも見えます。そんな中、アメリカは北朝鮮への限定的な先制攻撃を意味する「鼻血作戦」を検討していると表明。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者の北野幸伯さんがその作戦の詳しい内容を解説するとともに、過去のアメリカの開戦パターンから見える今後の動きについて分析しています。

アメリカ、北朝鮮に「鼻血作戦」???????

北朝鮮核問題ですが、五輪のおかげで「緊張緩和」状態。

五輪後、韓国は、中国、ロシア、北朝鮮の「対話派」に取り込まれたままになる? そして、北朝鮮の核は「事実上の容認状態」になる?

こんな事態を恐れている人は、たくさんいることでしょう。何となく最近は、トランプさんもペンスさんも対話派になってきているような。

アメリカで依然として強い「強硬派」

夕刊フジ2月17日付は、「いや、そんなことはない! アメリカは変わっていない」という主旨の記事を掲載しています。見てみましょう。

ドナルド・トランプ米政権で、北朝鮮への強硬発言が相次いでいる。平昌(ピョンチャン)冬季五輪を利用した「微笑外交」で、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権を骨抜きにし、「核・ミサイル開発」の時間稼ぎを続けているからだ。北朝鮮の核保有を断固容認できないトランプ政権が、限定的な先制攻撃を意味する「鼻血(bloody nose)作戦」を検討しているとの報道もある。

「北朝鮮への強硬発言が相次いでいる」そうです。あんまり聞こえてこない気がしますが。アメリカは、「限定的な先制攻撃鼻血作戦」を検討中だそうです。ネーミングが何とも言えません。

「彼らが核開発をやめるまで、トランプ政権の北朝鮮政策は何の変更もない」「米国には、北朝鮮の『核・ミサイルの脅威』に対処可能な軍事的選択肢がある」

 

マイク・ペンス副大統領は14日、米ニュースサイト「アクシオス」のインタビューで、こう述べた。米紙ワシントン・ポストは12日付で「ペンス氏が『(北朝鮮が)対話を望めば、話をするだろう』と話した」と報じた。だが、アクシオスのインタビューで、ペンス氏は「対話は交渉ではない」といい、北朝鮮が核放棄しない限り、実質的交渉はしない考えを明確にした。

軍事的選択肢がある」そうです。そして、「対話」と「交渉」は違うと。「対話」とは、「話をすること」。「交渉」は、「アメリカと北朝鮮がこれからどういう環境で共存していくのか決めるための話し合い」という感じでしょうか? アメリカ側の条件は、おそらく、

という感じでしょう。北の条件は、おそらく、

でしょう。北が核放棄に応じるとは思えません。というのも、金は、「核開発を放棄したカダフィは、結局殺された」ことを知っているからです。

13日の米上院特別委員会の公聴会では、トランプ政権幹部から、北朝鮮に対する厳しい発言が相次いだ。ダン・コーツ国家情報長官は、北朝鮮の脅威に対し、米国が行動を取ることができる時間は残り少なくなっているとして、「決断の時が、かつてないほど迫っている」と語った。コーツ氏は、北朝鮮が今年も弾道ミサイル発射を複数回強行するだろうとも予測した。

(同上)

「北朝鮮の脅威に対し、米国が行動を取ることができる時間は残り少なくなっている」
「決断の時が、かつてないほど迫っている」

これは、何でしょうか? 金正恩は今年1月1日、「米本土を核攻撃できるICBMを実戦配備した」と宣言しました。しかし、アメリカ情報機関、国防総省は、「これは、ウソだ! 北は、まだアメリカ本土を核攻撃できない」と判断している。一方で、「年内には可能になる」と分析している。

つまり、今すぐ戦争を開始すれば、少なくとも米本土は無傷で済む。来年になると、北は「(たとえば)ワシントン、ニューヨークを核攻撃できるようになる」。それで、「戦争は始められなくなる」と。つまり、戦争が始まるとすれば、「年内」ということですね。

マイク・ポンペオCIA(中央情報局)長官も、核兵器保有を目指す北朝鮮の姿勢に「変化の兆しはまったくない」と述べた。ポンペオ氏は、米軍が北朝鮮への限定攻撃に踏み切った場合に想定される反撃などについて「分析済み」と語ったが、詳細は明らかにしなかった。

(同上)

CIAは、アメリカ軍が限定攻撃したら、北はどう反撃してくるか、シュミレーションしていると。

北朝鮮への限定先制攻撃として、トランプ政権が検討していると米国や韓国メディアで報じられているのが、前出の「鼻血作戦」だ。トランプ政権としては、これ以上、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮の暴走を放置できない。まず、顔面に一発パンチをお見舞いして、米国の怒りを見せつける-というものだ。巡航ミサイルや航空戦力で、核・ミサイル関連施設を攻撃する作戦とみられている。

(同上)

鼻血作戦」は、巡行ミサイルや空爆でミサイル関連施設を攻撃する作戦だそうです。ありがちですね。

ただ、北朝鮮がこれを静観するとは思えない。北朝鮮の政府機関紙「民主朝鮮」は14日付の論評で、「いったん、『鼻血作戦』が始まれば、それは即時、米本土の終焉(しゅうえん)につながる自滅作戦で終わるということを、トランプ一味は覚悟すべきだ」と威嚇した。限定攻撃が、大規模な軍事衝突に発展する可能性はある。

(同上)

アメリカ側は、「顔面を一発殴って鼻血を出させる。短期で終わらせれば、北は大規模な反撃をしないだろう」と読んでいる。しかし、北は、「少しでも攻撃すればアメリカ本土を終わらせる核攻撃する?と警告しています。

アメリカは、北朝鮮の大規模な反撃を望む???

少し、トランプさんの気持ちになって考えてみましょう。金正恩のような、アメリカから見るとクレイジーな指導者が、アメリカ本土を核攻撃できる能力を持つ。これは、本当の脅威ですね。何としても、阻止したい。ここまではわかります。

では、なぜアフガン、イラク、リビアを攻めたように、サクッと戦争を開始しないのでしょうか? 「アメリカが攻撃されるから」ではありません。「韓国が攻撃されるから」です。通常兵器の戦いであれば、大した脅威ではないでしょう。しかし、北は韓国に対し、「化学兵器」を使わないでしょうか? わかりませんが、金のこれまでの言動を見ると、「たぶん使うよね」と思います。

金がいよいよ追いつめられ、「もはやこれまで」と感じた時、彼は、「韓国の民を地獄に道連れにしよう」と考え、「」を使わないでしょうか? わかりませんが、「使うかもしれない」と思います。

結局、トランプが決断できないのは、「アメリカ本土が危険にさらされる」からではなく、「韓国で大量の犠牲者が出るから」なのです(少なくとも現時点では)。「トランプの決断で100万人死んだと言われたくない

しかし、北朝鮮は、リアルな脅威。放置しておけば、年内に「ワシントン、NYを核攻撃できる能力」を得てしまう。それで、北の核施設を、ミサイル攻撃したり、空爆したりする。北が全面的に反撃してくれば、「クレイジーな金正恩が戦争を始めやがった!」と宣言し、大義名分を得て本格的な戦争を開始できる???

これはもちろん私の想像ですが、アメリカの過去の開戦パターンは、いつもそんな感じでした。

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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