明日会社が無くなったら、あなたはどうにもできず途方に暮れますか? それとも、今のスキルあれば何とかなると考えるタイプですか? 今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』では著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さんが、倒産や独立と縁がない人でも持つべき「プロ意識」について記しています。
明日会社が無くなっても
「自分には起業なんて無理だし、長年この会社でやってきたので、今さら違う職場なんて考えられない」
以前、クライアント先の営業部長がそんなことを口にしていました。こうした言葉が口を衝いて出てくるというのは、
- それまでに培ってきたものに自信がないのかどうなのか
- 退職までの残された時間さえ無難に過ごせたらいい
- 長年お世話になった会社を裏切れない
どういう考えなのか、真意は定かではありません。いずれにしろ、部長や課長などの管理職であったり指導する立場にいる人間がこうした志向でいる会社の業績はあまり良くないか右肩下がりになっていく、というのが現実です。別に何か新しいことをはじめたり、起業しなきゃいけない、転職しなければならない、ということではなく、会社に活気が生まれてこないのです。
万が一、明日、会社が突然倒産したとしても、「自分のやってきたことを信じて食うに困らないくらい仕事はできる」というくらい強い信念を持って励んでいる人ほどプロ意識があり、そのことを自覚しています。そうした強い意思が、人を育て会社を発展させているので、会社に活気が生まれます。
例えば、その会社一筋30年の営業部長AさんとBさんがいたとします。AさんもBさんも真面目で一生懸命会社の為に尽くしてきました。あと退職まで10年というとき、Aさんは「よし、これまで自分がこの会社で培ってきたものを部下や後輩に伝えていこう。それが残された時間の中での最後の仕事だ」と考えます。一方、Bさんは「もうこれまで十分やってきた。後は若い人たちに任せてゆっくりさせてもらおう」と、無難に過ごすことを考えます。
別にどちらが良い悪いではなく、人が育ち会社がその後も発展していくのはAさんのような人間が部長や課長でいる会社である、ということは明白ですよね。Bさんのように「これまで散々尽くしてきたんだから」と自分のことが先にくる人が部長の場合、部下や後輩の成長も、会社の発展も止まってしまうのです。そして、そんなBさんを見て育った人間が次に部長になっても同じようなことになっていきます。つまり、上に立つ人の1人の意思や姿勢によって会社の成長や発展に大きく変化が伴うということです。
「もう自分は十分やった。後はゆっくりさせてもらうよ」などといって、ほんとにゆっくり過ごすだけの人に魅力は感じませんので、誰もついていきません。そんな上司を見てきた人間は「あっ、それでいいんだ」と勘違いすることもあります。
ですが、「もう十分にやった。後はゆっくりさせてもらうよ」と言いながらも「これまで培ったものを部下や後輩へ伝えていくのが最後の仕事」「たとえ明日会社が潰れても、困らない。自分にはそれだけ培ってきたものがあるから」という姿勢で残り10年を過ごしていく人は、いつまでも周りから慕われ、必要とされ、信頼されます。
現在は、数年先、1年先、1カ月先に何があるか分からないものです。出社してみたら、会社がなくなっていた、明日から突然子会社へ出向、なんてことももしかしたらあるかも知れません。あるいは、長年頼りにしていた大口の顧客から突然、契約を打ち切られるということもあるかも知れません。そうした時にこそ、
- それまで自分は何を培ってきたのか?
- そして、それを自覚しているかどうか?
が大事なのです。長年同じ会社に勤めていれば、その会社での仕事は出来ます。長年取引して下さった会社との仕事は出来ます。ですが、それらの仕事を突然離れることになっても、次の仕事にそれまでの経験を活かせるかどうか? それまでの経験が他から必要とされるかどうか? そんなことがとても重要なのです。
■今日のまとめ
『突然今の仕事(会社)が無くなっても、必要とされること。』
- もし今の仕事(会社)が明日無くなったとき、それまでの仕事を通じて自分に何ができるか? 考えノートに書きだしてみる。
- もし突然、今の仕事(会社)を失っても「自分はこれだけのことをしてきたから大丈夫」と胸を張って言えるか自問自答してみる。もし胸を張って言えない場合、今日からどのように取り組めば胸を張って言えるようになれるか? 考え実際に取り組む。
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