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【書評】文書改ざんだけじゃない。国民を欺く財務省の嘘を暴く

森友学園を巡る決裁書の書き換えを認め猛批判を浴びている財務省ですが、国民への「背信行為」は今回に限ったことではないようです。無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが取り上げているのは、一人の経済評論家が同省からの「報復」を覚悟で著した一冊。本文中、財務省が喧伝する「ウソ」が明らかにされています。


財務省が日本を滅ぼす
三橋貴明・著 小学館

三橋貴明『財務省が日本を滅ぼす』を読んだ。著者はこの本の末尾に「財務省から『国税庁を飛ばされる』覚悟を決めた上で、日本国民に正しい情報を提供するべく、本書の執筆を思い立った。(略)財務省の警察力である国税庁から容赦ない攻撃を受けたとしても、本書に書かれたことは全て真実であることを断言し、筆をおくことにしよう。2017年10月」とある。

省庁中の省庁。日本一の天才集団。これが財務省の別名である。超エリート集団が日本を歪んだ方向に導いているという。国の借金は1,000兆円超、国民一人あたり800万円の借金、このままでは破綻する、とか大いに国民の不安を煽り立てているが、これは本当だろうか。じつは虚偽の財政プロパガンダなのだ。

財務省は1990年代中盤から緊縮財政路線を突っ走る。それにより、日本のデフレ脱却が妨げられ、国民の貧困化、国力の衰退を促進している。そして制度を破壊し、国の形すら変貌させてしまうグローバル路線政府の権限を弱体化させ、規制を緩和もしくは撤廃し、最終的には『小さな政府』を目指すべきという考え方)を正当化させた。それはまさしく、日本の“発展途上国化”である。

著者は以前、テレビ番組で「日本国債は100%自国通貨建てであり、子会社の日本銀行が買い取れば政府の実質的な負債は消滅するため、財政破綻などありえない」と語ったが、その部分は編集でカットされた。財務省にとって最も不都合なのは、この事実が広まることだ。その後、著者は妻への傷害容疑で逮捕された。財務省に仕返しされたのかなと、陰謀論好きなわたしは勘ぐる。

財務省は自らの記者クラブ「財政研究会」を通し、マスコミをコントロールする。緊縮財政至上主義の論客を次々と新聞やテレビに送り出し、結果として日本国民は偽情報で洗脳されていく。国民が貧困化している中、御用学者に世迷い言を垂れ流しさせ、次なる増税の場を整えようとするのが財務省のやり口だ。

財務省は「社会保障を抑制しないと日本経済が破局を迎える」というプロパガンダを拡散し、御用学者を広告塔に使い、デフレ下の緊縮財政を継続している。社会保障費という需要を削減した結果、日本はデフレ脱却を果たせず、GDP成長をとり戻せず、財政悪化も続く。GDPが拡大しない限り財政は健全化しない。

財務省のご機嫌を損なうと、自省の予算を減らされる財務省の権力に逆らい得る官庁はない。政治家、マスコミも同様である。財務省の緊縮財政に反対すると、国税庁という警察力=伝家の宝刀を抜かれるからだ。これが日本を滅ぼす緊縮財政の本質なのだ。財務省を上回る権力を与えられているのが国会議員であるが、頭脳の出来が違う。やがて緊縮財政至上主義に染められてしまう。

財務省では緊縮財政派が出世し、次なる緊縮財政派に権力を引き継ぐ形で「緊縮財政派の再生産」が続いている。財務省は国益より省益、前例踏襲主義を頑なに守っている。官僚の生きる目的は「出世」だそうだ。いま国会では財務省が大問題になっている。政権の責任だとは思わないがよく分らない。野党がズル休みしてるのはよく分かる。財務省解体がベストなのかもしれない。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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