新人研修が思ったように上手くいかないと悩んでいる教育担当の方はいらっしゃいませんか? 問題はその進め方にあるのかもしれません。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、かの山本五十六氏の名言を引きながら、効果の上がる研修方法について考察しています。
教育の順序
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
かの山本五十六司令長官の、有名すぎるほどに有名な言葉です。皆様もどこかで聞いたことのある言葉ではないでしょうか。人を動かすため、育てるためのやり方やあり方を考えさせられるものですよね。
この言葉、実は、私自身が研修などで人材育成に携わる時に、かなり意識をしている言葉です。というか、意識をしていないと、教育の順序を間違えてしまう恐れがあります。そうなると、やっぱり人は動かないのです。
例えば、「接客の練習をやってみましょう」という研修があるとします。で、実際に接客の練習をしてもらうのですが、いきなり新人さんに練習をさせようとしても、やり方もよくわからず、自信も無いので、動くことができません。そのため練習の質も低いですし、無駄に時間ばかりがかかってしまい、良い研修にはならないわけです。
でも最初に、先輩や私などが接客をしている様子を見せ、やり方を説明してから、実際にやってもらうと、何となくながらもやり方がわかるので、練習の質も高くなります。最初に動きや話し方を見せて、詳しく説明をした上でやらせてみると、案外すんなりできてしまったりするのです。
しかし、このことを忘れてしまいがちなのが、教育者です。
「まぁ何でもいいからとりあえずやってみてよ」
「失敗してもいいから一回やってみてよ」
とだけ伝えて、店頭に放り投げてしまうお店は案外少なくありませんが、これではやらされる側のスタッフは動くことができません。やり方もよくわからない、誰かの動きを見たわけでも、説明をきちんと受けたわけでもないのに、行動なんてできるわけがないのです。
ひどい場合だと、そんな状況になっているのに、
「何で動かないんだ!」
「どうして声もかけられないんだ!」
なんて叱ってしまう人もいます。そりゃ、次の日から出勤してこないなんてことになっても、仕方のない話です。わからない人に、わからないままやらせても成果は出しようがありません。まずは実際に見せて、説明して、そこから動いてもらう。そんな教育の順序を忘れないようにしたいですね。
ちなみに、山本五十六司令長官の言葉には、冒頭に紹介した後の続きもあるので、気になる方はぜひ調べてみてください。
今日のおさらいです。
- 人を育てる時には、いきなりやらせるのではなく、まずは見せて聞かせてから。
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