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テスラの決算会見が大荒れ、イーロン・マスクが腹を立て会見中断

異次元の発想力と実行力で話題を提供し続けているテスラCEOのイーロン・マスク氏の決算発表会での言動が、米国でニュースになっているようです。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、著者でアメリカ在住の世界的エンジニア・中島聡さんがその様子を報じる記事を取り上げ、マスク氏が取った「前代未聞の行動」とそこで語られた「テスラが近い未来に可能にするサービス」を紹介しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2018年5月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじまさとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私の目に止まった記事

Tesla CEO Elon Musk Ducks Analysts Questions. Stock Drops $15 In After-Hours Trading.

先週、テスラの3月期の決算の発表会で、イーロン・マスクが前代未聞の行動を起こし大変な騒ぎになっています。

会社からの決算発表の後、アナリストからの質問のコーナーがあったのですが、テスラの株が乱高下していることを批判したアナリストには、「それが嫌なら株を持たなければ良い」と突き放すような返事をしたあたりから、少しただならぬ空気が漂っていました。

そして、モデル3の量産体制に必要な設備投資や、予約状況に関する細かな質問が続いた結果、明らかにイラついた様子のイーロン・マスクが質問を「つまらないと途中で遮りユーチューバーからの質問に切り替えたのです。

さらに、最初に一人あたり質問は二つまでと指定しておいたにも関わらず、このユーチューバーからの性能やビジョンについての質問に気を良くしたイーロン・マスクが質問を続けさせたのです。

この掟破りの行動に、テスラのファン(テスラの個人株主の多くは、テスラ車のオーナーであり、かつ、イーロン・マスクのファンです)たちは大喜びですが、アナリストや機関投資家達は「株主を代表して質問しているアナリストをバカにしている」と憤慨しており、その結果として、テスラの株は(決算結果が予想よりも良かったにも関わらず)15ドルも下げることになりました。

テスラの株は、莫大な赤字を垂れ流しているにも関わらず、フォードを超える株価総額500億ドルという高値で取引されていますが、これは、テスラ車を購入して大満足している消費者が買い上げているためで、一株利益やキャッシュフローなど、通常の株の評価基準が当てはまらない株になってしまっています。

その上、モデル3の量産が予定通りに立ち上がっていないため、このままだと現金が足りなくなる可能性もあります。消費者がいかに満足していようと、CEOにビジョンがあろうと、資金繰りが悪くなれば会社は潰れてしまうので、アナリスト達から見れば、非常にハイリスク・ハイリターンな株なのです。

だからこそ、アナリスト達は、今後の設備投資の必要性を詳しく知りたいし、モデル3を予約していた消費者が実際に購入しているのかどうかを知りたいのです。その意味では、イーロン・マスクの行動は「大人気なかった」とも言えますが、そんな欠点までもが、彼をカリスマ経営者として際立たせている面もあり、とても面白いことになっています。

Elon Musk offers more detail about Tesla’s ridesharing network

上に書いたテスラの決算発表会において、ユーチューバーがテスラのライドシェアリング・サービスの計画について説明したところ、イーロン・マスクが喜んでそれに答えたという報道です。

イーロン・マスクによると、テスラの自動運転技術は2019年の末にはそれをするのに必要なレベルに達するし、それは市場にあるテスラ車で実現される(ただしコンピュータのアップグレードは必要な場合がある)とのことです。テスラが実際にライドシェアリング・サービス(Uber/LyftとAirbnbを合わせたようなサービス)を提供するのは、法整備も含めて、さらにその先になるとの予想です。

そのサービスが始まると、テスラ車のオーナーは、使っていない時に自分の車に(ロボットタクシーとして)仕事をさせる(つまり、稼いでもらう)ことが出来るようになります。

イーロン・マスクは、その「そんなサービスが一般的になる時代は必ず来る。テスラは、そんなサービスを提供する会社として、とても良いポジションにいる」と宣言しましたが、この「そんなサービスが一般的になる時代が来る」みたいな言い方が、いかにもビジョナリーであり、そこに惚れてしまう人たちがたくさんいるのです。

New survey finds 75% of enterprise employees with choice pick iOS over Android, 72% Mac over PC

仕事で使うパソコンやタブレットのブランドを社員が自分で選べるようにしている会社がありますが、その場合、パソコンであればMacを選ぶ人が72%、携帯電話はタブレットの場合は、iPhone/iPadを選ぶ人が75%もいるという調査結果が公開された、という報道です。

私の会社(Xevo Inc.)でもパソコンは自分で選ばせていますが、エンジニアの大半(9割以上)はMac(MacBook)を選びます。事務系の人にはWindowsを選ぶ人がまだいますが、それは特定のアプリがWindows上でしか動かないからだそうです。

Jeff Bezos reveals what it’s like to build an empire and become the richest man in the world

ビジネス・インサイダーによるジェフ・ベゾス(アマゾンのCEO)のインタビューですが、厳しい質問もあるのにとても自然体で答えている姿勢が素晴らしいと思います。ちょっと長いですが、英語の聞き取りの勉強にもなると思います。

競争相手のことばかり見ずに顧客を見ろ」というのはベゾスがしばしば繰り返す言葉ですが、とても重要だと思います。よほど成熟した市場でもない限り、競争相手の後を追いかけてもイノベーションは起こりません。顧客が何を必要としているかそこをとことん追求してこそ、価値のあるビジネスが作れるというメッセージは、ベゾスの口から出ると、とても説得力があります。

アマゾンが大きすぎて強すぎることに関して、不当な競争をしているとか、分割すべきなどの意見があることに対しては、「会社がある程度以上の大きさになれば、そんな声が上がるのは当然政府がいろいろと調べるのも当たり前」と平然と答えているところも、潔くて良いと思いました。

 

中島聡氏イベント情報】
5月13日(日)13:00~
青山学院大学 青山キャンパス「シンギュラリティ研究所講演会」に中島聡さんが登壇します。詳しくはこちら
講演タイトル『シンギュラリティと自動運転社会』講師:中島聡氏
受講料:7,000円 受講料+懇親会:10,000円

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