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山全体が信仰の対象。天狗が仰ぐそよ風を感じに「鞍馬山」の旅へ

突然ですが、今からおよそ650年前、金星から「天狗」が降ってきたといわれる場所をご存知でしょうか。それが無料メルマガ『おもしろい京都案内』の著者・英学(はなぶさ がく)さんが今回紹介している「鞍馬山」です。山全体が信仰の対象だという鞍馬山を、牛若丸も修行した時代の空気を感じながら散策してみてはいかがでしょうか。

鞍馬天狗

牛若丸の修行の地として知られる「鞍馬山」は、650年前に「天狗が金星から降ってきた場所と言われています。その鞍馬山を境内に持つ鞍馬寺の魅力をご紹介します。

出町柳駅から叡山えいざん電車で約30分、終点「鞍馬駅」で降ります。改札を出ると左側に鼻の長い巨大な天狗が出迎えてくれます。昨年1月の大雪で鼻が折れてしまい、一時痛々しい姿になっていましたが復活しました。痛々しい姿を見たことがある人は貴重な存在かも知れません。ただいま治療中って絆創膏が貼ってあったんですよ(笑)。

さて、鞍馬駅で下車し、木の芽煮(きのめだき)のいい匂いが漂うお土産やさんを抜けるとすぐ山門があります。駅から歩いてすぐです。木の芽煮は鞍馬名物で、昆布のうま味と山椒の風味を生かして細かく刻んだつくだ煮です。

鞍馬寺の山門は仁王門で、ここが俗界から浄域への結界です。山全体が境内となります。仁王像は、鎌倉時代を代表する仏師、湛慶(たんけい)の作と伝えられています。奈良東大寺の大仏を造った仏師・運慶と快慶は有名ですが、湛慶は運慶の長男で、運慶や快慶に並ぶ名仏師です。暫くすると由岐ゆき神社があります。わり拝殿という左右二つに分かれて中央に通路のある拝殿を下からくぐるように通ります。室町時代を代表する建築様式で秀吉の息子・豊臣秀頼が再建したものと伝わります。

鞍馬山は山全てが信仰の対象なので、参拝の際は是非自分の足で登ることをお勧めします。体力に自信がない方には、日本一短いケーブルカーに乗って山頂まで行きましょう。これもまた貴重な体験です。「鞍馬山ケーブルカー」は、宗教法人が非営利で営業しているので運賃はないのですが、お礼として200円寄進することになっています。日本一短いケーブルカーの正式名称は「鞍馬山鋼索鉄道(くらまやまこうさくてつどう)」といいます。全長207メートル、山門駅から約2分で多宝塔駅に到着します。鞍馬寺が運営しているので、乗務員は作務衣姿です。

山頂に着いてケーブルカーを降りると、だらだらとした緩い坂道と155段の石段を上ることになります。ケーブルカーが本殿直結ではないのは、少しは山歩きをしてもらいたいからだそうです。ほんの少しの山歩きをゆっくり堪能しで下さい。

本殿金堂前は、清水の舞台のようになっています。そこからは比叡山がきれいに見渡せる絶景のスポットです。

本殿金堂には千手観音菩薩(慈愛の象徴)、毘沙門天王(光の象徴)、語法魔王尊(大地の霊王で活力の象徴)の三尊尊天がお祀りされています。そして本殿金堂の前に広がる舞台が最強のパワースポット、「金剛床(こんごうしょう)」と言います。

真ん中にある六芒星の中心に立って両手を大きく広げ空を見上げてみて下さい。大自然と、宇宙と一体化するのを感じて下さい。エネルギーが充電されている感覚を覚えるでしょう。

鞍馬寺では、狛犬ではなく「阿吽の虎(あうんのとら)」がお出迎えしてくれます。虎は本尊の一つ毘沙門天の使いといわれる神獣で、鞍馬寺では特に大切にされています。これも見逃さずに見てくださいね。

本殿金堂からしばらく山道を登ると、「霊宝殿(れいほうでん)」が見えてきます。その向かいにひっそりと建っているのが、与謝野晶子の書斎「冬柏亭(とうはくてい)」です。東京の屋敷のなかにあったもので、昭和51年に鞍馬山に移築されました。文学が好きな方は見逃せませんね。鞍馬を何度も訪れた与謝野晶子は、多くの歌を残しており、霊宝殿前には歌碑も建てられています。

文学でいうと清少納言が「枕草子」で「近うて遠きもの、鞍馬のつづら折りという道」と書いています。「九十九折参道」は鞍馬駅近くの仁王門から本尊が安置されている金堂まで歩いて登る山道です。険しい鞍馬山を登るその道は左右に大きく蛇行した道でケーブルカーなら2分の道のりは、1時間くらいかかります。

ハイキングが好きな方なら、「木の根道」を通って鞍馬寺から貴船神社まで抜けてみると充実感ありますよ。ゆっくり約3時間くらいです。足に自信のある方は是非挑戦してみて下さい。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: 京都フリー写真素材集

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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