IBMの二の舞か。トヨタのソフトバンク提携で感じた「一抹の不安」

nakajima20181009
 

10月4日の記者会見で発表され、世間を驚愕させたトヨタ自動車とソフトバンクの提携。Uber等の登場で自動車業界を取り巻く環境は大きく変わろうとしていますが、トヨタはその荒波をソフトバンクと手を組むことで乗り切ることができるのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では著者で世界的エンジニアの中島聡さんが、この提携を「IBMとMicrosoftの提携によく似ている」としてその理由を記すとともに、トヨタはソフトバンクに一番美味しいところを持っていかれることになりかねないと危惧しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2018年10月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじまさとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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トヨタ自動車がソフトバンクを選んだ「必然」

先週、トヨタ自動車がソフトバンクとモビリティサービスの合弁会社を設立するという発表をし、大きな話題になりました。この件に関しては、私自身も友山副社長とは何度もお会いしており、ソフトウェアの重要性、そして、持つ時代から必要に応じて使う時代へのシフトに備えない限りは、自動車はコモディティ化するという話は、何度も熱く語り合って来ました。

ソフトバンクと組むというのは私にとっても意外でしたが、一番の理由は、やはりソフトバンクがUberやDiDiなどのライドシェアリング・ベンチャーに大きく投資していることもあり、彼らに対するソフトバンクの影響力に期待したのだと思います。

しかし、たとえこんな座組みでソフトバンクと組んだところで、ハードウェアのコモディティ化は避けられないと私は思います。力を入れるべきは自動運転やライドシェアリングのソフトウェアでありモビリティ・サービスそのものです。

ソフトバンクと組んだものの、重要なソフトウェアとサービスはソフトバンクに開発してもらい、顧客に対するモビリティ・サービスはUberが提供するのでは、ハードウェア(自動車)は付加価値が低い、誰もが作れる製品になってしまうことは確実です。

その意味では、今回の提携は、80年代のIBMとMicrosoftの提携によく似ていると思います。パソコンというこれまでとは全く違うコンピュータが出て来たときに、IBMは自分でOSを作らずにMicrosoftに任せてしまったのです。結果として、パソコンは世界中に普及し、Microsoftの企業価値は大きく上昇しましたが、ハードウェアはコモディティ化し、最終的にはIBMはパソコン事業から撤退しました。

この提携が同じような顛末を迎えるとは限りませんが、気をつけないと「ソフトバンクに一番美味しいところを持っていかれる」ことになりかねないと私は思います。

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