伝説のプログラマー直伝。仕事が奪われるAI時代を生き抜く方法

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「このままじゃAIに仕事を奪われる、大変だ!」こんな煽り文句すら使い古された感のある昨今ですが、「じゃあ、何をすればAIに対抗できるの?」という質問の答えは見つかっていないのが現状です。そんなAI時代を生き抜くためのヒントになるのが、メルマガ『週刊 Life is Beautiful』の著者で、伝説のプログラマー・中島聡さんの書いた『結局、人生はアウトプットで決まる』という一冊。中島さんが語る、AIに対抗するための具体的なアイデアと実践法は「目からウロコ」です。

伝説のプログラマー・中島聡が説く、自分の価値を最大化しAIが職を奪う「大失業時代」を生き抜く方法

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結局、人生はアウトプットで決まる』(中島聡・著/実務教育出版・刊)

ある報道によると15年後には、今ある仕事のうち約5割が消滅するという。AI(人工知能)が私たちの仕事を次々と奪ってしまうのだ。各報道や研究所ごとにその数字がバラつくものの、確実に言えることがある。

将来、かなり高い確率で世界中の人々が職を失う「大失業時代」がくる。それも「失われた10年」とは比べものにならない規模で。

もはや働くことを許された「猶予期間」と表現しても過言ではない、残り少ない時間の中で私たちは何をすべきだろう。どうすれば今後も働き続けられるのか

結局、人生はアウトプットで決まる』(中島聡/実務教育出版)は、「読む」「聞く」「体験する」ことによるインプットと、「書く」「話す」「行動する」ことによるアウトプットを繰り返すことで、AIに負けない自分の価値を作り出す本だ。著者は、「Windows95」の開発に関わった「伝説のプログラマー」であり、弊誌で人気有料メルマガ『週刊 Life is Beautiful』を発行する中島聡さん。

中島さんは本書で「自分の価値を最大化AIが職を奪う時代を生き抜く方法」を説いている。その一部をほんの少しだけご紹介したい。

アウトプットこそが大失業時代を生き抜く手段になる

「伝説のプログラマー」として業界に知らぬ者はいない中島さんだが、この知名度を得るきっかけは「ブログ」だったそうだ。はじめは家族に向けた他愛のない内容を書き連ねていたのだが、ある日プログラミングのことが書きたくなり、「日本語とオブジェクト指向」というタイトルの記事をアップした。

これがエンジニアの間で大評判になり、中島さんの記事が人気を集め始める。その結果、Windows95のアーキテクトをはじめとする様々な経歴が巷で話題になり、やがてビジネスやメディアで引っ張りだこになった。

何を述べたいかというと、裏を返せば、ブログを始めていなければ現在の中島さんはなかったかもしれない。世の中には素晴らしい技術や経歴を持つ人がたくさんいるが、その多くは世間に知られていない。世界中で評価されるトヨタの高級車「レクサス」を知っていても、その生みの親の名前は知らないように、「地上の星」にあたる人は数多く存在する。

中島さんが行ったように、私たちも自分の存在を世に発信しなければならない。有象無象に埋もれてしまっては、いずれAIに取って代わられる

つまり自分自身の価値を発信するアウトプットこそが、大失業時代に生き抜く手段の1つなのだ。そして現代において効果的かつ効率よくアウトプットできる方法こそ、「書くことだ。

今やTwitterやFacebookなどのSNS、「アメブロ」などのブログ発信サイトというように、自身を世界中に発信するツールが山のようにある。そこでアウトプットを続けると、その人の名前や経歴を知ってもらう「パーソナルブランディング」につながり、個人の信用が高まる。この個人の信用こそが、転職したりや企業資金を集めたりする際に大きな武器になる、なによりもかえがたい価値になるのだ。

「でも、何を書けばいいの?」「発信するだけの価値なんて自分にはない…」。そう悩む人もいるだろう。

中島さんは本書の半分以上のページを割いて、「書くことの極意を伝えている。最も基本的な「文章を書くコツ」「書き続ける方法」「テーマ決め」に始まり、アウトプットこそ最強のインプットであること、深い情報性を込めたAIに負けない文章を書く秘訣など、本書の裏テーマに「文章術の向上」があるのではないかと感じてしまう。

アウトプットに自信がない人も、盲目的に本書を手に取ればなんとかなるはずだ。その極意をいくつかご紹介するべきだろうが、本稿ではこのことにも触れる必要がある。世界的大企業の超一流CEOが実践するアウトプット、「話す」ことだ。

世界的大企業の超一流CEOが実践するアウトプット「話す」こと

企業が傾いてしまう理由の1つに、コミュニケーション不足がある。本来企業は、経営者のビジョンに共感するスタッフが集まり、創意工夫してビジネスを作り上げる。しかしそれが共有されないと信念なき製品やサービスが生まれる。昨今の日本企業に当てはまるのではないか。その点、超一流CEOたちは話すことが非常に長けているという。

スターバックスを世界的なコーヒーショップに育て上げた元会長ハワード・シュルツと面会したとき、中島さんは「人を納得させるのが上手い」と感じたそうだ。

飲食をはじめとするサービス業において、「店舗運営をどうするか」や「新メニュー開発」が気になりがちだ。しかしシュルツがこだわっていたのは「なぜスターバックスが存在しているか」という存在意義の部分。スターバックスのコンセプトは、自宅や会社に次ぐ第三の居場所「サード・プレイス」であり、それを従業員に分かりやすく熱意を持って説明した。これがブレない企業経営につながる。

コストコのCEOであるクレイグ・ジェリネックや、AmazonのCEOであるジェフ・ベゾフも一緒だ。誰かの疑問に対して、真摯に分かりやすく丁寧に伝える。AIの時代に生き残るチームリーダーになるには、話すアウトプットが絶対に欠かせない。

では、何をすればコミュニケーション能力を高められるだろう。それは「話す」アウトプットの真骨頂、「プレゼン力を高める」のだ。こちらも「書く」ことと同様、本書でその極意が詳細に解説されている。

本書は、ベストセラー『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』に次ぐ、中島聡さんの2年ぶりの新刊だ。自分の価値を最大化しAIが職を奪う時代を生き抜くアウトプット戦略を明快に解説しているので、いずれ訪れる大失業時代に備えられるはずだ。

結局のところ、いずれくる未来に対し、私たちは行動するしかない。本書を読んでも行動しなければ、いつかAIに飲み込まれてしまう。まさしく書籍タイトルの通りだ。『結局、人生はアウトプットで決まる』。私たちの未来は「やるか」「やらないか」の2択にかかっている。(文/いのうえゆきひろ)

image by: shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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【著者】 中島聡 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 火曜日(年末年始を除く) 発行予定

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