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日本の北方領土2島要求が「第3次世界大戦」の引き金になる根拠

平和条約締結交渉、北方領土の2島先行返還交渉など、日本との関係強化に踏み出したロシアのプーチン大統領ですが、その狙いは「西方」にあるようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、ロシアの「西への攻勢」が世界規模の戦国時代化を引き起こす可能性を記すとともに、アメリカが対中国貿易戦争を止められない理由についても考察しています。

ロシアの攻勢で戦争の時代に

ロシアは、東にある中国と日本とを友好関係して、西の中東やウクライナに攻勢をかける方向である。世界が戦国時代に逆戻りをしたようだ。今後を検討しよう。

NY株価

NYダウは、11月23日2万4,268ドルから11月30日2万5,538ドルに急上昇した。これは、パウエルFRB議長が、政策金利が成長を加速も減速もしない中立金利の推計レンジに近づきつつあるとし、政策に対する柔軟なアプローチを採用していると示唆したことによる。事実、米国債利回りが3%割れで、適温相場が復活した。しかし、市場がパウエル議長の発言を故意に誤解したようでもある。その上、12月1日の米中首脳会談に期待する姿勢を示して、市場は上げになっている

中立金利は2.5%から3.5%であり、現時点の金利は2%であり、数回の利上げが必要であり、期待しすぎの感がある。そして、ハイイールド債(ジャンク債)が暴落し始めている。中国の富裕層が爆買いをしなくなったことに寄り、ティファニーやササビーと高級不動産の市場が冷えてきて、株価が低下してきている。また、中国企業の海外資産が大量に売り出されてきた。そろそろ、世界景気減速のシグナルが点灯してきている。

一方、日経平均は11月21日2万1,243円から順調に11月30日2万2,351円まで上げてきた。こちらは、PERが11倍台と安い水準からPERが12倍台へと上がってきたことによるが、悲観的なムードが少し和らいだように感じる。しかし、依然、中国の景気いかんであることは変わりない。

米国財政破綻の回避

米国の財政破綻が意識されて、より一層、ハイテク技術の防衛が必要になっている。現時点、イノベーションによる産業しか高利益を得ることができない。既存技術産業は、GEでさえ利潤が減ってきて、株価は大きく低下している。ルノーは新技術開発競争に遅れて、日産の技術が必要になり、日産を支配下に置きたいとしたことが逆に日産の反発を呼んでいる。ハイテク競争の時代である。

しかし、このハイテク技術を仰臥しそうなのが、中国の国家政策である「中国製造2025年」であり、米国は中国にその政策放棄と技術開発に国家資金を使うことを禁止させようとしている。技術開発の中心が国営企業であるので、国営企業の民営化も求めている。

この部分は、中国も妥協できないので、貿易交渉は難航しそうである。これが貿易戦争の表面である。

しかし、米国の目的は貿易戦争の裏にある。米国は、急を要する財政破綻回避のために、貿易戦争を起こして、輸入品に関税を掛けて税収を増やし所得税減税で国民の支持を得ることを目指していた。このため、貿易赤字国に対しての関税を個別に上げていく必要になっていた。中国には全商品に10%の関税を掛けていけば、相当に大きな税収が見込めることになる。

しかし、下院で民主党が議会を占め減税ができなくなり、税収増が現時点の関税上げで出来、これでコストアップインフレが起こり、労働賃金も上がり税収は増える。基軸通貨でないなら、ドルは相対的に減価させるはず。

そして、1ドル=50円になれば、2,200兆円の米国債は、減価して1,000兆円になる。これが、一番国債を持つ中国の人民元切上げを米国が要求する理由でもあるが、ドルが基軸通貨であるので、ドルは逆に上昇している。

このため、ドルの魅力をなくすためにFRBが再度、量的緩和を行い金利を1%程度にすることが必要になっている。インフレをハイパーインフレにしないためには、米国の人口を減少させて、経済成長を止める必要がある。これって、日本の現状の政策であろう。

このため、移民や難民の受け入れをしないで、消費経済を減少させることである。しかし、そうすると、諸外国が米国債を買わなくなり、FRBが国債を買い取る必要になる。このように、ドル安円高にもするようである。

ということで、経常収支赤字国である米国は、ある程度のハイインフレを起こすはずである。

もう1つ、トランプ大統領がパウエル議長に文句を言うのは、FRBが国家財政破綻を見ていないことに対するクレームである。その点、日銀は財政破綻を意識しているが、今度は量的緩和を止められない。

というように、財政破綻を回避するために米国は日本化しようとしているのである。トランプ大統領は、この目的を隠すために、暴れるプロレスラーを政治というリングで演じているとも言えるし、ある直感で国家財政危機を乗り越える方法を見つけたともいえる。

そして、このため、絶対に貿易戦争を止めることはできない。今後もできない要求を中国に投げていく。これで世界経済が減速しようが、米国の財政破綻回避の方が急を要するということだ。やっても速度調整でしかない。しかし、現時点では、これ以上の貿易戦争激化の必要もないので、一時休戦にしたようである。

日本は、米国とは違い経常黒字国であるので、まだハイインフレにならずに済んでいる。米国のハイインフレの影響は日本にも及び、ある程度のインフレを期待したい。そうすれば、破綻を回避できる可能性が出てくる。日本より先に米国の財政破綻が起これば、日本が、その混乱を利用して破綻を回避できる可能性が出てくる。

ロシアの攻勢

ロシアは、東にある日本と中国との友好関係を維持して、特に、日本とは北方領土の最低でも2島を返還しても、東での平和を確立して西に出ていくようである。この領土返還を国民が不満に思うので、東で失う領土より、大きな領土を西で得る必要になっている。

日本の2島返還の要求が、プーチンに西の攻勢を嗾(けしか)けているとも言える状況になっている。

このため、ウクライナとの国境地域が大きな狙い目である。今回、クルミア半島で仕切られる内海であるアゾフ海を手に入れるために、ケルチ海峡のウクライナの監視艇を強引に拿捕した。

このアゾフ海を手に入れると、東ウクライナ全体がロシア派の領土にできるからである。その領土をロシアに組み入れるのであろう。

これを受けて、G20でトランプ米大統領は、プーチン大統領との首脳会談を中止した。また、ウクライナのポロシェンコ大統領は、アゾフ海に艦船を配備するようNATOに要請した。しかし、NATOは動けない。

最終的には、ウクライナ全体をフィンランド化するしかないと見える。ロシアの要求をある程度、満たす必要が出てきたように思うが、プーチンはヒトラーの可能性もあり、次々に領土要求を出してくる心配がある。ということで、世界的な戦国時代が始まったようだ。恐ろしい時代になってきた。

もう1つ、シリア空爆をしていたイスラエル空軍F-35をイラン兵が操作するロシア製S-300対ミサイル迎撃ミサイルが撃ち落とした。F-35のステルス性に疑問があるのと、イスラル軍は、今後シリアにいるヒズボラ・イラン軍を叩く手段がなくなる。

また、ロシア雇用兵が大量にシリアにいて、シリアのクルド人地域にいる米軍と複数回、戦闘をしているという。ロシア軍ではないが、ここでもハイブリット戦術で着々とシリアでの位置を固めている。どうも、ヒズボラやイラン兵よりロシア雇用兵の方が戦闘力があるようだ。このため、イランよりロシアにシリアのアサド大統領は好意的になっている。

そして、日月神示でも、複数回、ロシアに気をつけろと言う記述があるが、世界に戦国時代を招き入れるのは、ロシアのような感じがしてきた。プーチンはヒトラーの再来かもしれない。

ロシアは、経済的には大したことがないが、軍事力としては大きいというアンバランスな国家であり、プーチン大統領は経済的な苦境で支持率が低くなり対外拡張で支持率を上げたいのであろう。このため、日本との経済関係を強固にして、経済の活性化をするとともに、軍事力を使い、領土拡張をする方向のようである。

より一層、ロシアが怖い存在になってきた。第3次世界大戦に進んでいる印象を受ける。ハルマゲドンかもしれない。

世界が統制経済化へ

今は、ロシアや中国の国家資本主義経済と欧米日などの民主資本主義経済で経済効率化の競争になっていると多くの評論家が言う。しかし、日本など多くの国は、徐々に経済の弱体化で、国家が経済の前面に出てくるしかない状況になり始めている。

1つが、日銀の量的緩和による国債買取で金利の統制を強めているし、ETF買いに寄り株式市場の統制も強めている。フランスもルノーなどを国営化して、国家管理を強めている。このように相対的に経済が弱い国は徐々に国家資本主義の方向に向いている。

米国も、その意味では関税の強化などで国家資本主義に向き始めている

中国は国営企業の強化で民間企業が潰れているので、企業の国家化の方向である。より国家資本主義を強化している。

全ては、企業の儲けが少なくなり、国家が企業を守るために前面に出てきているし、国家がなりなりふり構わず国益を振りかざしている。多国籍企業に対しては、タックスヘブンを認めない方向で、利益を全て吐き出させているし、デジタル税などで超国家企業に対しても統制し始めた。

もう1つ、日本の携帯会社は儲けすぎであると、菅官房長官は値下げを要求している。国民の消費性向を上げるために価格統制に向かう可能性も出てきた。

国家資本主義と民主資本主義との戦いではなく、先進国家でも国益をどうするのか、国民をどう食わしていくのかを真剣に考える時代になってきたように思う。どちらにしても、大変な時代が来た。

さあ、どうなりますか?

image by:  首相官邸

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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