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米中覇権争奪戦が勃発の2018年。日本は2019年、中国に付くのか

南北朝鮮・米朝の首脳会談など歴史的な出来事が相次いだ2018年ですが、現時点で「今年、世界で起こった歴史的重要事件」とは一体なんでしょうか。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、08年のリーマンショックから今年までの間に世界で勃発し各国に影響を及ぼした出来事を時系列で解説した上で、今後世界は「米中覇権争奪戦争」を軸に動くだろうと記しています。

2018年はどんな年だった?(歴史的に)

はやいもので、2018年ももうすぐ終わりですね。今年は「歴史的にどういう年だったのでしょうか?まず過去10年で起こったことを、ざっくり振り返っておきましょう。

2008年リーマンショックから「100年に一度の大不況」が起こる。

2009年アメリカが沈み中国は浮上する。この年のGDP成長率、アメリカは、マイナス2.54%。日本は、マイナス5.42%。中国は、プラス9.2%。世界で、「これからは中国の時代だ!」と考える国が激増する。日本では、反米親中民主党政権が誕生。

2010年尖閣中国漁船衝突事件。「アメリカは沈み、わが国を止める力はない」と認識した中国が、横暴になる。

2011年東日本大震災

2012年尖閣国有化。中国は11月、ロシア、韓国に、「反日統一共同戦線構築」を提案。完全証拠はこちら。

反日統一共同戦線を呼びかける中国

私の中では、「新日中戦争」が開始された年。日本では、安倍政権誕生。中国では、習近平政権スタート。ロシアでは、プーチンが大統領に返り咲く

2013年、反日統一共同戦線戦略の進展。中国は、大金を使って反日プロパガンダを行い、安倍政権を追いつめる。12月、安倍総理の靖国参拝後世界的日本バッシングが起こり日本は孤立する。

2014年、ウクライナ革命とクリミア併合。安倍総理は、ロシアに救われる結果に。

2015年、AIIB事件。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、オーストラリア、イスラエル、韓国など、親米諸国群がアメリカの制止を無視し、中国主導AIIBへの参加を決める。アメリカの没落と中国の影響力増大が世界に知られることに。

2016年トランプ氏、大統領選で勝利。

2017年トランプ政権誕生北朝鮮に振り回された1年だった。

そして、2018年。

2018年に起こったこと

少し、詳しくみてみましょう。

3月、中国全人代、国家主席任期の制限撤廃。習近平は、「終身国家主席」の道を開く。同月、プーチン大統領選で圧勝。4期目スタート。

4月、南北首脳会談。金正恩が初の訪韓

6月、初の米朝首脳会談

7月、西日本豪雨。

9月、北海道地震。安倍総理自民党総裁選で3選

10月安倍総理訪中

11月、ゴーン日産会長逮捕。アメリカ中間選挙。下院は民主党が優勢に。

しかし、最重要事件は…

2017年は、トランプ政権が誕生した年。しかし、1年通して振り返ると、「北朝鮮がうるさかった年」でした。

2018年6月トランプと金が会談した。その後、金はミサイル実験、核実験を停止し、核問題は凍結状態」になっています。

そして、2018年、北朝鮮にかわって最大の問題になったのが、「米中戦争」です。最初は、「貿易戦争」でした。3月、アメリカは、鉄鋼、アルミ製品への関税を引き上げた。中国も、即座に報復措置をとりました。

6月の米朝首脳会談で北朝鮮問題が、下火になった。翌7月から米中貿易戦争は本格化していきます。

7月、アメリカは中国からの輸入品340億ドル分に25%の関税を課した。中国も、アメリカからの輸入品545品目340億ドル分に25%の関税を課す。

8月、アメリカは中国からの輸入品160億ドル分に25%の関税を課す。中国も、アメリカからの輸入品160億ドル分に25%の関税を課す。

9月、アメリカは中国からの輸入品2,000億ドル(!)分に10%の関税を課す。中国は、アメリカからの輸入品600億ドル分に、5~10%の関税を課す。こうして、貿易戦争はどんどん規模が大きくなっていきました

そして、ペンスさんの10月4日講演以後、米中の対立は「貿易戦争」にとどまらなくなってきた。そう、この戦いは、「覇権争奪戦争であることがはっきりしてきたのです。

2017年は、ひとことでいえば、「北朝鮮が暴れた年」でした。2018年をひとことでいえば、「米中覇権争奪戦がはじまった年」です。これから7年ぐらいは米中戦争を軸に世界はまわっていくことでしょう。私たちも覚悟が必要です。

日本政府はかつて、負けるナチスドイツの同盟国になるという、トンデモナイ過ちを犯しました。今回も、米中戦争が本格化した途端に、中国に歩み寄るという、かなり心配な動きをしています(ファーウェイへの対応などは、アメリカと歩調をあわせているようですが)。

私たちは、安倍政権が負ける側(中国)に近寄りすぎないよう、しっかり監視していきましょう。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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