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なぜ、親族が集まるお正月にあえて相続の話をするといいのか?

親族が集まることの多いお正月。帰省を考えている読者の方も多いのではないでしょうか。そんな機会こそ「相続について話題にするチャンス」とするのは、マンション管理士の廣田信子さん。廣田さんは自身の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の中で、その理由として2018年夏に改正された相続法を挙げるとともに、「話題にしやすい改正内容」についても紹介してくださっています。

お正月、親族が集まった時に相続法改正を話題に

こんにちは!廣田信子です。

平成30年7月6日相続に関して民法及び家事事件手続法の一部が改正されました。今回の相続法の見直しは、高齢化社会の進展等に対応するもので、配偶者居住権の新設を始め、自筆証書遺言の方式緩和など、多岐にわたる改正となりました。

改正法の施行日は、原則として、2019年7月1日ですが、自筆証書遺言の方式緩和については、2019年1月13日施行、配偶者の居住権を保護するための方策については、2020年4月1日施行、また、公的機関(法務局)における自筆証書遺言の保管制度については、2020年7月10日施行となっています。

いずれにせよ相続法の改正は40年ぶりです。法改正に伴い、相続プランの見直しも必要になります。相続の話題、遺言書の作成を避けていた人が、考えてみるきっかけにもなります。

相続の話は、親族の間でも話題にするのが難しいのですが、このお正月は、相続ついて話題にするチャンスです。法改正の話題が、親や兄弟と相続について話すきっかけになります。ちょっと勇気を出して話題にしてみませんか。

この話は、相続人がみんなそろっているところで話題にするのが一番です。高齢の親にとってプラスになるような情報提供から入ってみるのがいいと思います。特に、自筆証書遺言書の形式が緩和されたことで、遺言書を作りやすくなったことは、話題にしやすいと思います。

これまでは、すべて自筆で作成しなければならなかったのですが、改正後は、財産目録はパソコンで作成し、預貯金通帳はコピー、不動産については登記事項証明書添付でよくなりました。公正証書による遺言書をつくるのは面倒だしお金もかかる。自筆の遺言書は、どうつくっていいか分からない…と思っていた方も多いと思います。

2019年1月13日施行ですから、お正月に話題にしやすいと思います。もし、作成する場合は、作成日は、2019年1月13日以降とし、自筆証書遺言の保管を法務局が開始するまでの間信頼できる人が保管する必要がありますので、そこは注意してください。

配偶者居住権の話も話題にしやすいです。自宅に住んでいた配偶者は、所有権が第三者に移ってもその自宅に住み続ける権利が認められました。かなり高齢の親の一方がなくなった場合、その時点で、自宅を子供が相続しても、「長期居住権」の設定登記をすることで、残った一方は、ずっと自宅に住み続けられるのです。

残った配偶者が自宅を相続したために、老後資金であった現金を子供たちに分けざるを得ないということがよくありますが、自宅の方を子供たちに相続させ、現金を自分の手元に残すことができ、老後の不安が軽減されます。

これは、マンションの管理組合にとっても意味があります。いずれ相続するであろう次世代と早くから関わることができます。自分の資産となれば、管理に無関心ではいられませんから。区分所有者の認知症等によって議決権行使ができない不安も解消します。

といっても、相続や遺言書の話は急ぐと失敗します。急いで何か結論を出そうという必要はなく、この機会に、相続のことを親族で話題にすることがタブーでなくなるだけでもとても意味があると思います。今回の法改正は、そのための、とてもいいチャンスです。ぜひ、チャンレンジを!

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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