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年収400万で暮らせるけど1000万でも余裕なし。驚きのNY生活事情

「一度でいいから海外で生活してみたい」と思う日本人は多いかもしれませんが、現実的に毎月の収支を想像することは難しいのではないでしょうか。実際、必要な生活費についての質問を受けることが多いと語るのは、米国の邦字紙「WEEKLY Biz」CEOでメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者の高橋克明さん。今回のメルマガで、ニューヨークでの生活に必要なさまざまなものの相場を細かく教えてくれました。

ニューヨークで暮らすにはいくら必要?

いちばんよく聞かれる質問は「いつかニューヨークに移住したい」「いくらくらいあれば生活できますか」です。日本と違って、本物の格差社会なので、上も下もキリがなく、本当に一概に言えないのがこの街の特徴です。

日本って、お金持ちの人もそうじゃない人もコンビニを利用します。こっちだと生活圏内も、行くお店も所得によってガラッと変わります。マンハッタンという山の手線の内側くらいの、その実、結構狭いエリアに、あらゆる「下町」とあらゆる「山の手」が同居しています。なので、上記の質問、結構、答えに困っちゃうんです。橋を一つ挟んでマンハッタンとクイーンズの個人年収差は4倍と言われています。でも同じスタバで同じモノをオーダーして座ってる。

いくらくらい、とは(当たり前ですが)言いづらい。年収400万円でも、いろいろ工夫すれば住めなくはない。(ルームメイトを見つけるとか、覚悟を決めて多少治安の悪いエリアに住むとか)

こちらのサイトで公表されている「ニューヨークでの生活費の基準」を今回はお伝えします。統計情報とNYCでの生活費の詳細が、Expatistan.comに掲載されています(これらの数字は定期的に更新されています。以下の数字は、あくまで「平均」だということ念頭に置いてください)

「480平方フィートのスタジオの月額賃料:1941~2838ドル」 前述した通りエリアによって異なりますが、マンハッタン(東京でいう23区内)だと普通のワンルームで、月家賃の平均が31万3千円だそうです。(ま、そんな感じだろな)

東京でも良いとこだとそれくらいするよ!と言われるかもしれませんが、この数字は平均です。良いとこ、じゃない。良いとこ、だと当然120万円は超えます。31万円だとかなり狭いイメージです。居住費は、確かに世界一高い街ではあります。それに追加して、

「480平方フィートのスタジオの基本ユーティリティ:119ドル/月」 基本ユーティリティに含まれるのは、電力、暖房、水、ごみ処理など。その平均が13000円くらい。これも平均なので、マンションによってはもっと徴収されます。

では、日常での生活にかかる費用は(以下ももちろん平均)

「ダウンタウンバーまたはクラブのカクテル:24ドル(2650円)」 1杯が2600円以上するのははやり高い気もします。

「ブロードウェイ劇場チケット2枚:314ドル(34600円)」 実はミュージカルって結構な贅沢エンターテイメントなんです。

「映画チケット2枚:32ドル(3530円)」 映画館だけは日本と変わらない? 今、日本の映画館がどれくらいするかわからないかれど。ただ、映画館のポップコーンやコーラは20ドルを超えます。

「近隣のパブのビール:8ドル(880円)」 お酒を飲まない僕はよくわからないのですが、都内のバーもこのくらいはしますよね?

「卵(12):4.99ドル(550円)」 卵の値段は、日本もアメリカもよくわからないです、、、

「鶏の胸肉(骨なし、皮なし、1ポンド):6ドル(660円)」 ひょっとするとお肉だけは日本より安いんじゃないでしょうか。そんなことない?

「月間乗車券(地下鉄乗り放題):121ドル(13300円)」 都内は非常に高いと聞きます。でも、あくまでこの数字は平均なので、やっぱりニューヨークの方が高いと思います。

「フィットネスクラブ、大人1名あたりの月額料金:94ドル(10370円)」 これもやっぱりあくまで平均なので、僕のイメージでは本当はもっと高いイメージがあります。格安ジム!が流行しているのでそれらが平均を下げたのかも。衛生的でちゃんとしたジムは10000円では通えません。

ニューヨーカーのほとんどがルームメイトと一緒に暮らしています。もし1年か2年以上ここに住むことを計画しているのであれば、それに向けての金銭的な準備を早めにし始める必要があるかもしれません。(特別なお金持ちを除いて)

ファイナンシャル系情報サイトFinancial Samuraiによると、ニューヨークは年間100Kドル(約1100万円)の給料があれば基本的な生活を送ることができるそうです。ただ、これはブロンクスやプロジェクト(低所得者のための政府が援助する居住マンション)の方達の生活費も入っています。

なので、1000万円だとギリギリかもしれません。過ごしやすい、だったり、貯蓄できる、ということはまずない。

この街で一般的に言われているのが、$200K(約2200万円)という数字。200Kあれば、まぁ夫婦二人が快適とは言わずとも不自由なく暮らせるかな、とは、よく聞くセリフです。

ただ、子供が出来れば、また話は別です。子供の教育費こそ、ピンキリなので、このサイトにすら参考金額は明記されていません。教育費は青天井。とんでもない額をかける親も珍しくなく、参考金額はないと思った方がいい。

その一方で、「家賃を払うことができれば、あとは何とか生きていける」というスタンスの人が多いのも特徴です。

例えば、ピーナッツバターとジャムをぬったパンを職場に持って、週末は朝9時半の回の映画を見て、週に一度はバーのハッピーアワーを利用して、街をウォーキングしたり、セントラルパークをジョギングしたり、そういったことに意味を見出せられるのであれば、この街でのライフスタイルを楽しめるとは思います。もちろん、ラーメンは贅沢品です。2000円以上かかるので。

一度、旅行に来て、早朝に街を歩いてみてください。タクシーに乗ってみてください。グロッセリーを覗いてみてください。その時の感覚で、それでもここに住みたい、その価値がある!と思うのであれば、経済的に苦しくても楽しめるかもしれない。ウォークアップアパートメント(階段のアパート、5階未満でエレベーターのないアパートがたくさんあります)になる可能性もあるので、食料品や荷物を持って、行き来することもイメージしてみてください。

その上で、もし本当に「住んでみたい」と思うのであれば、どうあれ実現してください。この歳になって思うのは、日本でお会いする人の中に自分も昔は海外に住みたいと思っていた、という方々が非常に多いなぁということ。そしてそれらの人々は

「今でも、後悔している」「あのとき、行っときゃよかったよ」とよく口にされます。

ということは。海外に行きたい、住みたいと思う人間と、そうでない人間は、もう理屈じゃなく違う人たちなんだと思うのです。

僕個人は、今の時代、特に海外であれ国内であれ、どちらもそう大差ないのではないかと思っています。もっと言うなら、海外で気楽に暮らしている人と、日本の競争社会で暮らしている人では、人生の充実感はあきらかに後者の方が上だと思っています。

特に興味なければ、わざわざ世界でも稀に見る恵まれた国、日本を飛び出して海外に留学、移住する必要なんてない。でも、もし1度でも行きたい!住みたい!と思ったことがある方は、ぜひ、実現してほしいのです。理屈じゃないから。

この先「あの時行っときゃよかったよぉ~」と言い続けなくて済むので。

image by: shutterstock.com

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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