瀕死のマツキヨ。業界トップ「ウエルシア」侵攻で5位転落の危機

 

マツキヨ、業界5位転落の懸念

両社は化粧品の充実度において違いがある。マツキヨHDは化粧品が強く、販売割合は40%(2018年3月期)にも上る。一方、ウエルシアHDは18%(18年2月期)にとどまる。ウエルシアHDは一般的なドラッグストア像に近いが、マツキヨHDはどちらかというと化粧品販売店の色が濃い。こういった違いで住み分けができていた側面もある。ただ、今後はそういった住み分けがなくなっていき、競合度が高まっていきそうだ。

ウエルシアHDはこのように化粧品がそれほど強くはなかったが、岡山県や関東、近畿で高級化粧品販売店34店を運営するマサヤを18年12月に子会社化しており、今後は化粧品が強化されていきそうだ。なお、一本堂も化粧品が強く、販売割合は28%(18年3~11月期)にもなる。このように化粧品が強い企業を買収するなどして化粧品を強化しマツキヨHDに対抗したい考えだ。

ウエルシアHDを迎え撃つマツキヨHDはどうか。最近の同社の業績は冴えない。業界で22年間にわたり売上高で1位を誇っていたが、16年度にウエルシアHDと「ツルハドラッグ」を展開するツルハHDに抜かれ、3位に転落した。17年度にはサンドラッグに抜かれ、4位に後退している。5位には成長著しいコスモス薬品がわずか約9億円差で迫っており、マツキヨHDのさらなる順位低下が懸念される。

なお、17年度の売上高は、首位のウエルシアHDが6,952億円、2位のツルハHDが6,732億円、3位のサンドラッグが5,642億円、4位のマツキヨHDが5,588億円、5位のコスモス薬品が5,579億円となっている。首位のウエルシアHDと2位のツルハHDが頭一つ抜き出た格好で、残りの3社は100億円以内の差で収まっており、3社は僅差で3位を争っている状況だ。トップ2と残りの3社との差はやや開きがあるものの、M&Aなどを駆使して一気に抜き去ることは可能で、まだまだ順位は流動的に入れ替わるだろう。

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マツキヨHDは近年、M&Aよりも合理化を優先しており、ウエルシアHDなどのような急拡大路線とは一線を画している。一方で、従来のドラッグストアとは異なる都市型のドラッグストア「マツキヨラボ」を開発し、独自色を打ち出そうとしている。マツキヨラボは通常のドラッグストアの機能に加え、薬剤師や管理栄養士、ビューティースペシャリストといった専門スタッフが健康や美容についてサポートするのが特徴だ。15年9月から出店を始め、現在、首都圏を中心に15店を展開している。

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