コンサルタントの成功事例を聞いて「我が社もお願いしてみよう」と仕事を依頼してみたものの、実際には現場で活かしきれずにまた新しいコンサルを探す…。「そんな企業はこの先も延々同じことを繰り返すだろう」とするのは、無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者で人気コンサルタントの中久保浩平さん。中久保さんは今回の記事中で、成功事例になびいてしまうことの危うさを指摘しています。
コンサルタントが成功事例を語る理由
コンサルタントは、とにかく成功事例を語りたがります。「当方のクライアントでは売上が2ヶ月で3倍にまでなりました。その詳しい手法がこちらです」といった具合に。
こうやって、成功事例をセミナーや講演会などでプレゼンしていくわけですが、そのプレゼンを聴講している人達はというと、「へぇ~。スゲぇな~」とか、「目からウロコが落ちましたぁ~」とか、「当社にもその手法なら使えるなぁ~」とか、「早速、うちでもやってみよう」とか、テンションがあがりモチベーションになったりします。
ですが結局は「その場だけの満足」で終わるケースが大半。実際に現場で活かしきれていないのが現実。そして、「あのコンサルタントのいうことはうちには向かないな」と、次なる手法を求めて、また違った成功事例を探します。
で、またまた違うコンサルタントに行き着き、「当方では○○マーケティングを提唱しています。その結果、会員様はじめクライアント達は軒並み成功しています」というようなフレーズになびくのです。
でも結果は同じ。こうやって、順繰り順繰りしていくのです。
成功事例を語ることが、コンサルタントの仕事ではありません。成功事例を語ることは、コンサルタントにとって営業なのです。言われてみれば当たり前のことですが、成功事例ばかりを追いかけて行くことによって、こうした当たり前のことすら見えなってしまいます。
成功事例は、コンサルタントにとって格好のアピール材料になります。僕もアピールで使うこともあります。ですが、一切保証はしませんし、あくまでその時に上手くいったという事例でしか紹介しません。つまり、成功事例はその時のクライアントとの産物であって、それがそのままあなたの産物になるとは限らないのです。
よく成功事例から導き出されたものを体系的にまとめノウハウとして使われますが、はっきり言って、そんなもんはどうでもいいのです。「大事なのはあなたにとって何が重要か?」ということです。
つまり、成功事例から導き出された体系的且つ再現性のある手法やノウハウというものは、コンサルタントにとっての武器にこそなれ、あなたにとっての武器になるかどうかではありません。
「この成功事例から、あなたの会社でもこの手法は必ず有効ですよ」といってくるコンサルタントは、単に営業上手であり、あなたにとって不要かも知れないものに対してさも価値があるように見せているかもしれません。もちろん、全てがそうとは言い切れませんが…。
では、逆に成功事例を語らないコンサルタントがいいのか?って思うかも知れませんが、問題はそういうことではなくて、「コンサルタントが成功事例を語るのは営業・プレゼンである」ということを十分に理解して聞くようにすることです。そうやって成功事例に耳を傾け、信頼のおける場合は、コンサルタントに相談・依頼すれば良いのです。
とにかく「状況がヤバイからなんとかしたい!」「今すぐ手を打たないと!」というだけで、聞こえの良い成功事例になびかないことです。99%失敗します。
■今日のまとめ
「コンサルタントにとって成功事例を語るのは営業である」
- 成功事例から学ぶということはどういうことか?考えノートにまとめる。
image by: Shutterstock.com