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NYでマスクをすると、忠告してくるのが日本人だけなのはなぜか?

今年の冬はニューヨークでもインフルエンザが流行しているそうです。社員が一人罹患した際、社員へのマスク着用を義務付けたのは、メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者で、米国の邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さんです。マスクをする習慣のないニューヨーカーたちはどんな反応を見せたのでしょうか?…実は、気にするのはNY在住の日本人だけだったようです。

インフルエンザに見る国際化

日本はインフルエンザが大流行だとか。読者の皆様が影響されていないことを祈るばかりです。そういう僕も、遅めの正月旅行、ハワイから帰ってきて、さっそく風邪をひきました。幸いインフルではなかったのですが、気温差45度に45歳は耐えられず(笑)きっれ~いに判で押したように風邪をこじらせました。これ以上ないほどわかりやすい、自分の単細胞な身体にうんざりです。

でも、まぁ、インフルエンザじゃなくてよかったなと思うようにしています。インフルエンザにかかったうちのインターンの女の子は丸々1週間、高熱にうなされたとか。ニューヨークも今、日本ほどではないにしろ結構、流行ってます

で、みなさんもご存知の通り、ニューヨークに限らずアメリカはマスクを装着して外出する、という習慣がありません。普通に道を歩いていて、マスクをしている人を見ることは皆無です。

アメリカ人にとってのマスクとは、例えばハリウッド映画で見るように、細菌テロ対策であったり、瓦礫を撤去する際に使用する“特別な”アイテムです。なので、気軽にコンビニで手に入る品物でもない。

実際に、昔、あの天下の「ニューヨークタイムズ」で「花粉症大国ニッポン!」のような見出しで記事が掲載された際、30人くらいのビジネスマンが渋谷か新宿か、一人残らずマスク姿で出勤している風景の写真が掲載されました。ちょっと悪意のあるような記事内容でした。半笑いで、日本人、みんな一律同じ格好みたいな感じで書かれていたと記憶します。

なので、この街で、マスクをしようものなら、まず、ニューヨーカーの前に、ニューヨーク在住の日本人からツッコまれます。え!マスクしてるの?(笑)、特殊なウイルス持ってると思われちゃうよ(笑)、THE日本人だねぇ(笑)。

今回、編集部でひとりのインターンの女の子がインフルエンザにかかった際、僕は全社員にマスクの着用を義務付けました。編集部の中だけではありません。通勤時、営業外回り時、地下鉄の中、バスの中、とくにかく外出、室内関わらず、日本の時のようにマスクをするように、と。 1週間経過し、道ゆくニューヨーカーから、白い目で見られた社員はゼロでした。と同時に「やめときなよ」「この街でマスクなんてしちゃいけないよ」と注意してくる在ニューヨーク日本人は数名いたそうです。

「国際化」とは何だろう。アメリカ人のバカなところまでモノマネすることだと思っている日本人がいまだにいることにウンザリします。世界的に鳥インフルエンザが広まったのは、欧米、特に北米のアメリカ人がマスクを着用する習慣がなかったことが、原因のひとつに挙げられています。

アメリカでマスクを着用する習慣がない。それだけでインフルエンザが流行っているのに、マスクを着用せず、頑張って、無理して、結果、インフルエンザになったらバカ以外の表現方法が見つからない。

もちろん、当初、マスクを着用するように社長命令をしたところ、「街ゆくニューヨーカーに変な目で見られないですかね…」と心配そうに相談してくる社員もいるにはいました。だったら、教えてやればいい。たったひとつのマスクで防げるウイルスもあることを。バックに予備を入れておいて、一個あげたら?と僕は答えました。アメリカ人が、マスクを着用する習慣を身につければいい。だって、絶対にいいことなんだから。

日本に出張に行けば、税関の職員までがマスクをしています。その姿を見て。日本に帰ってきたな~、と嬉しくもなります。その習慣を嘲笑するニューヨーク在住の日本人もいましたが、逆に僕が嘲笑してやりました。彼らからは、インフルエンザをもらって仕事に穴を開けないようにというプロフェッショナルな姿勢以上に、他人に伝染させないという配慮まで見て取れます。

ニューヨーカーの真似して、マスクせずに、ニューヨーカーからウイルスもらって、ニューヨーカーに伝染し返して、どうする…。もちろん、最初はこの街でマスクをして出歩くことは勇気が多少必要でした。周囲にはマスク姿で歩いている人がいないのだから。でも、今ではすっかり慣れました。白い目で見られても、知ったこっちゃない。家にウイルス持ち帰って3歳の子供たちにうつすより数千倍マシだ。

でも、結果、気づいてないだけかもしれませんが、白い目で見られたことはなかったように思います。わからない。本当は心の中で、笑われているのかもしれないけれど、実際に表立って笑われていないのだから、僕にとっては笑われていないのと一緒です。それに、すぐにやたらコンタクトしてくるニューヨーカー、絶対、ヘンだと思ったら、ひとりくらいは、おまえヘンだよ、と言ってくる。何百人、何千人とすれ違ってもひとりも言われたことはありません

考察するに、ニューヨーカー、いちいち人をかまっていられないんです。タクシーに乗ったらターバン巻いてる運転手がいる。民族衣装を着て、目付近しか見せないアラブ系の女性もそこらあたりにいる。僕ごときが口元に小さな白いマスクをしたところで、誰も注目しちゃくれない。注目するのは在米の日本人くらいなもんだ。

THE日本人だねぇ、と笑われたら、THE日本人なんです、とニッコリ微笑もう。いつか、ニューヨーカーも東京の人くらいマスクで予防をするようになったらいいなと思います。それでも、この街でマスクをして外出する勇気のない社員には、もちろん強制はしないけど、こう言ってます。

誰もおまえのこと見ちゃいねえよ(笑)」

ニューヨーカーのモノマネして、インフルエンザもらってくるのは真の国際人じゃない、というのが持論です。

image by: Tom Wang, shutterstock.com

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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