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ダルビッシュも大谷翔平も。日ハム栗山監督に学ぶ、健全な勘違い

目標は達成してしまえばそれで満足という方、案外多いのではないでしょうか。一つの目標の達成は次の目標へ向かうための通過点とも言われますが、そのように考えられるほど強いメンタルの持ち主ばかりではありません。今回の無料メルマガ『生きる!活きる!『臨床力』』では著者で獣医師と臨床心理士の資格を持ち、大学で教鞭も執られている渡邊力生さんが、目標を高く設定する効果、目標達成の後、さらに前を向くための考え方を紹介しています。

チャンスはピンチ!よりも、ゴールはピンチ!という考え方に震える

みなさん、こんにちは。「サッカーが上手くなりたければ心が成長しなければならない」とは、亡き師匠の教えの根幹、極意中の極意であったと私は認識しています。その言葉の本当の重み、大切さを実感できるようになったのはずっと後になってからのことでした。

同じように、「野球が上達したければ心を成長させるしかない」と書かれたインタビュー記事をNewsPicksの有料記事内でみつけました。日ハムの栗山茂樹監督です。NewsPicksは私が日経新聞と並んで毎日欠かさず読んでいるアプリで、ご存知の方も多いかと思いますが良質で骨太な記事を数多く配信されています。ここでも私は特に自伝や伝記的なモノが好きで、自分よりも遥かに能力の高い方々が、それぞれの中にある「言葉にしがたいもの」を言語化しているような記事に強く魅かれます。

栗山監督の記事も「幸福論というテーマをプロ野球人という切り口で鮮やかに言語化されていまして、プロとしてのキャリアを積んでいくという視点で読むと気づきがメチャクチャ多いインタビュー記事でした。またインタビューアーの質問のクオリティが高い。

生粋のホークスファンとしては敵将を褒めるのは不本意なところもありますが(汗)、素晴らしい監督だと思いました。ホークスに来てくれないかな、と本気で思います。ダルビッシュ選手も大谷選手も清宮選手も、本当に良い球団に入ったな…、いや、良い指導者に出会えた、と敢えて言っておきましょう。

有料記事を読むには月々1,500円ほど必要ですが、間違いなく10倍以上の価値はあると思います。気になった方はお試しで登録されてみても良いのではないでしょうか。

沢山の気づきの中で、特に思いっきり首を縦に何度も振ってしまうような箇所がこれです。以下『栗山流幸福論NewsPicks オリジナルより引用です。

俺はやれているとか、すごいとか、いい選手だとか、そういう勘違いが出てきた時は大ピンチです。勘違いというのは、要するに目標設定が違ってきていることなんですよ。

いや全くその通り!!と膝を打ちました。目標設定の大切さをシンプルかつ的確に言語化された言葉だと思います。

ちょっと頑張ったら獲得・達成できるような目標を我々は立ててしまいがちです。頑張ったことは嘘ではないですから、それが報われると嬉しいですし自信がつきます。その喜びに浸りたくなります。ただその自信はそこで安住するための“免許証”のようなものではなく、次の目標を立てチャレンジするための通行証ぐらいのものでしかありません。

でも人間はそんなに強い生き物ではないですから、マリオが一面一面クリアしていくように、達成するたびに目標をリニューアルしていくような克己心を持ち合わせている人はそう多くはいないでしょう。新たな苦しみを味わうよりも美酒に酔いしれていたいと思うものです。

だったら最初から目標設定を高くしようよ、という話だと私は解釈しました。栗山監督はそれを、「全員がチームのレギュラーではなく日本代表のレギュラーを目指す」という目標の置き方で表現されていたのだろうと思います。

今の自分には到底届かないような目標でも、それを忘れることなく、毎日毎日眺め声に出して読み上げたり、他人に向かって喋り続けることで、自分の中で「これってできるんちゃうか?という勘違いが生まれてくると、平成進化論の鮒谷さんもよく仰います。

私はこの考え方にも大いに共感を覚え、こういう勘違いは「健全な勘違い自分を目標の方に向かって強烈に引き上げてくれる原動力になる、ということをいくつか経験してきました。ですので今自分が設定している目標も、かなり高いところに置いてはいますが現実味がないとは全く思えません、それどころかそうなった自分を妄想するとニヤニヤしてしまいます。

もしそこに到達することができたら、今の自分からすれば、

「凄い人間」
「いいビジネスマン」
「やれてるプロフェッショナル」

というふうに見えると思います。ただそこでそうなることは大成功ではなくむしろ大ピンチを迎えるのだ、という言葉を自分の中に持っているとどうなるでしょう。目標達成が近づけば近づくほど自分がイケてるモードに陥ってしまう大ピンチが近づいているんだという意識を持つことにつながると言えるのではないでしょうか。

「そんなドMな考え方しなくてもいいんじゃないの??」と仰られるかたもいらっしゃると思います。それもそれで正しいと思います。私もどちらの方がより正しいと言うつもりは毛頭ありません。ただ私は栗山監督がおっしゃるようなピンチが本当に“大大大ピンチ”だという捉え方をするような頭の構造になってしまっているようですので、ゆえに監督の言葉に思いっきり反応が出てしまったのです。

悪しき勘違いが生まれそうになってきたら目標設定の更新日が近づいてきているサインですよ。こんなふうに自分自身の目標を捉えてみるのが良いのではないか、と思った次第です。

私と一緒で、油断するとすぐに悪しき勘違いをしてしまうような方、そしてそういう勘違いをしてしまう自分はまっぴらごめんだ、という方には、少しはお役に立てていただける考え方ではないかなぁと思い、本日は綴らせていただきました

それではまた。Ci vediamo!!

image by: 北海道日本ハムファイターズ - Home | Facebook

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「臨床」という言葉は、人が横たわる床や寝台というギリシア語をルーツとし、元々は宗教的な言葉として用いられていました。それが医療、心理学、教育の世界でも用いられるようになり、徐々に「現場」という意味合いが強くなってきました。  しかし現場というのは何も医療などの専門的な分野に限ったことではありません。人が人に出会う場面は全て「現場」であり「臨床」であると言えます。様々な場面で「生きる」方にとって「活きる」知識や気づきを提供する、すなわち「臨床力」のヒントとなるようなメルマガを目指します。

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【著者】 渡邊力生 【発行周期】 ほぼ 日刊

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