北朝鮮研究第一人者が失望。拉致や漁船問題をひた隠す政府の姿勢

 

議題は「拉致問題」が主であったが、政府側の出席者が法務省、内閣の拉致対策本部、厚生労働省、文科省、公安調査庁、海上保安庁、防衛省(そのほかの部署からの出席者もいた)などで、質疑は朝鮮大学校の問題から、一昨年の11月23日に秋田県由利本荘市に漂着した北朝鮮の小型木造漁船の問題にまでおよんだ。

トランプ・金正恩会談での「拉致問題の協議内容」を質しても、会談での内容の進捗状況についてはあいまいな答弁の一言に尽きた。様々な質問がなされたが、どの省庁の代表も皆異口同音の「内容のない」答えばかりであった。

私が海上保安庁のお役人に、先の由利本荘市での北朝鮮漁船の件で、生存者が8人いたが「実際には10人の乗組員がおり、2人は日本側が確認する前に逃亡したのではないか」と質したのに対し、「そのような指摘があったが、警察などが周辺の捜査をくまなく行っており、2人は確認できなかった」との答えであった。

この件については、「日本側が2人を取り逃がした。しかし、この2人については上陸していなかったことにしよう。取り逃がしたということは絶対に口外しないこと」と言うことで、海上保安庁や警察方で一致しているようであった。

この件について、特定失踪者の会の荒木代表が執拗に調査しており、「2人を取り逃がした」と再三にわたり警告しているが、日本の官憲はこれを頑として認めようとはしていないのが現状である。

北朝鮮との交渉は一筋縄ではいかない、とよく言われるが、すでに第3回目の米朝首脳会談がモンゴルで開催されるのではないかという噂も出始めている。

拉致問題の解決にいつまでも「トランプ頼み」に固守していても始まらない、とのため息交じりの諦めの声も聞かれた。宮塚コリア研究所としてもこれからは様々な提言をし、行動していかなければならないのではないかと確信した。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)

image by: Tero Vesalainen, shutterstock.com

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