【2015年相場を大予想】日経20,500円か?今が大天井か?楽観視はできない理由

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『山崎和邦の投機の流儀』第135号(2015年01月04日号)

ゴールドマン・サックスの11月21日付けのリポートによれば1年後のTOPIX1,650円、日経平均20,500円とした。

法人減税・自己資本利益率ROEの向上、2015年度予想ベースでのPERは12倍台、需給関係で言っても日銀のETF買い入れ、GPIFの株式買い増し、10ヵ月のボックス相場での安値圏を買ってきた個人投資家の利食い売り済みの待機資金、等々、強気材料はいくらでも並べられる

「2015年度予想の日経平均が20,500円」では12月8日の高値の僅か13.6%高にすぎない。それは11月4日の黒田QQ2から12月8日までの上昇率と概ね似ている程度だ。強含み往来相場と言う範囲だ。

もっと強気の見方はいくらでもあるが、ここでその根拠を挙げれば1つは野村証券の言う「米国景気の好調本格化」である(若林栄四さんは「米国はコケル。大きな図体が先頭でコケルから他の者は跨いで進めない」と言っているが)。

さらに「3本の矢の国際版」である。

1;日銀と欧州ECBの金融緩和(日銀80兆円のマネタリーベース拡大、ECB200兆円拡大、これでHRBのQE3の規模の2倍弱になる。昔から言う通り「需給に勝る材料はない」。

2;原油価格の下落。十数年前、1バレル25ドルのものが08年(頃)には100ドルになった。それが今は50ドル台に入った。エネルギー自主が改善すれば先進国主導の景気拡大につながる。

3;G20がインフラ中心にGDPの2兆ドル増加を目指すという。日本のGDPの約半分に相当する。

超強気の理屈を紹介しよう。

1;日経平均採用銘柄の1株当たり純利益が今後2年間10%ずつ上昇すれば1,400円になる。高株価政策内閣のもとではPERは20倍でいい
∴1,400円×20倍=28,000円

2;アベノミクス初年の13年は年間上昇率は57%であって、72年の92%に次ぐ。今後も57%上昇があってもいい
∴昨年末の株価17,450円×1.57≒27,400円

さて、ここで「水を差す」ようなことを言って申し訳ないが、ここで水を差すことは後年「冷や水を頭から浴びる」よりマシだと思われたい。

(A)一方、罫線から見た大天井説も出てくる。
過去20年間で3回挑戦した高値圏は、(1)96年の財政出動による6割高相場大天井、(2)2000年のITバブルの大天井、(3)2007年の小泉相場の大天井、この3つは右肩下がりになっている。一旦は2007年の大天井まではあと700円と言うところまで迫った。

(B)ここまで来ると今は誰も気にしていないが、筆者が古典経済学の「マーシャルのk」から転用した(時価総額÷個人現預金)の比率が過去半世紀の大天井だった60%に届いてしまう

平成バブルのころは60%を遥かに超えたが次の関門がある。それは「バフェット指数」を呼ばれる(時価総額÷GDP)の比率で「120%がNYダウの大天井だ」という、これまた今は誰も気にしていない事実が迫ってくる。GDP500兆とすればその120%は600兆になるから、あと20%近いノリシロがある。

(C)また、NYダウが1980年に超長期ボックスを抜けて以来、2倍になった大相場が4回あったが、全部が「日柄は4年~6年だった」という事実と、今が5回目の2倍越えで史上最高値を連続し日柄が5年8ヵ月だという事実である。

(D)ドルベースで見た日経平均はどう見えるか。今は6、7割が海外投資家の売買だから、これを見てなければならない。

そうするとドルベース日経平均は150ドルがこの1年半の間の天井圏に見えてくる。昨年5月の青春期相場の大天井で150ドルを少々上回って以来、150ドルに挑戦したことは15回あったが、それを僅かに上回ったことは4回だけで、あとの11回は150ドルで跳ね返されて、ここが上値抵抗線となっている。

 

『山崎和邦の投機の流儀』第135号(2015年01月04日号)
著者:山崎和邦(大学教授/投資家)
野村證券、三井ホームエンジニアリング社長を経て、武蔵野学院大学名誉教授に就任。投資歴51年の現職の投資家。著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)など。メルマガ「週報『投機の流儀』」では最新の経済動向に合わせた先読みを掲載。
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