さらにNHKによると、文部科学省の松木生徒指導室長のコメントとして「子どもたちが、先生や親などに本当の悩みを打ち明けられない状況があるのではないか。子どものSOSを見逃さないように、スクールカウンセラーの配置や、SNSなどの多様な手段で相談体制を充実させていきたい」と紹介されています。このコメントから、NHKの調査結果の方が実態に近いことを文科省も暗に認めているのだと感じられます。実際に受ける相談案件からも、いじめによる不登校はかなりの数に登るという感触を持っています。
不登校予備軍や不登校の子供たちを減らし、安心して勉強に励むことができるようにするためには、いじめを早期に解決することが大きな鍵だと言えます。いじめを放置するから子供たちは傷つき、不登校になってしまうのです。いじめは早期に対処すれば、解決できます。私たちにアドバイスをくださる先生方の中には、「ちゃんと対応すれば、基本、いじめは一日で解決できるんですよ」と述べる方が多くいらっしゃいます。早期解決ができれば、不登校にならずにすむのです。
今年の3月にはこのようなニュースも流れました。2017年4月の長崎市の私立高2年の男子生徒の自殺を「いじめ」が原因とした第三者委員会の報告を学校側が拒否し、それどころか、遺族に「突然死したことにした方が良いかもしれない」とか、「転校したことにもできる」などと持ちかけていたという内容です。
学校や教師が、こんな恥ずかしい対応をしている場合ではないのです。日本のひきこもりの問題がクローズアップされていますが、その問題の奥に教育行政の問題、子供たちとの関わり方の未熟さが隠れているのだと思います。ぜひ、子供たちを正しい方向に導くためにも、大人である私たち、そして何より教師が、まずは「嘘をつかない」という姿勢を示すことが第一歩だと思います。子供たちに道徳の授業をする以前の問題として、教師に対する道徳の授業が必要であり、文科省は教師のモラルの向上に努めていただきたいものです。
社会的な不安もある中で、子供たちを見守ることは大変なことだと思います。不安なことや疑問などありましたら、精一杯、お応えしたいと思いますのでご遠慮無く、ご相談ください。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明
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