現役30年のアナウンサーが伝授。5G時代の「寄って見せる」話し方

 

例えば、ある新製品の新機能を紹介するシーンで、その新機能を司っている部位があり、その部位のデザインに新しい工夫があるとします。

ラジオのような音声だけの発表や、紙媒体での紹介であれば、「新製品の第一の特徴は、これこれこういう新機能が搭載されたことです。この新機能にどれほどのインパクトがあるかといいますと、今まで、〇〇するしかなかったことが、××だけで可能になるんです!」

などというような説明が先に立つところ、見せながら話すのであれば、「まずこの部分をご覧いただけますでしょうか?新製品ではこのような、ちょっと見慣れないデザインが追加されました。なぜこの部分がこうなっているかというと、これによって、こうすることが可能となって、その新機能が実現できた、というわけなんです…」

というように、言いたいこと=新機能についての説明を、なぜこのデザインか?という疑問に答える形に変換して、話すことができるわけですね。

また、人によって情報の受け取り方は様々だと先述しましたが、こちらが話をしたいその疑問を、一見しただけでは感じなかった人もいるものです。そういう人に対しても、こういう「ものの見方」があるんだということを、提示してあげることも必要になります。

そんな時にも、「ここがこうなっているのは、ちょっと変わってるな、って、思いますよね?」とか、「…思った方も多いですよね?」「…と思った方は、かなり鋭いですよ」などの言い回しで、話し手から疑問を提示して、自分の言いたい話に繋げるようなやり方も、多くの場面で使えると思います。

このような、見せながら、聞き手に何かを感じさせる時に最も大事なのは、きちんと視線を集める、ということです。言葉を換えれば、「見せたいところをクローズアップする話し方」です。

どういうことかというと、感覚的には、テレビの情報番組などで、「カメラさん、ちょっとここ、寄ってもらえます?」などとレポーターが言うのをきっかけにして、カメラの映像が、ググっと、その見せたい部位を大写しにするようなシーン。あのようなイメージで、聞き手の注目を集める工夫です。

表現としては単純に、「ここをご覧ください。」でも良いのですが、それに加えて、「ここがこうなっているのが、わかりますよね?」というように、より詳細な描写をすることで、聞き手の視線が、そのものの細部に達し、結果、聞き手の集中力が高まるわけです。

注目は大雑把にさせるのではなく、もう一段階、微細なところまで、寄って見せることが、コツになります。そしてそこで、「こうなっているのが、わかりますよね?」と問いかけられたら、何と答えますか?「ああ~確かに、そうなってますね」と答えますよね。
こういうやり取りが、徐々に、共感につながっていくわけです。自分の話が共感されることに否定的な人は、滅多にいないと思います。

image by: Shutterstock.com

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アナウンサー歴30年、極限の環境で話し続ける著者が、実体験から会得した「話し方のコツ」を理論化。人前で話す必要がある人の「もっと〇〇したい」に、お答えしています。一般的な「話し方本」には無い情報満載。

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