女優の蒼井優さんは婚約指輪は必要ないと言ったようですが、左手の薬指に贈り物のリングをすることを夢見る女性がいなくなったわけではありません。『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者でNY在住のりばてぃさんは最近、友人の婚約指輪選びに付き合ったそうで、日本とは少し違うアメリカの婚約指輪事情を教えてくれました。なかには、「婚約指輪のアップグレード」という日本にもあったらいいな、と思える仕組みもあるようです。
アメリカでは婚約指輪が半額セールに?
(1)婚約指輪
日本でも6月はジューンブライドといって結婚式が多くなる月だが、アメリカでも同様で、6月を中心に秋までの季節が良いこの時期は結婚式が多い(アメリカの場合は、ジューン・ブライドという理由の他に夏休みを取りやすい時期という理由もあるようだ)。
そんな流れの中で、友人の1人がこの度、晴れて婚約することとなった。通常なら、片膝をついて小さな箱を開けて、「Will you marry me?」(僕と結婚してください)「Yes!!」(はい!!)…となるのが定番の流儀として、結婚を申し込まれる。
非常に憧れのシチュエーション。ニューヨークでも度々みかけるシーンだったりする。おそらく、在住者以外にも、憧れの街とか、旅行に来た記念にプロポーズするという人も多いのだろう。
ご参考:
● 映画のワンシーンじゃありません
でも、友人カップルは今回この行程をひとまず後回しして、婚約指輪を彼女が先に選ぶことに。そして、彼女の最初の指輪選びの視察におつきあいすることとなった。
友人カップルは互いに2度目の結婚ということと、彼女の好みがかなりこだわりがあるということで、彼氏から「先にどれが良いか選んできなよ」と言われたのだそうだ。
それで、1人ではきっと決められないからということでついていくことになった。その時の経験が少し興味深いものだったので今回のメルマガではそのお話をしようと思う。
(2)購入先は、アウトレットモール?
アメリカで婚約指輪を購入する場合は様々なオプションがある。世界的にも有名なティファニーなどの高級ブランドで購入するという人もいれば、ニューヨークの場合は、ユダヤ系の方々が経営する宝石ショップが並ぶ「ダイヤモンド・ジュエリー通り」(Diamond Jewelry Way)でという人もいる。ちなみに場所は47丁目の6と5番街の間。
ご参考:
● NYミッドタウンの6番街沿い、42~50丁目付近をお散歩
今回は、7月4日の独立記念日のホリデーに合わせて半額セールをしていたニュージャージー州にあるプレミアム・アウトレットにみにいくことに。ダイヤの婚約指輪が半額!?ということだけでも驚きだったが、アウトレットというのもなかか興味深い。
日本で婚約指輪が半額セールになっていたりアウトレットで選ぶことってあまり無い気がするがいかがだろうか。
ちなみに彼女はこだわりは強いが、ブランド商品にはあまり興味がない。気に入ったものなら何でも良いというタイプだ。ただし、気にいったものが非常に高額な場合もあるので(高いほどデザインが凝っていたりもする)、彼氏と本格的に選ぶ前にあたりをつけようということらしい。
「半額セールしているよ」という情報は彼氏から聞いたそう。おそらく、いくらこだわって高額なものを選んでも、半額なら2千ドル(20万円ほど)でおさまるのではないかと彼氏は思ったそうだ。
ちなみに、日本での婚約指輪のダイヤは大きすぎると品位がないという見方もあるそうで、0.3カラット前後が一般的で大きくても0.5カラットほどのようだが、アメリカでは、1カラット前後が一般的だそうで、彼女も1カラットの指輪かなぁと話していた。
アメリカのほうがカラット数が大きいのは、売られている価格が日本よりずっと安いという事情も関係しているのかもしれない。
早速、半額セールしているというアウトレットモールへ。そのアウトレットモールは、高級デパートのニーマン・マーカスやサックス・フィフス・アベニューなどのアウトレット商品や、各種ブランドのアウトレット店が入っている。
そして宝石店は、ゼールスとキージュエリーや小規模ブランドの集まるジュエリーセクションとなっていた。まずは、小規模ブランドの集まるジュエリーセクションへ。こだわりの強い彼女はこういったオリジナル商品が多い店が好きだ。
何かお探しですか?と、店に入った途端に近くの店員さんが声をかけてきた。婚約指輪を探していると伝えると、ここからここまですべて婚約指輪で、いまならすべて75%割引きです、という。半額になるというだけでも驚いていたのに75%も割引きになるなんて!!2人で興奮しながら気になる指輪を次々とみせてもらった。
「これ素敵だわ」彼女が選んだのは予想どうり複雑なデザインの大きめの指輪。でも、中央のダイヤは0.5カラットと小さめ。全体的に小さいダイヤがあしらわれていることで、全部で1カラットほどだが比較的大きい印象のデザインのものだった。
75%割引きだし、アウトレットだしそんなに高くないだろうと値段を聞くと割引き後で5千ドル超(50万円)だった。他のも安くて3千ドルほどで、ダイヤの総量は相変わらず1カラット以下。大幅な割引きがある割には高い。割引き前の価格がティファニーの婚約指輪並みなのだ。
だんだんと騙されているのではないか?という気分になってきた。なぜ高額なのかその理由を聞くと、オリジナル商品だから、という。うーん…。ひとまず、その宝石セクションを離れることにした。
この時点ではじめて友人に予算を聞いてみた。なんとなく他人のカップルの事情だし、最初から予算を聞くのも失礼かと思っていたけど、あまりにも高額な指輪ばかりが棚に並んでいたので自分たちの想像していた商品はここにはないかもしれないと思い始めたからだ。
指輪に限らないが、アウトレットといっても、比較的安くなっているというだけで非常に高額な数十万円のものが7割引きということも珍しくない。特に宝石店の入るアウトレットは実は想像以上に高い宝石を扱っているのかもしれないのだ。
「ところで予算はいくらなの?」「うーん、半額になって1500ドル(15万円ほど)くらいかな。私たち旅行好きだから、世界中を周りたいと思っていて、指輪はそこそこの見た目なら高額じゃなくていいのよ」
たしかに、半額で1500ドル(15万円ほど)の予算ならティファニーなどの高級店で選ぶには選択肢が少ないかもしれない。「じゃあ、ゼールスとキージュエリーにいってみようか」ゼールスとキージュエリーは中堅規模の宝石チェーン店なので、様々な予算に対応してくれそう。まずはゼールスへ。
ご参考:
● ゼールス
少し年配のベテランっぽい女性店員さんがニコニコしながら出迎えてくれた。予算と好みを伝えると、いくつか選んでくれた。しかも、ダイヤやデザインの説明も丁寧にしてくれたのだ。
「この指輪はあなたの予算内だけど、ダイヤが少し曇っているからおすすめしないわ」…と説明してくれた指輪は75%引きだった。大幅値下げには理由があるのだそうだ。
ちなみに、お店の人によると、アメリカで近年人気の婚約指輪は、以下のようなペアシェイプのような楕円形、もしくは、真ん中にメインのダイヤをおいて周辺を小さいダイヤなどで飾り全体を大きく見せるタイプ、3つの石を並べたスリーストーンタイプ(3つの石は過去、現在、未来という意味を持つ)なのだそう。
ティファニーの商品でご参考画像:
● Tiffany Soleste? Pear-shaped Halo Engagement Ring with a Diamond Platinum Band
● Tiffany Three Stone Engagement Ring in Platinum
ゼールスでは、私たちが見に行った週末まで半額セールを特別にしているけど、通常は3割程度までとのことだった。でも、店員それぞれの裁量で若干の割引きができるという。
もし、高額なものが大幅に値下がりしていたら映画『ブラッド・ダイヤモンド』で有名ないわくつきのものや、それこそ偽物ということもあるため、気をつけるようにとのアドバイスも頂いた。
たしかに、いろいろ調べると、本物かつ正当なルートで入手しているダイヤはゼールスのような宝石の正規店やティファニーなどの高級ブランド店なら保証されているし、店側もその辺をちゃんと説明してくれる。個人経営のこだわりのデザインのお店もちゃんとしているところは説明がされるはずなので、判断基準の1つになるのかもしれない。
なんだかんだと話は進み、いくつか気になる商品を3つに絞った。念の為、キージュエリーも見たが、結局、彼女はこの日、ゼールスで指輪を購入。
予算を少しオーバーした20万円ほどだったが(彼氏から現金で彼女に支払われる)彼氏に電話で相談して、半額セールはその週末までということで決めたのだった。半額セールで20万円ほどなので、本来は40万円ほど。ダイヤの総量は1カラットだったので、けっこうお得ではないかとのことだった。
ちなみに、いわゆる一生もの…と言われる婚約指輪だが、アメリカでは、後日、アップグレードするのは比較的一般的。若いときに結婚して、その時はシンプルなプリンセスカットが好きだったとか、予算的に高級なものを買えなかったとかで、歳を重ねて豪華な指輪に交換するのである。
なので、ティファニーなどの高級店はもちろんだが、ゼールスといった宝石チェーン店では、アップグレードに対応している(追加料金を支払うまたは同等の金額を払うと2倍の価値の指輪に交換できるなど)。
今回、友人は割引き商品を購入したが、元値は40万円ほどなので、将来、高価なものにしたい場合は、40万円以上の指輪になるのだ。
ちなみに、昨年、イギリスのヘンリー王子とご結婚されサセックス公爵夫人メーガンとなったメーガン・マーケルさんは、つい最近、婚約指輪をアップグレード(バンド部分を変更)したとしてニュースに。
ご参考:
● Meghan Markle Secretly Upgraded Her Engagement Ring and It Almost Went Unnoticed!
なお、メーガンさんも婚約指輪と結婚指輪の両方をつけているが、アメリカでも両方をつける人が多め。
今回、友人の婚約指輪選びにつきあってみて感じたのは、どれも素敵すぎるので、選ぶのが難しい。結婚相手に予算を言われていても、自分のお金じゃないと高額なので遠慮してしまう。だから、後からアップグレードできるという選択肢は自由度が高くて選びやすい。
そして、指輪1つにも様々なストーリーがあるのかもと感じたので、今度、少しご年配の仲良い友人に話を聞いてみようかな。
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