一度聞いたら忘れられない商品名や心にグッとくるキャッチコピーは、私たちの購買意欲をかきたてるものです。では、そんな心惹かれる商品名やコピーを作るためには何が必要となってくるのでしょうか。今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』では著者で人気コンサルタントの中久保浩平さんが、なにより必要となってくるのは「感性」であると断言した上で、誰にでもできる「感性の磨き方」を紹介しています。
商品名やキャッチコピーを考えるヒント
商品のネーミングやキャッチコピーを考えるときに必要なことはなんだと思いますか?
という質問をすると、大抵が「顧客の心を掴む」とか「一目でその商品が何か分かる」というような答えが返ってきます。確かに、それらはとても大切なことに違いありません。ですが、最も大切なのは“感性”です。そもそも感性が無いと「一目で分かる」とか「顧客の心に訴えかける言葉」など出てこないからです。
というと、「感性なんてものは生まれつきだからどうしようもない」と思われるかも知れませんが、感性は磨くことが出来ます。つまり、いくらでも養え、鍛えることが出来るのです。
ではどうやって養い、鍛えるのかというと、消費者、お客さんの感性をざっくりでも“知る”ことです。どういうことか?説明します。
そもそも感性とは、心理学、哲学によって定義がばらばらなのですが、しいて言えば、知覚的な能力のことを言います。簡単に言うと、善とか美とか、物事・事象・形など評価判断に関する印象を感じる力です。なので、誰もが持っています。
子犬を見て「わぁかわいい」。お花を見て「まぁ綺麗」。
そういうことです。
つまり、感性を磨く、養うということは、他人の評価判断の幅を知り、それを受け入れることです。子犬を見て「わぁかわいい」と思う人もいればそうでない人もいる。「そのどちらもありであるということを受け入れる」ということです。要は、他人の持つ感性に触れることで自分の持つ感性の幅を拡げることが出来るのです。「そのような見方もあるんだ~」と。
こうしたことを知っておかないと、お客さんの心に訴えかける商品やサービスのネーミング、キャッチコピーなどは出てきません。どこぞのテクニックやノウハウを猿真似し、「このキャッチならお客さんに響くだろう」「これならイケルだろう」などと、「だろう」という独り善がりのものだけが出来上がります。
では、実際、感性を活かしてネーミングやキャッチコピーを作るにはどのようにしていけばいいのか?ってことですが…、そこで必要となるのが、マーケティングリサーチです。
マーケティングリサーチというと、お客さんの属性は?とか、この商品は20代~30代のお客様に受け入れられるか?どの時間帯(あるいは地域など)だとこの商品が売れるか?など、データ収集のイメージを持たれると思いますが、商品のネーミングやコピーを考える場合、お客さんの感性を知る、という目的で行うことが必要です。
つまり、Aという商品のキャッチコピーを考える際に、机上やPCで情報検索しながらあれこれ考えるのではなく、実際にAという商品の類似品、同一カテゴリーの商品を置いている現場へ行き、それを手にするお客様に「なぜそれを手に取ったか?」を取材してみることです。最低でも50人くらいのアンケートをとってみると統計が取れるはずです。
商品を手にしたきっかけが何なのか?どのようなお客様が手にし、なぜ手にしたのか?具体的に見るということです。たとえば、Cという高級チョコレートを新たに販売する予定でキャッチコピーを考えなければならないとします。市場では、既に同様のチョコレートAとBが売れています。AもBも同じ値段で、中身もほぼ同じ。ただパッケージだけが違っています。
Aの方は「甘さ控えめ、本格ビター」、Bの方には「苦味のある大人の味」と書いてあり、Aはワインレッドカラーのパッケージが特徴的、Bは茶系の高級感あるパッケージが特徴的。A、B、どちらが良いとか悪いとかではなく、Aを手にした人もいればBを手にする人もいる。その双方に商品を選ぶポイントや、どういうときにチョコレートが 欲しくなるか?などを具体的に聞いてみるのです。
Aを手にした人には、ワインレッドのパッケージの色に惹かれた人もいれば、甘さ控えめと書いてあるのが決め手。という人もいる。Bを手にした人は、大人な味、ってどんな味?と気になったという人が多かった。また、「チョコを欲しいと思うときは?」という質問に対しては、習慣になっている人もいれば普段は食べないけど、月に1回程度は欲しくなるとか、洋酒が好きで、そのおつまみとして、など様々な意見が出たとします。
こうした生の取材から、キーワードを抽出することではじめてCのネーミング、キャッチコピー、パッケージのヒントを見出すことができるのです。つまり、自分の今ある感性だけで、「高級チョコレートならこうだろう」というようなネーミングやコピーは当てにならないということです。実際に、お客さんの感性に触れることが何より重要なのです。
商品のネーミングやコピーを考えるとき、目の前にいるお客さんと話しをしてみましょう。それだけで感性が磨かれ、ヒントがたくさんあることに気がつくでしょう。
■今日のまとめ
「商品のネーミングやキャッチコピーにはテクニックではなく感性が必要」
- 感性を磨き続けるために普段からどのような工夫ができるか?考えノートに書き出す
- 書き出したことを日々実践する
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