サッカーには試合の動き全体を見ながら、攻守に有効な手を打つ「司令塔」と呼ばれる選手がいます。飲食店でその役割を担うのは店長。では、店長が営業中の店舗で司令塔の役割を果たすために立つべき場所とはどこでしょうか。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では著者で飲食店コンサルタントの中西敏弘さんが、売上にもつながる営業中の店舗内で大切な「店長のポジション」について解説しています。
営業中の店長の働くポジションをもっと意識しよう!
店長の役割というのは色々とありますが、営業中の店長の役割をどう考えるかは非常に大切だと、僕は考えています。
基本的なあるべき姿というのは「すべてのお客様を満足させること」と「すべてのスタッフがいい意味で楽しく働いてもらうこと」が、営業中の店長の役割だと考えています。業態等によっても若干変わってくると思いますが、特に、居酒屋、焼き肉、レストラン棟のテーブルサービスの業態は、上記の考えがすごく大切だと思っています。
このあるべき姿を実現するために、店長として「どこのポジションで働くべきなのか」をもっと意識すべきでしょう!
なぜ、このように思うかと言えば、上記のあるべき姿を実現するポジションに店長がついた店ほど、「売上が上がる」傾向が強いからです。どうして「売上が上がるのか?」と言えば、きっとあるべき姿が実現するということは、それだけ、「お客様満足度」が高くなるからなのです。
僕の過去のご支援先の中に、焼き肉店、焼き鳥店があったのですが、毎月の打ち合わせで店長に、「店の問題点をだして」と課題を出していました。僕は、店の改善とは、「お客様の不満を取り除くこと」が大切であり、つまり、店の問題・課題というのは、「お客様に対して不満にさせていること」「お客様にできていないこと」であるべきなのです。
しかしながら、上記の店長さんたちは「人が育っていない」とか、「効率が悪いところがある」、などという「店側の問題」を出してくるのです。何度も何度も、「課題、問題点というのは、お客様に対してできていないこと、不満にさせていること」と話したのですが、一向に改善されませんでした。
なぜ、何度も言っているのに、“店の課題”を出せないんだろうと考えると、きっと、この店長たちは、キッチンにずっといることが多いので、「お客様に対してできていないこと。不満にさせていること」を見つけることが出来ないのだと、結論付けました。
そこで、店長のポジションをホールもしくはフリーポジションに変えると、その2~3ケ月後には、問題点を上げることができるようになるとともに、店の売上も自然に伸び始めたのです。店長が店全体に気を配り、お客様・スタッフに気をかけるようになると、それぞれの(お客様、スタッフ)の満足度が上がり、スタッフが楽しく働けるからお客様も満足して帰ることができるようになる、つまり、お客様満足度が向上したのです。
それ以来、店長が営業中、どこのポジションで仕事をするのかは非常に大切だと思うようになりました。
色々な会社をご支援させていただいていますが、商品に力を入れている会社・店はキッチンに社員が入る傾向が強く(それだけ商品を大切にしているということですね)、ホールはアルバイトが担うことが多いようです。そのため、ホールスキルが低い店が多いようで、ホールスキルの向上に力を入れたいという要望をされる方もたくさんいました。
通常であれば、アルバイトへの接客指導を強化するのですが、それと同時に、店の責任者(店長が基本ですが、店長が休みの時があるので)になりうる人の営業中のポジションをホールにする仕組みを作る事にも時間を割きます。
また、店長がホールにでる仕組みがなかなかできない店は、アルバイトへの接客指導を強化しても、なかなか売上が上がるということはありませんでした。しかしながら、「責任者(店長)がホールに出る」体制が実現でき、店長を中心としてホール業務を強化していくと、売上は上昇カーブを描くようになります。
さて、あなたの店は、店長が営業中どのポジションにつくべきかにこだわっていますか?このこだわりによって、売上が大きく違ってくるかもしれませんよ!
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