苦戦のモスバーガー、最上位店「モスプレミアム」は生き残るか

 

モスプレミアムを出した理由は?

ではなぜ、モスバーガーは、このような最上位店舗を出したのでしょうか。まず主力のモスバーガーのファストフード市場は、そもそも競争が激しく、少子化・人口減などもあり、その中でモスバーガーも、高業績を上げるには至っていませんでした。さらに、一時期低迷していたマクドナルドが、ここ数年劇的に業績を回復しているので、この傾向はさらに進んでいると言えます。

そこで、モスブランドを生かしての付加価値がついた、高級バーガー市場に参入していくという戦略です。1個1000円以上する高級バーガー業界は、アメリカのシェイクシャックが日本市場に入って以来、カテゴリーとして確立されました。 また、現在でも伸びているカテゴリーでもありますし、とうぜん、1個あたりのマージン(限界利益)は、ファストフードよりも高くなるため、この戦略は一見正しく見えます。この考え方は、企業側からの視点で書きましたが、一方で、ユーザーから見た場合について考えてみます。

モスバーガーがこの市場に参入していくことは、消費者から見ると、モスプレミアムは、ファストフードチェーンの上位店ということではなく、こういった高級バーガー店と比較されることになります。高級バーガー店は全国チェーンでやっていると言うよりも、小規模チェーンか単独店舗が多いため、メニューも独創的です。

そうなると、お値打ち、便利というこれまでのキーワードではなく、「ここでしか食べられない」味や特徴が決め手になってきます。言い方を変えると、ユーザーに「この値段だったら、普通のモスバーガーを2個食べられるよね」と比較されては高級店舗を出す意味がありません。 モスプレミアムについては、まずすべきは、もう一度行きたくなる「とんがったメニュー」を出すことです。

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