毎回意外なビジネスアイディアを取り上げ好評を博している、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさん。今回は自身の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』で、「自社のデメリット」や「顧客が感じている煩わしさ」等を見事にビジネスに生かした企業を紹介しています。
デメリットをアピール
村上農園の「豆苗」が売れています。えんどう豆を発芽させた、いわゆる芽野菜、スプラウトと呼ばれるものです。
健康志向や1つ100円程度という安さで売れているのですが、もうひとつ理由があります。この豆苗を使う際、スポンジに植えられた下の部分を切り取り、水に浸しておけば、再び芽が出て、二度三度と収穫できるのです。
これをPRしたことが、節約志向の消費者に受け入れられたのです。
企業にとっては、販売機会の損失というデメリットなのですが、消費者にとっては、メリットとなります。敢えてデメリットをアピールしたことが、大ヒットに繋がったのです。
パッケージ
中華レストラン「バーミヤン」のお持ち帰りプレートが、静かなブームとなっています。パーティ用の中華惣菜がたくさん盛られた商品で、そのパッケージが人気の秘密です。
フタを土台としてテーブルに置き、その上に惣菜の入った容器を乗せると、中華の回転テーブルのように、クルクルまわるようになっているのです。
これは、素晴らしいアイデアです。子どもはもちろん、大人でも楽しくなります。パッケージひとつで売れるようになるお手本です。
熟成
「坊勢(ぼうぜ)サバ」をご存知でしょうか。瀬戸内海に浮かぶ坊勢島の沖で獲れたサバを「畜養」することで、高値で売れる“ブランドサバ”に変身させています。
畜養。つまり、獲ってきたサバに、栄養豊富なエサを与えることで、脂の乗った付加価値の高いサバに育て上げているのです。
獲ったサバをそのまま市場に出せば、1kg数百円にしかなりませんが、畜養することで、1kg4,000円もの価値がつきます。
そのまま売らずに育てるビジネス手法は、他の食品にも見られます。果物やさつまいもなどは、低温貯蔵で糖度を上げてから、出荷しています。
すなわち、ビジネスに“熟成”を取り入れたことで、収益の大幅アップを実現しているのです。
ラベルレスボトル
ある飲料メーカーでは、ネット通販や生協向けに、「ラベルレスボトル」の麦茶を販売しています。ボトルに張りつける、名前や詳細がデザイン的に記載されたフィルムをつけていない商品です。
ゴミの分別が細かくなったことで、ペットボトルのラベルを剥がす必要があります。この作業を面倒だと思う人が8割もいるため、ラベルをつけないようにしたのです。およそ3秒ほどの手間なのですが、消費者は煩わしいと感じていたのです。
この結果、売り上げが伸びているのです。
image by: Shutterstock.com