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NYから憧れのネス湖でネッシーを探しに出かけた邦人社長旅行記

メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者で米国の邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さんは、久しぶりにひとり旅をすることになったそうです。そこで今回のメルマガは、旅先としてスコットランドを選んだ理由から、機内での出会い、アメリカの航空会社に関して長年抱いていた疑問など、エディンバラに着くまでのさまざまな出来事に関して、筆者ならではの視点と筆致で綴る、「なかなか目的地に着かない」旅行記となっています。

ネッシーを探す旅 私的スコットランド紀行」その1

この夏、かなりの過労とストレスで、心と体がぶっ壊れていました(汗)完全に心身共にヤラレていました。相談したドクターに「ふらっとニューヨークを離れて、人里離れた空気のいい田舎にでもひとり旅してこい」とアドバイスを受けました。

どこに逃げたところで、仕事も自分も追いかけてくるわけで、僕の場合はバケーションが息抜きにならないことは、今までの経験上、自分がいちばん知っている。「仕事のストレスは仕事でしか解消しない」というのが座右の銘の僕には、そのドクターのありがたいアドバイスを本気で考えることもありませんでした。

「でも、そうしてきたことで、ストレスが溜まってきた15年間じゃなかったの?」さすが、うちの奥さま、僕の顔色を見て、今回ばかりはヤバイかもと思ったのか「ひとりでゆっくり旅でもしてきたら」といつになく、マンハッタンを離れることを勧めてきます。子育てに追われ、慢性睡眠不足の家内がそう言ってくるっていうことは、そーとー、オレ、ヤバイのかなと思うようになりました。

では、どこに?オレは、どこに行きたいんだろう。田舎より、都心部の方が圧倒的に好きな僕は、ロンドンやパリ、上海や香港を候補地として考えていました。都会から離れ、ぼーっとしに行くのに、ニューヨークと変わらない都市を選んでどうするの!?と妻に怒られてから、子供の頃から、絶対に一度は行きたい憧れの場所を思い出しました。

「あ!そうだ!ネッシー見たい!」

特別、UMA(未確認生物)に興味がある子供ではありませんでした。でも、なぜか、ネッシーにだけは惹かれていた。幼少の頃からネッシーを特集した書籍を買っては読み漁り、テレビ番組で特集されては録画をしていました。どうして、首長竜の生き残りと言われる北イギリスの伝説に、ここまで惹かれているのかは、まったく説明はできません。

しかも、おそらく、世界中の未確認生物オールスターズの中でも、現実的にいちばん、いそうにないキャスト。ビッグフットやUFOに比べて、生息域が限定されすぎている。今の化学で答えが出ていないわけがない。舞台は特定のひとつの湖なんだから。

そう、生存確率は限りなくゼロに近い。見れるわけがない。というか、いるわけがない。でも、行きたいと思いました。ネス湖に。間違いなく、見ることはない、伝説の海獣を「見る」ために。

子供の頃から憧れ続けた湖まで実際に行き、「やっぱいないんだなネッシーって」と思うことが、今の自分にはなにより大切なことだと思ってしまいました。理由はうまく説明できないけれど、とにかくそう思っちゃったのです。

ということで、行き先はネス湖に決定しました。ガイドブックで見る限り、結構な田舎風景だし、当初の「ゆっくりとする」という目的もクリアだろう。嫁も主治医も文句言わないだろうともともと僕の心配をしてくれている人たちの顔色を伺う本末転倒な意味合いで決定しました。

で、ネス湖ってどこにあるの?子供の頃から夢中になっていただけに、スコットランドということは知っていた。北ハイランド地区ってこともわかっていた。でも、首都のエディンバラからどのくらいの距離と時間で、移動手段はなんだろう。

そこから、この夏の強制バケーションはスタートしました。7月最終日のユナイテッドエアライン、エディンバラ行きに乗ります。社員に「海外旅行って数日前に決めるもんなんですか?」とイヤミを言われつつ。

実はイギリスには過去、何度か足を運んだことはあります。前回、ここのメルマガでも書いたように、世界基準の地図で見ると、アメリカ東海岸と大英帝国はあまりに近い。大西洋を挟んで、すぐ隣です。日本版の日本を中心とした地図だと、その位置関係はすごくわかりづらいですが、ニューヨーカーにとって、ブリテンは、ご近所さん。実際、世界の飛行機会社で一番便数が多いのがニューヨーク-ロンドン間だそうです。

結局、20世紀は、この両都市が世界の中心で、世界の基準でした。なので、ロンドンではなくとも、同じイギリス、スコットランドも結構なフライト数だろうと勝手に踏んでたところ、ユナイテッドエアーではわずか1日に1本!このフライト数からも、同じイギリスとはいえ、イングランドとは似ても似つかない国に行くのだろうなぁと予想できます。

そして、時差。意外と東海岸とヨーロッパって時差が厳しいんです。真逆になる日本は、そこまでの飛行時間も長く、機上で調整できなくもない。でも、ニューヨークとエディンバラの時差はびみょ~に5時間。飛行時間は7時間半。つまりニューヨークの真夜中の体内時計のまま、到着したら、ギンギンの朝が始まります。ロンドンの日中は、毎回、歩きながら寝ていたことを思い出します。それでも、若い頃は時差なんて、考えもしなかった。どうでもいいと思ってた。時差が気にになる時点で老化なのだと自覚します(笑)

ニューヨーク時間夜8時35分、エディンバラ行きの飛行機に乗るために、夕方6時ごろ、自宅前から出ているニューアーク空港行きのシャトルバスに乗ります。あくまでバケーションなので、タクシーなどの贅沢はできません。バス乗り場まで見送りに来てくれた4歳になったばかりのうちの双子と8歳の熟女犬。パパどこ行くの~っと泣き出す娘を見て、このまま全部キャンセルしようかなとふと思ったりする。バスが走り出すと同時に、ドラマのように、双子がバスに並行して追いかけてきます。それを見ていた乗客のニューヨーカーたちが一斉に「OH~」とため息をつくも、父親としては感動とか嬉しいとかより、勢い余って、歩道から飛び出して、車道まで追いかけてこないかと気が気でない。

30代、まだ子供がいなかった頃、ひとりで世界中を旅しました。今まで訪れた都市は100を超えます。でも、今は、追いかける息子と娘を見て、もうあの頃のように、気軽にふらっと、ひとり旅できる立場ではないんだなぁと思い知らされます。ニューアーク空港に到着し、チェックインしたのち、妻に電話をして、そのことを話すと「はぁ?あったりまえだろう。いい歳して今頃気づいたのか?世間じゃ10年前の年齢からそうしてる」と逆に説教されました。

旅慣れしているとカッコつける僕は国際線でも1時間半前に到着し、列の長さによって、毎回、ドタバタと焦る、まるで旅行初心者みたいなことを繰り返します。今回もギリギリ飛び乗るスコットランドの首都エディンバラまでの7時間半の旅。もちろんエコノミー。ニューヨーク時間では夜なので、機上では本格的に睡眠を取ろうと昨夜から決めていました。

隣に座ったスコットランド人老夫妻が7時間半、延々話しかけてくることは予想外でした。とても品のある70代くらいのおじいさんとおばあさんは、ニューヨークに観光しに来た帰りなのだとか。機内ずーっと、ニューヨークの悪口を聞かされました(笑)。せわしなくって、いそがしすぎる。人の歩く速さが速すぎる。街中いつも騒音ね、などなど。

ケラケラ笑って聞くしかなく、しかも、ひととおりの悪口のあとに、必ず、品のよい感じで「あら、ごめんなさいね、ニューヨークに住んでいる人に、こんなこと。どうぞ、聞き流してね」といちいち謝罪も丁寧につけてきます(笑)。で、次の瞬間には、地下鉄の匂いに耐えられない。建物が高すぎて目が回る。しゃべる人の声の音量が大きすぎる。などなど…、と別のクレームの話題に移ります。

なのに、どうして、旅行先にニューヨークを選ばれたんですか?そう聞くと、息子が今回ニューヨークに転勤になったから、仕方なくなの。と説明してくれました。そして、実は息子の嫁が日本人だということ、その嫁が北海道出身だということも教えてくれました。あなたHOKKAIDO行ったことある?そう聞かれたので、残念ながら、と答えると、ニューヨークまで来て、暮らして、バケーションでスコットランドまで行くのに、母国の北海道には行ったことないの!?と驚かれました。

そう、僕は世界100都市以上に行ってるにも関わらず、母国ニッポンは実は、どこにも行ったことがないんです。南は中学の修学旅行で九州行ったきり、沖縄もない。北に至っては、東京が最北端。北海道どころか東北すら行ったこともない。日本国内旅行は老後の楽しみにとってます、と笑うと「北海道には今すぐ行くべきね。ニューヨークより、そして私たちのホームタウンのエディンバラより、ずっとずっと綺麗なところなんだから」と、まるで自分のホームタウンのように、嫁の地元を誇らしげに語ってくれました。日本人の僕に。

まさかニューヨークーエディンバラ行きの飛行機の中で、スコットランド人のおばあちゃんに北海道の良さをコンコンと説明されるとは。でも、なぜか、やっぱり、嬉しくなります。今の地元のニューヨークを散々、ディスられて。行ったこともないのに、同じ日本ってだけで北海道をベタ誉めされて。そこで嬉しくなる。どこまで行っても、やはり、自分は「日本人」なんだと思います。

あと、これ、本当にどうでもいい話なんだけど。アメリカの旅客機に乗った際に、必ず出される「SNACK」と書かれた、ぱっさパサの無味無臭のプレッツエル。これ、美味しいと思う人間がこの世の中に存在するのだろうか。食べるたびに「おまえ、マジか!?」と心の中で、当のプレッツエルにつっこんでる。おまえ自身は、本当に、それでいいのか!?と。おまえの存在理由はなんなんだ!?と。

これ渡米した20年前からずーっと思ってました。で、この20年間、ずーっと出され続けてきました。この20年間、アメリカの飛行機会社は、ずーっと出し続けています。そして、この先も、ずーっっと出し続けるでしょう。否応無く、投げるように、CAさんに、目の前のテーブルに置かれると、「またか」と最近では、笑いが出てしまいます。もう、ただの、木の枝じゃん。木の枝、食ったことないけど、絶対、この味するよ。食感、匂い、舌触り、味覚、どれをとっても、超一流にマズイ。いや、マズくもない。マズイまでいかない。だって、木の枝だもの。(©森永の「小枝」は世界一ウマいけど)

たぶん、航空会社も意地になっているのだと思います。「あたしたちは、この無味無臭の木の枝味のまっずいスナックをこれからも、この先も、ずっっとサーブし続けます!なぜなら、それこそが、これこそが、アメリカのソウルフードだから!絶対に、美味しいスナックはサーブしないことを誓います!」って決意してるに違いない。

会議で議題に上らないのかな?航空会社の会議室、丸テーブルで、誰か勇気ある役員が、会長に手を上げて「あの…、このプレッツエルなのですが、失礼ながら、乗客が罰ゲームと思ってしまうのではないかと…」と言わないのか。「このままでは、欧米人の舌がバカなことが、世界中にバレてしまうおそれがあるのではと…」。

いや、絶対、勇気ある役員は今までだっていたに違いない。でも、翌週には解雇される。社内では陰でヒソヒソ話題になってます。「ピーターさん、クビ切られたの?」「それがさ、会議で会長に、プレッツエル批判したらしいよ」「あっちゃー、、ソウルフードのプレッツエルを批判したら、そりゃあ、この会社にはいられないよね」とか。そうとしか思えない。

実は、マジで、1回、当のアメリカ人に真顔で聞いてみたいと思ってました。まず、このプレッツエルを、食べてもらって。で、その直後にこれ…本当の、本当の、本当に…美味しいと思ってるか?と。

よく喋ってくる隣の老夫婦に、この際聞いてみよう。アメリカ人じゃないけど、味覚に関しては、それ以下のイギリス人だ。(怒られるぞ、オレw)美味しそうに食べている、おばあちゃんに勇気を出して、聞いてみました。「よかったら、これ、僕のも、どうぞ…」のあと、勇気を出して、あの…、これって、テイスティではないですよね。決して美味しくはないですよね。でも……お好きですか?

キョトンとしておばあちゃん、「…美味しいじゃない!おちつくのよ。バーベキューソースのフレイバーのチップスとか、サワークリーム味のドリトスは飽きがくるけど、これは飽きがこないじゃない?」と。確かに。無印良品的なスタンダードの味なのでしょう。美味くもないけど、飽きがこない(日本人の僕は人生一回目で飽きがきたけど)。でも、それこそも、「お国柄」なんだと思います。その国のカルチャーだ。

確かに、昔、有名格闘家のオランダ人、アリスター・オーフレームにインタビューした際、「日本のライスって味ないよな?なんで、みんな我慢して食べてるんだ」と真顔で聞かれたことがりました。新米だろうが、コシヒカリだろうが、ササニシキだろうが、彼らにとってはインパクトがガツンとこない無味無臭の穀物に感じるのだと思います。

確かに、世界中のライスには、味がついています。サフランライスも然り。韓国の白ごはんだって、味は日本同様、特にありませんが、何か別の具を入れていることが日本よりも多い気がします。アリスターにそう言われた時の僕も「美味しいし、美味しい、美味しくないの前に、飽きがこないだろ」と口には出さずとも思った記憶があります。今回のスコットランドのおばあちゃんと同じだ。

ITOEN(伊藤園)が北米でペットボトルのお茶を販売した頃、アメリカ人のおばちゃんが、レジの店員に「甘くないのに、この値段なの!?」とクレームを言ってるのを見たことがあります。他の国の食文化に文句を言う資格はない、ということですね。反省。(それにしても、その上で、それを加味した上で、機内スナックのプレッツエルは改善を強く要求したいけど)

結局、寝るタイミングを邪魔されて寝れなくなり(隣の老夫婦は、ニューヨークの悪口言うだけ言ってそのあと爆睡)仕方なく、映画でも見ることに。映画が異常に好きな僕は機内上映があまり好きではありません。機内アナウンスのたびに中断されるし、CAさんがドリンクを持ってくるたび中断されるし、音が聞き取りづらいし、字幕スーパーついてないし、吹き替えでは見たくないし。なので、前から見たかった作品を見るよりも、どうでもいい作品をどうでもいい感じで見ているうちに、到着しました。エディンバラ国際空港ー。

昔、アイルランドはベルファストの入国審査で、審査官のアイルランド人お姉さんに「あなたニューヨークに住んでいるの?私も昔、一時期住んでいて、また住みたいわ~」と延々語りかけれたことがあります。北イギリス人にとって、ニューヨークは特別な街のようで、今回もそんなことを話しかかられるのかなと思ったいたら、完全オートマチック型入国審査ゲート。いまや、どこでも、パスポートをスキャンして、顔認証して、ドアは開かれます。

ラクでいいなと思う半面、せっかくの“異国に来た感”も薄らぐよう。空港内でドルをポンドに換え、表に出る。人生初スコットランド。え。ちっちゃ、空港の外観。今いたところはこんな小さな建物だったの?まるで、アメリカの地方都市の地方空港。ここ、インターナショナルエアポートだよね。もちろんターミナルはひとつしかなく、平屋で、背が低い。

そして天気は曇り。天候は空港とは関係ないけど、その分、田舎感が際立ちます。空港と市内を結ぶ、唯一のエアリンクというシャトルバス乗り場まで歩きつつ、結局「ニューヨーク」と「トーキョー」が世界でいちばん大都市なんだろうなぁと改めて思いました。

でも、立ち寄った空港内のトイレの入り口の、万国共通の男性を表すシルエットに、「Male」と書かれているのを見て、あぁ、イギリスに来たんだなぁと実感しました。そう考えると日本の男子トイレは「MEN」と書かれている。日本における英語はあくまでアメリカ英語なんだと当たり前のことに気づかされました。

どこかのスポーツクラブの遠征か、同じ緑のジャージ姿の学生くん軍団に紛れて、市内までトラムの旅。平日の朝9時ということもあり、地元の通勤姿のビジネスマンも多く目に付きます。チケットは6ポンド。約700円くらい。首都エディンバラのオールドタウン(旧市街)と、ニュータウン(新市街)のちょうど中間、市の中心、ウェイバリー・ブリッジ駅まで約30分ほど。窓に見える景色は、他のヨーロッパ同様、のどかな田園地帯が果てしなく続きます。地球は結局、海と山と田園です。ちょこちょこ、その間に転々と人間が作った「都市」があるだけだ。

ウェイバリー・ブリッジ駅まで到着すると、そこは新市街。一気に都会が開けます。でも、目にするお店は「GAP」「H&M」「ROLEX」「NIKE」「Skechers」「McDonald」など、世界中で見るお店ばかり。新市街に関しては、もう全世界は一緒なんだと思わされます。確かに、どこに行っても、そうでした。ダブリンも、アテネも、上海も、釜山も、そして、東京も。

Wi-Fiがないので、地図は紙に印刷して持参したアナログ。ホテルの場所を見ると、そこには丘の上に立つ、エディンバラ城。ハリーポッターに出てくるお城のモデルになった建築物。旧市街に予約したホテルは、この丘を越えてむこうです。寝てない体のうえに真夏日の日中、あたり前のようにスターバックスでひと休みします。30代は、カフェで休憩なんて概念もなかったなぁとひとり苦笑い。目的地はあくまでネス湖なので、焦る必要はないか、とそこで結構な時間をつぶしました。

今回の旅行は完全プライベート、リラックスするためのひとり旅なので、スーツも髭剃りも持参せず、Tシャツ短パンの着替えだけなので、スーツケースも持ってきていません。ボストンバックひとつだけ。ラクなようで、コロコロ転がせるスーツケースとは違って、移動の時は結構な負担だと知る。で、これまたどうでもいい話ですが。今回の旅は、世界中に旅をしてきた自分にとって、今までと違う大きな変化がありました。それは、初めてバックパックに鞄を代えたこと。

確かに、書いてる僕自身が、どうでもええわ、と心の中で呟きますが、意外と僕にとっては大きな変化でした。過去20年、すべて、片方からだけの肩がけの、いわゆる「メッセンジャーバッグ」を利用していました。もちろん、片方の肩にかかる負担は結構なもので、毎回、毎回、定期的に、歩くたびに、かける肩を入れ替えていました。もう無意識に。

当然、人体のスポーツ科学的にも片方だけに重力がかかるメッセンジャーバッグより、両肩に均等に重力を分け合う、バックパックの方が理想的であることはわかっていました。特に、歩きまくるひとり旅では、絶対にそっちの方がいい。わかっていたけど、なかなかバックパックに踏み切れない理由もありました。それは…あまりに似合わないから。(マジで、どうでもいい話だな笑)

実際、ニューヨークで社員と営業回りの最中、カバン屋さんに見に行ったこともあります。試着?というか、実際に両肩に背負ってもみました。社員はその姿で爆笑しました。鏡に映る自分を見て、僕も笑いました。だってさ…バックパックって言っても、結局、リュックサックだろう、これ。小学校の時の遠足じゃないか。顔の濃い僕には、あまりに似合わない。なので、これからも、肩に負担がかかるとはいえ、いつものメッセンジャーバッグでいいや、と思っていました。

今回の旅の直前、妻が「セールだったから」と勝手に、僕用のZEROハリのバックパックを購入してきました。いらないよ、だって、子供の遠足姿だぞ、そう言う僕に「気づいてた?ひとり旅から戻ってくるたびに、肩凝り激しくなってるの。誰も注目してないから、こっちにしなさい」と説教されました。

確かに、誰に見られるわけでもない。それに、今や、日本のゴールデンタイムの、人気若手俳優が出演しているドラマでも、登場人物、みーんなバックパック背負ってるしな。2WAY式のオシャレなやつだけど、ビジネスマンの役であれ、スーツにバックパック。ひと昔前では考えられなかったことだと思います。

で、実際、ここ10年、世界中のどこであれ、年齢性別関係なく、もう世界的に、みんなバックパック。流行というより、前述したように、人体的にそれがいちばん負担なく、自然なカバン姿なのでしょう。鏡に映る自分にニヤニヤしながら、とうとう「リュックサック」デビューしました。悔しいかな、やっぱりラクだ。

ホテルは、旧市街のど真ん中、グラスマーケット(Grassmarket)のそのど真ん中にありました。グラスマーケットはパブやレストランが立ち並びます。いまではスコットランドのいちばんの賑やかな場所らしいのですが、かつては死刑執行場として利用されていたエリアだとのこと。そう聞くと、石だたみも妙にリアル。そりゃあ、すぐそこに、エディンバラ城があるわけだしな。お城には、今も、死刑囚の為の監獄が観光名所としてそのまま残されているのだとか。

平日とはいえ、街の真ん中と言っても人はそう多くない。観光客の姿が目立つにしても、決して、同じイギリスでもロンドンとは似ても似つかない。今まで訪れた北米の地方都市のような人の数とひらけ具合です。インディアナポリスや、フィラデルフィア、ボストンや、シアトルくらいの規模。決して、シカゴやサンフランシスコほど大きくもなく、人の数もまばらです。(次回に続く)

image by: NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明, Shutterstock.com

高橋克明この著者の記事一覧

全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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