人間は、与え続ける「ギバー」、奪い続ける「テイカー」、与えられた分だけ返す「マッチャー」のいずれかに分類されるという説をご存知でしょうか。提唱者によると、10人に1人以上は奪い続けることに罪悪感を感じない「テイカー」が存在するのだとか。外資系企業で活躍し、ビジネスマンに役立つマインドセットを伝授している澤円(さわ まどか)さんはメルマガ『澤円の「自分バージョンアップ術」』で、自身が体験した「テイカー」とのやり取りを紹介したうえで、大きな成功を手にすることができる「ギバー」になるための方法を記しています。
「与え続ける人と奪い続ける人」を隔てる壁
皆さんこんにちは、澤円(さわまどか)です。
皆さんは「アダム・グラント」という方をご存知でしょうか?
あるいは「ギバー・テイカー・マッチャー」という人の3分類を聞いたことはありますか?
アダム・グラントさんは、世界No.1ビジネス・スクール「ペンシルベニア大学ウォートン校」史上最年少で終身教授に就任した、とんでもない輝かしいキャリアの方です。
ペンシルバニア大学はアメリカの大学の中でも名門中の名門、その大学の終身教授っていうんですからとんでもない方ですね。
そのアダム先生によれば(or提唱するのは)「人間は『ギバー』『テイカー』『マッチャー』のいずれかに分類される」というものです。
簡単に説明すると
- ギバー=与え続ける人
- テイカー=奪い続ける人
- マッチャー=与えられた分だけ返す人
ということになります。
それも、人はどれか一つにだけ属するのではなく、場面によってそれぞれ使い分けることもあるそうです。
確かに、自分がギブする側に回ることもあれば、テイクが中心になることもありますよね。
ちなみに、割合としては以下のようになるそうです。
- ギバー=25%
- マッチャー=56%
- テイカー=16%
一番メジャーな存在はマッチャーなんですね。
なんとなくこれは分かります。
一方的に何かを受け取って返さなくても平気、というのはそれほど多くない印象がありますね。
でも、10人に1人以上は「奪い続けることに罪悪感を感じない」という鋼の心を持っているとアダム先生は語っています。
みなさんの周りはどんな割合ですか?
典型的テイカーの驚くべき行動
ごく最近、ボクは典型的なテイカーと出会いました。
仮にAさんとしましょう。
Aさんは、Facebookでつながっていたことも覚えていないくらい縁が薄く、初対面以来お会いしたことのない人です。
そんな人がFacebookで急にメッセージを送ってきて「ピッチコンテストに出るからアドバイスが欲しい」とのこと。
まぁ、軽くアドバイスくらいはと思い、ちょこっとだけポイントをお伝えすると、今度は「動画を送っていいですか?」とおっしゃる。
まぁ送ってくる分には構わないので「どうぞ」と返すと、YouTubeのリンクが送られてきました。
まぁ気が向いたら見ようかなと思っていたら、10分後くらいに「見ていただけましたか?アドバイスください」と畳みかけてきました。
もう完全にボクの時間を使うこと前提で思考が固まっていたようです。
ちなみにその時ボクは海外にいたので、「時差があるのでもう寝ます」とメッセージを送ってベッドに入ってしまいました。
ここまでならそれほど強く「この人はテイカーだ」とは思いませんでした。
問題は、その後です。
帰国して2日ほどすると、かみさんがスマホを見てえらい動揺していました。
何事かと思ったら、Aさんがかみさんに「もう帰国しているはずだから動画を見てアドバイスを送るように言ってくれ」とメッセージを送っていたのです。
かみさんも、会ったのは一度だけ。
なかなかのツワモノです。
とはいえ、大舞台に立つにあたってアドバイスが欲しいのは分かります。
そんな人たちのために、ボクは2年前にプレゼンのノウハウ本を出版しています。
そこにポイントは書いてあるとボクもかみさんも伝えたのですが、「後で買います」と言って、結局買わずじまい。
本人は「自分にとって最も都合のいい形での情報提供」を求めているのであって、ボクの著書などには興味はなさそうでした。
テイカーを見極めるポイント
ちなみに、Aさんが間違いなくテイカーであると確信したのは、依頼のメッセージに書かれていた「ピッチコンテストで入賞する目的」でした。
そのコンテストで上位に入ると、どうやらシリコンバレーなどに招待されるそうなのです。
そして、「私はどうしてもシリコンバレーに行きたいのでアドバイスください!」と書いてありました。
その時に思った正直な気持ちは、こうです。
「なるほど、Aさんはシリコンバレーに行きたいから、コンテストで上位に入りたいんですね。でも、それってボクには関係のない話だし、今まで特にご縁もないのに、なんでボクが時間を割かなくちゃいけないんでしょう」
冷たいようですけれど、ボクの大事なコンテンツであるプレゼンに関するノウハウを、メッセージ一通で引き出せると思うあたりがテイカーたるゆえんです。
そして、あくまで主語は「自分」です。
「私はシリコンバレーに行きたいからアドバイスが欲しい」といわれてボクが動くのは、相当信頼関係が強かったり、ボクが何かしら大きなギブを受けた相手に限られると思います。
大した縁もないのに自分を主語にして相手の時間やお金を手に入れようというのは、まさしくテイカーの思考ですね。
これがもし「私の考えたサービスが広がればもっと世の中がよくなるはずなんです!手伝ってください!」と言われれば、状況は変わるかもしれません。
そのサービスの目的や内容に賛同できれば、ボクが協力したくなる可能性も少なからずあります。
でも、自分都合だけを押し付けられても、それは知らんがな、ということにもなるわけです。
テイカーの特長は、この「自分の都合を押し付ける」というところです。
今回のAさんは極めて露骨でわかりやすいテイカーだったので対応が簡単でしたが、時々狡猾なテイカーもいます。
それは、まるで「あなたのためですよ」「世の中のためですよ」という感じを装って、搾取にいそしむ輩たちです。
その究極が、詐欺師ですね。
見極めるためには「相手が求めているものは、誰のためになるのか」を注意深く探る必要があります。
どう考えてもギブをする自分のプラスにはならず、相手もそれを知ったうえで搾取しようとしているのであれば、間違いなくそれはテイカーです。
テイカーとはなるべく取りつつ、世の中に対してインパクトを与えていくギバーになるためにはどうすればよいでしょうか。
ギバーになるためのマインドセット
アダム先生曰く、世の中で成功している人は、間違いなく「ギバー」なのだそうです。
その一方で、最も損をしている人もこれまた「ギバー」であるとのこと。
負け組ギバーの人たちは、自己犠牲をし過ぎてしまったり、搾取されることを受け入れすぎてしまっているのだそうです。
これは確かにわかりますね。
でも、それを恐れすぎてギバーになることをあきらめてしまうと、大きな成功も同時に手放してしまうことになります。
なので、成功するギバーを目指しましょう。
では、どんなマインドセットで臨めばいいのでしょう。
何度もこのメルマガでもお伝えしている通り、「ギブファースト」は大事なマインドセットです。
まず、自分からギブすることを恐れない。とにかく自分からギブする。
「え?それだとテイカーの餌食になるのでは?」とお思いになる方もいますよね。
そこでもう一つのマインドセットが必要になります。
それは「見返りを求めるのではなく、学びを求めてギブする」ということです。
何かギブする時、相手からの見返りを得ようとするのではなく、ギブした行為から自分で学ぼうとするのです。
もし、テイカーにギブしてしまったら、それも学びです。
二度とその相手にはギブしなければいいですし、失敗の学びは何よりも共有する価値があります(今回のメルマガも、ある意味テイカーとのやり取りが共有される機会になっています)。
一番避けてほしいのは「テイカーに搾取されるのを恐れるあまりギバーになることを避ける」というマインドセットです。
そうすると、成功も成長もしません。
そんな人生を送りたい方は、このメルマガなんて読んでいないですよね(笑)。
ギバーになることを恐れず、そしてどんな状況からも学ぼうとするマインドセットを忘れずに過ごしましょう。
最後に
Aさんには「もし本当にピッチコンテストで優勝したいのであれば、テイカーとしての自分を捨てないとダメですよ」とお伝えしました。
メッセージ一つでテイカーからギバーに一気に変身とはいかないかもしれませんが、もし何か気づいてくれたらいいなと一縷の希望を込めて…。
ぜひこのメルマガを読んだ皆さんが、素敵なギバーになりますように。
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