こんな大企業の人たちと話していてつくづく感じるのは「当事者意識の欠如」です。それなりの危機感は持っているものの、誰も「(経営陣も含めて)自分の行動が会社の行く末に大きく左右する」とは感じていないのです。
別の言い方をすれば、誰もが歯車の一つとして、自分に与えられた仕事をこなすことだけに一生懸命で、与えられた役割そのものが間違っているとか、そもそも全体の設計が悪いから直そうとかはしないのです。
大企業が既存の市場や顧客のために思い切った方向転換が出来ないことは、(私がMicrosoftを辞めるきっかけを作ったビジネス書)『イノベーションのジレンマ』に書かれている通りで、それは米国の企業にも当てはまります。
では、日本と米国でどこが違うかというと、米国人の場合、自分に与えられた仕事に疑問を持つ場合は、堂々と文句を言う人が多いし、上司に逆らってでも建設的な提案をします。そして、それが聞き入られない場合には、会社に見切りをつけて、優秀な人から先に辞めてしまうのです。
「長いものには巻かれろ」「お上には逆らうな」的な日本の文化もあるとは思いますが、終身雇用・年功序列を前提に作られた社会構造の中では、簡単には転職が出来ないという事情もあるとは思いますが、それが結果として、私のような米国生活が長い人から見ると「当事者意識に欠けた行動」に見えるのだと思います。
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※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年8月20日号の一部抜粋です。
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