料理を苦手とする方の口からよく聞かれる「レシピ通りに作っているのに美味しくできない」という言葉。しかし、少なくともプロが作ったレシピを守れば味に失敗はないはずです。では一体何が問題なのでしょうか。今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』で、著者の真井花さんがその謎を解明し改善法を提示しています。
料理苦手さんたちへ
さて、本日は動画のお話。
年初にたてた今年の目標のひとつが
- 料理セミナーを開催する
でした。が、
- 諦めました( ̄∇ ̄)
待っていてくださった方々、すみません。料理セミナーというからには、やっぱり実習。となるとキッチンスタジオ&仕込み&片付け。うーむ、さすがに独りでってわけにはいかなそうで…ゴニョゴニョ。
ま、その代わりってわけでもないんですが、料理関連の記事をお届けするよう心がけていきたいと思う所存なんでございますです。
うん。で、今回の記事なんですが、料理ネタならぬ料理苦手ネタです。
苦手なものは、誰にでもありますよね。その苦手なものに対して共通しているのは
- どこがマズいのか分からない
ってことです。
私は、クルマの運転が苦手ですが、オットの運転とドコが違うのか分からない。いや、運転のスムーズさとかそういう結果の違いは分かるんですよ。オットの運転の方がスムーズだとか危ないシーンが少ないとか。そうじゃなくて、
- 自分の手段のなにがマズい結果に繋がっているのか分からない
んです。だって、自分ではオットと同じようにやっているつもりなんだもん。でも、出来ないんだもん。先生って、ソコを指摘してどう改善したらいいのかを教えてくれる存在だと思うんですよ。
ちなみに、もし手段の違いが分からないんじゃなく、結果の違いが分からない場合、つまり下手くそな運転のクセして上手い運転だと思い込んでいるタイプの場合、コレはマズい。この認識がズレていると多くは「苦手だ」と本人は認識していないですから。なにか圧倒的な差を見せつけられるようなショックな出来事がないと治せないでしょう。
閑話休題。
思うになんですが、料理苦手さんたちは、基本的に
- レシピを無視しがち
みたいです。これまで料理が苦手だと自白する方からお話を聞いた限りですけどね。ちょっと例を挙げてみると
- そもそも調味料を計量しない ←ゼッタイ違う味だよね
- 材料の切り方がレシピ指定と違いすぎる ←切り方には意味がある
- 材料や調味料を勝手に代替する ←コレが出来るのは上級者
- 加熱時間を測らない ←多分黒コゲになる
こんなカンジですね。うん、これ、このうちのひとつでもやれば、レシピと同じ料理にはならないわ。そして多分
- 美味しくない方へズレる
はずだわ。レシピと同じにやっても、レシピ執筆者とはウデが違うから、同じ料理にならないことだってあるのに。
うー…ん、これ、料理が苦手というよりは、なにか別の問題じゃないですかねえ。知らないことをやってみようとするときに
- 何故マニュアル(レシピ)をムシするんですか
ねえ。ムシしたら上手く行かないに決まっているじゃないですかねえ。…って、思いますよねえ?それなら解決策はひとつ。そう
- レシピ通りに作ってみる( ̄∇ ̄)
ことです。それじゃ面白くないとか言わないように。面白いことは料理以外でやりましょう。ここは、料理を美味しく作るのが目的ですから。
ただですねえ( ̄- ̄)
- レシピ通りに作っているのに、上手く出来ない!
という方がいるのも知っているんです。フシギですよね、レシピ通りのはずなのに。
うん、これには実は二つパターンがあるんです。ひとつは
- レシピを不正確に読んでいるパターン
です。レシピにはいろいろな情報が盛り込まれていますが、その順番や内容は結構気を遣って書かれているんです。特に、プロが書いたものはね。
ちょっと例を挙げてみましょう。たとえば、こんな感じです。
フライパンを中火で熱し、油を引いて、豚バラ肉を入れる…
…よくある記載ですよね。料理を作り慣れている方は、このドコに失敗するポイントがあるのか分からないかもしれません。しかし、この料理で失敗する方は
- フライパンを中火で熱し
というところを読み飛ばすのです。
この手順の場合、
- フライパン→火→フライパンを温める→油→豚バラ肉
ですよね。ところが、失敗する方は
- フライパン→油+豚バラ肉→火→温める
にしてしまったりするんです。ま、つまり順番がメチャクチャになっているんですね。これだと、フライパンが温まっていないため、肉がくっつきやすく、スムーズに炒めたり焼いたりできません。
あえて言うなら、この順番でも大丈夫な場合がありますね。
- フッ素加工のフライパンを使う場合
ですね。フッ素加工やテフロン加工のものは、油や食材を入れない状態で火を付けることは
- 厳禁
です。非常に高温になりやすく有毒ガスが発生するからです。なので、この順番が正しいことになります。
逆に言うと、使っている調理器具が何かで手順が変わってしまうわけでここでは「肉が焦げ付かないように配慮して」ということを読み取らないとマズいんですよね。
こうしたパターンの場合、注意深くレシピを読めばちゃんと作れるはずです。
…え?それでも作れない?そう、そういうこともありますね。それは、もうひとつのパターン、
- レシピ自体が不親切なパターン
です。不親切パターンとは、その料理を作る重要な手順がすっ飛ばされている場合です。驚かれるかもしれませんが、これは意外に多いんです。
聞いた話ではありますが、レシピの手順を詳細に記述すると長くなりすぎて雑誌などの紙面上マズいんだそうです。このため、ムリクリ手順を省略して記載するのだというんですね。ま、当たり前ですが、これではその料理を食べたことがある人しか作れませんよね。
まともに一冊のレシピ本になっている場合にはそんなことはありませんが雑誌にちょろっと掲載されている場合で、手順が4つか5つしかないものはかなりの確率でこの不親切パターンです。
もし、ちゃんと作っているはずなのに、上手く行かないんだとしたらこのパターンかもしれません。
料理苦手さんたちは、とりあえずレシピを正確に読んで、その通りに作ってみようねというお話でしたね。
なぜレシピ通りに作る必要があるのかといえば、料理苦手さんたちに料理という作業の
- 軸になるようなスキルや感覚を養ってほしい
からです。スーパーシェフになるならともかく、フツーの料理を作るのにそれほどの才能も器用さも性格も関係ありません。むしろ便利なグッズやツールがどんどん生まれている現代は、人類史上かつてないほど料理が簡単になっているのです。そうした中で料理が苦手というのは、ナレとやり方の問題だと思うんですよ。
そして、レシピは基本的には
- 料理の成功体験談
なんですよ。コレでこうやったら美味しく出来たよ~っていう。しかも、その成功体験をみなさんに再現させるために、ここぞというコツをキチンと書いておいてくれているのがレシピですから。
なので、これはもうマネするのが上達の近道。オリジナリティとかどうでもいいので、まずはマネしてみてください。
で、じゃあ、どんな料理のレシピをマネしてみるのかなんですが、これは
- 同じ調理法のものを繰り返し作る
ようにしてみましょう。同じ調理法のものを繰り返す方が、調理のコツを掴みやすく
- 上達しやすい
のではないかと思うからです。あ、同じ調理法って、炒めるとか揚げるとか蒸すとか焼くとかですよ。
ホントはね、全く同じ料理を繰り返し作るのがいいんですよね(…って昔プロの料理人に言われました)でも、それじゃ毎日同じ料理を食べることになって飽きちゃうのよね。なので、せめて同じ調理法くらいまで広げておいたら飽きにくいかなあと思うんです。
そして、肝心のレシピは、料理本などではなく
- スマホの動画サイト
に限りますね。料理関係の動画サイトによって全国の料理教室は大打撃を受けました。そりゃ、あれだけ詳細に手順を見せてもらって、好きな時間でよくて、しかも無料ですからね。料理教室をはるかに超えちゃったよね。
ま、たくさんあるので、クラシルでもなんでも好きなモノをみてもらったらいいんですよ。
で、動画サイトでは、たいてい絞り込みができるようになっていますよね。絞り込みの作り込み方は、サイトによって違うと思うんですが、なるべく
- 同じ素材
- 同じ調理法
になるよう絞り込んでください。たとえば
- 肉料理→豚肉→豚バラ肉→肉巻き
みたいな感じです。同じ調理法だけで絞れるならそれでOKですが、チョー料理が苦手というなら、素材も同じにしておいた方が格段に
- 早く成功体験を味わえる
はずです。鶏肉と豚肉じゃ違うでしょ。サツマイモとカボチャじゃ違うのよね。なので、同じ調理法・同じ素材で一週間くらい、最低7回くらいは繰り返してください。
ただ、動画サイトを見ると、同じ「豚バラ肉」の「肉巻き」でも味付けや巻く野菜が違っていて、1週間くらい多分飽きないですよ。そのヘンはご心配なく。
最後に作ったものを食べてみて
- フツーに美味しい♪
のなら、もうバッチリですよ。それ以上のことは追及せず、他の同じ調理法のレシピに移ってくださいね。
料理が苦手なら、まずはレシピ通りに繰り返し作る。細かい指示のあるものを探して、本より動画を参考に。食欲の秋はもうすぐ。美味しい料理を食べたいですね。
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