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強大化する台風の原因は温暖化。待ったなしで必要な対策とは

強い勢力のまま相次いで首都圏に上陸した台風。頻発する「これまでに経験したことのない」雨。これらの気象現象の最大の原因と考えられているのは地球温暖化です。メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で沖縄在住現役医師の徳田先生は、温暖化に向き合わない日本政府の姿勢を問題視。抗議のために航空機を利用しなかったスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんと真逆で、ニューヨークに到着するやステーキ店へ出向いた小泉環境大臣の無頓着を戒めています。

待ったなしで必要な世界の温暖化対策。強大化する台風

毎年9月は台風の季節です。沖縄に生まれ育った私は、台風が来て停電し、電気が使えなくなることを何十回も経験していました。暑い夏で扇風機もエアコンも使えなくなるので、体中が汗びっしょりとなります。窓を開けると蚊が侵入してきますので、蚊取り線香をつけます。夜になると、電灯が使えないために真っ暗となるので、ろうそくで本を読んでいました。電気のない生活は辛いものです。

2019年9月、関東に非常に強力で大きい台風が襲いました。千葉県では、激しい暴風雨によって大規模停電が長期間続き、人々の生活に深刻な打撃を与えています。風速50メートル以上の暴風雨が吹いたことで、無数の倒木が発生しました。電柱の倒壊は約2000本にのぼり、多数の電線が切断されたからでした。

このような強力な台風が日本を襲うことが最近頻繁になりましたが、今後その可能性はますます増えていきます。近年の巨大台風襲撃の根本原因は地球温暖化だからです。台風による暴風雨、洪水、そして土砂崩れによる被害は確実に増えていきます。また、熱帯地域のスコールのようなゲリラ豪雨や突風、竜巻に襲われることが多くなります。2019年は、日本を含む世界各地の気温が40度を超えました。

今なら気候変動は抑えられる

気候変動をもたらす地球温暖化の原因は人間です。原因を作った人間にしかそれを元に戻すことができません。それにもかかわらず、人間は、石油や石炭などの化石燃料の燃焼、畜産、軍事活動などで、二酸化炭素を始めとする温室効果ガスの排出を増加し続けています。

しかも、最近の国際機関のデータによると、温暖化ペースが予想以上に進んでいることがわかりました。2030年まで世界の全ての国が、抜本的で大規模な緊急対策を行うことが大切であることがわかったのです。実は、温暖化対策は理論的には簡単です。石油・石炭などの化石燃料を太陽光・風力のクリーン発電に切り替えること、畜産を減らすこと、ガソリン車は電気自動車に切り替えることです。

それができずに、この温暖化ペースが続くと、今世紀中に、島や海岸に住む何億人もの人々が難民となり、内陸へ移動せざるをえなくなります。これに加えて、温暖化による干ばつでの農作物不足と魚介類の死滅による食糧危機が深刻となり、資源の奪い合いや国境での紛争や戦争が起こります。理論的には簡単な温暖化対策ができないのは、既得権益を握ったグループによる猛烈な抵抗があるからです。

そんな中、スウェーデンの女子高校生が1人で始めた抗議活動が世界中に広がっています。スウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさんです。彼女は国連本部での気候変動サミットに参加するのに、大量の温室効果ガスを出す飛行機を拒否して、ヨットで大西洋を横断することを決めました。太陽光などで動くヨットで、2週間かけてニューヨークに到着しました。彼女はノーベル平和賞を受賞するでしょう。

世界で確実に広がる緊急温暖化対策

これから急速に、温暖化対策への抗議活動や各国政府への圧力はますます増大してくると私はみています。まず、2019年9月20日、世界中で大規模なデモが行われました。トゥーンベリさんらの呼び掛けで、世界約150カ国の5000カ所以上で一斉に気候変動への緊急対策を訴えたのです。東京でも若者を中心に約1000人がプラカードを手に集まりました。

2019年4月、政府の有識者懇談会は、今世紀後半のできるだけ早期に二酸化炭素などの排出量を実質ゼロにすることを目指すという提言をまとめました。しかし日本政府の姿勢は消極的です。国連気候行動サミットでの重要な話し合いグループの議長役を日本が依頼されたものの、日本政府は引き受けなかったのです。その理由として、日本は石炭火力発電を維持したいから、だろうと批判されています。

日本は二酸化炭素排出総量で世界第5位、国民一人当たりで世界第4位です。温暖化原因のかなりの部分を作っている日本には、温室効果ガス排出を最小限に抑える行動をする責任があります。

新たに環境大臣となった小泉進次郎氏は、国連気候行動サミットが行われるニューヨークに到着するなりステーキを食べに行きました。二酸化炭素以上の温室効果作用を持つメタンガスを発生させる牛の畜産を奨励する行動です。このタイミングでのこの行動は、地球のために温暖化対策を訴えている世界中の人々に対する挑戦状です。小泉氏には国際的うねりに気づいてほしいものです。

文献:
William W. Kellogg and Robert Schware. Climate Change and Society. Consequences of Increasing Atmospheric Carbon Dioxide. Routledge, 2019.

image by: Shutterstock.com

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