人間が生きてゆく上で重要なセルフエスティーム(自尊感情)ですが、その感情をしっかりと持てない日本人は多く、「世界一低い傾向」にあるそうです。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では、著者で現役教師の松尾英明さんがその原因を考察するとともに、次代を担う子供たちのセルフエスティームを高めるために大人が留意すべき点を記しています。
セルフエスティームを高める
セルフエスティーム(自尊感情)について。大学の授業で学んだ際に、面白い話があった。
セルフエスティームとは、簡単に言うと、「自分には生きている価値がある」と考えられる傾向である。日本では、「謙譲の美徳」が悪い形でここに反映しており、セルフエスティームが世界一低い傾向がある(特に中学生の女子が最低値になるというデータがある)。ある研修会で、高校の先生から次のような質問を受けたという。
「自分の苦手なところやダメなところを自覚するのも、同じくらい大切ではないですか」
皆さんは、どう考えるだろうか。
ここを、研修講師をしたその先生は、完全に否定したという。それは「間違い」であると。
それも大切だが、「同じくらい」ではない。セルフエスティームが高い方が、ずっと大切である。なぜなら、セルフエスティームが低い人間にとって、苦手やダメな点を自覚したところで、デメリットしかないからである。自覚させられたことにより、更に落ち込むことになり、より不活動になる。
つまり、勘違いしている方がずっといい。人間の可能性なんて、誰にもわからない。少なくとも、自分はダメだと思って諦めてしまうよりも、勘違いして行動する方が、伸びる可能性がある。まずは動かないと、伸びる可能性はゼロである。
子どもの教育では、まずこのセルフエスティームを高めること。苦手を意識させようとしなくても、本人はよくわかっている。それよりも、長所を伸ばす方に全力を注ぐ段階である。
幼稚園児相手に、「できないこと」を羅列して自覚させることの愚かさを考えればすぐにわかる。
「何でこんな簡単なことができないの!」
……子ども的には、何でそんなことを言えるのかを、大人の方に聞きたいところである。一番親身に考えているつもりの、親や教師こそが、最も子どもを「ダメ」にしている。
セルフエスティームを高める。
誰から。
大人からである。あなたがあなた自身の価値を信じることができなければ、子どもが自分の価値を信じることはない。大人のセルフエスティームの向上と、自信の確立。それができれば、子どもの可能性を信じることができる。
子どもにガミガミ言いがちだとしたら、自分自身のセルフエスティームの低さを疑ってみることが優先事項である。
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