3つのタイプに分かれるという、自分の考えを他者に伝えるための自己表現法。中でも「アサーティブな自己表現」は、職場等の組織内コミュニケーションで重要とされていますが、具体的にはどのような表現法なのでしょうか。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』では著者の石丸智信さんが、自己表現をタイプ別に解説。さらに相手の感情を損ねることなく自分の要望を伝える「DESC法」を紹介しています。
どのように自己表現していますか
以前聴講した研修の中において、「自己表現のタイプ」をテーマにした講義がありました。弊誌でも関連して、794号「『子供のくせに』が個を潰す。コミュ力の高い人間を育てる方法」にて、自らの意見や考えなどを発言、発信することの大切さについて考察しました。本号では、研修の中で学んだ内容を踏まえて、自己表現について考察していきたいと思います。
自己表現のタイプとしては、3つのタイプが挙げられます。
まず、1つ目のタイプは、「アグレッシブな自己表現をするタイプ」です。このタイプは、自分の意見や考えなどを一方的に主張して、相手の主張をまったく受け入れない、攻撃的なタイプです。
イメージとして思い浮かぶのは、マンガ『巨人の星』の星一徹のようなガンコ親父だったり、部下に対して一方的に命令する上司だったり、そのような感じかなと思います。
2つ目のタイプとしては、「ノン・アサーティブな自己表現をするタイプ」が挙げられます。このタイプは、相手の主張をひたすら受け入れて、自分の主張をしない、守備的なタイプです。
このタイプが注意することは、自分自身が受け身になりやすく、相手に対して依存する部分が多くなってしまうことがあると言われます。
最後の3つ目のタイプは、「アサーティブな自己表現をするタイプ」です。このタイプは、自分の考えや意見などをしっかりと主張もするし、相手の主張も受け止めることができる、攻守のバランスのとれたタイプです。
組織内でのリーダーとメンバーとのコミュニケーションの場などにおいて、求められる自己表現のタイプは、お互いに尊重し合う、このタイプが挙げられるのでしょうね。
アサーティブな自己表現をしていく上での1つの手法として挙げられていたのは、「DESC法」という手法です。
- D(Describe):状況をそのまま描写する
- E(Express):自分の気持ちを表現する、説明する
- S(Specify):妥協案や解決策を提案する
- C(Choose):相手の返事に対する自分の選択肢を用意する
研修の中で、講師が自ら経験した「DESC法」の具体例として、会議中の喫煙が挙げれていました。
- D:会議が始まって1時間経ったので、部屋がタバコの煙でいっぱいですね
- E:私はタバコを吸わないのでのどが痛くて、頭もボーっとしてきました
- S:ここでしばらく休憩して、空気の入れ替えをしませんか?
- C:そうすれば、皆が気持ちよく、会議が続けられると思います。無理ならば、しばらくタバコをやめてもらえませんか
といった事例でした。
また、アサーティブな自己表現は、相手との交渉事の時などにも、有効ではないでしょうか。例えば、相手が「80~100」、自分が「70~90」の範囲で要求していると仮定します。
お互いにアクティブな自己表現だと、相手は「91~100」を要求し、自分も「70~79」を要求したら、交渉は決裂してしまいます。そして、自分又は相手が、ノン・アサーティブな自己表現だと、相手もしくは自分は納得するが、自分又は相手とっては良い結果にはなりませんね。では、お互いにアサーティブな自己表現で交渉すると、お互いに折り合いがつく「80~90」の範囲で妥協案や解決策を考えて、お互いに交渉の成立に向かっていくのでしょうね。
自己表現のタイプとして、アサーティブな自己表現が、すべてにおいて万能なわけではないかもしれませんが、これからの自分自身の自己表現の幅を広げる意味でも、アサーティブな自己表現を加えていくことも大切ではないでしょうか。
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