もはや失望感しかない、安倍首相「桜名簿」シュレッダー本音答弁

 

れいわ新選組の舩後靖彦・参議院議員は「障害者雇用のために破棄に時間がかかった理由のように語られるのは不適切であり、非常勤職員の弱い立場を利用したとも受け止められる内容と感じるので、残念に思う」とのコメントを発表した。 もっと言えば、障害者雇用だけではなく、非常勤職員への責任の押し付け、ともなる。経緯を説明したにせよ、一国の首相がおそらくその業務にあたった1人か2人の障害者雇用の職員をさらすように引用する感覚が、私にはわからない。

この指摘は障害者雇用のスタンスとしてどんな政府であったも是正してもらいたいからだと理解してもらいたい。政権の揚げ足を取る行為のように思われるのも悲しい。普遍的な当事者の視点では、米国の伝統的な障害者団体イースター・シールズが示すガイドラインがある。

“Omit mention of an individual’s disability unless it is pertinent to the story.”「(記事の)ストーリーに関係のない場合、個々の障害についての言及は省略する」。これは報道向けではあるが、首相の答弁も同様で今回の「桜を見る会」の問題のシュレッダー処理の文脈の中で、職員の属性はまったく関係ないだろう。

言ったことはしょうがないから、やはり認識をあらためてほしいと思う。そうでなければ、ダイバーシティとか、インクルージョンを唱えている政策がすべて嘘に受け止められてしまう。そして、先ほどの報道のガイドラインから考えれば、もう少し私たちは属性を気にせずに自由に交流しあう方向に行ってもよいのではと思う。

先ほどの舩後議員の記事で、朝日新聞は「筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者で重い障害を持つ」という形容詞を付けていたが、彼は前回の参議院議員選挙で当選した1人の国会議員である。それぞれのバックグラウンドはその人の行動原理にはなるだろうが、それは「必要に応じて」説明すればよい話で、記事の冒頭から舩後議員を説明することは、熟慮が必要だ。インクルーシブな社会に向けて首相も政府も報道も、そして私自身も自らの行動と認識を顧みながら進めていかなければならないと思う。

image by: Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com

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