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任天堂が挑む3度目の中国市場挑戦。スイッチは勝てるのか?

ニンテンドースイッチが世界中で売れまくっている

任天堂が絶好調だ。12月に入って連日、年初来高値を更新。2019年9月の中間連結決算では、売上高が前年同期比14.2%増の4439億円、営業利益は53.4%増の942億円、純利益は4.0%減の620億円。純利益は外国為替市場で円高が進み、205億円の為替差損が発生したことが響いたが、営業利益は5割増という躍進ぶりだったという。
これを牽引したのは、もちろん主力の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」。半年間に世界でニンテンドースイッチのハードが売れた台数は693万台、前年同期(507万台)より36.7%増えた。このうち約3割にあたる195万台が9月に発売したばかりの小さくて軽い携帯専用の「ニンテンドースイッチライト」だという。ライトはすでにスイッチを持っている人が購入するケースが目立つといい、米国などを中心に好調な滑り出しを見せている。

一方、ソフトは前年同期比38.8%増となる5849万本。6月に発売した「スーパーマリオメーカー2」(393万本)、9月に発売した「ゼルダの伝説 夢をみる島」(313万本)など自社の人気シリーズが好調。ソフトメーカー発のものを含め、半年間のミリオンセラーは11タイトルとあったという。人気ソフトの発売はハードの購入を促し、それがさらにソフト販売を押し上げるという相乗効果もある。また、ソフトをダウンロードして購入する顧客も増え、デジタル売上高も83%増の716億円と大幅に伸びた。

20年3月期通期の業績見通しは据え置き、純利益は前期比7%減の1800億円の見通しとは言うものの、12月に入り、年末商戦真っ只中で、さらなる売上が見込まれる。

そんな中、任天堂は今月10日、ニンテンドースイッチの中国での販売をスタート。13億人を超える巨大は中国マーケットに切り込んでいった。実は任天堂、中国市場に挑戦するのは今回で3回目。過去2回は苦い経験をしていた…

任天堂が挑む3度目の中国市場

任天堂は自前での中国進出で過去に2度失敗している。2003年、2005年と中国市場への参入を目指したがいずれも成功しなかった。その理由は、任天堂が強力なパートナーを得ることができなかったからだと言われている。8億人という世界最大のゲーム市場。ゲームユーザーの好みや環境への対応など、一筋縄にはいかない。ゆえにここ数年間、任天堂の中国戦略は事実上止まってしまった。

そこで満を持して挑む今回は、協力な助っ人と手を組んだ。中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)だ。販売価格は2099元(約3万2000円)。中国メディアによると発売前から既に10万台超の予約を受け付けたという。人気の「New スーパーマリオブラザーズ U デラックス」のソフトを投入し、これからの年末商戦にどれくらいの売上を上げるか注目されている。

しかし、そこには3つのハードルがあると日本経済新聞が伝えている。
1つ目は中国のゲーム文化の特異さ。パソコンやスマートフォン向けのゲーム開発が盛んにな中国では、ゲーム専用機で遊ぶ習慣がそもそも少ない。ある調査によると、世界では専用機が20~30%を占める中、中国のゲーム市場はスマホ向けが6割超、パソコン向けが4割弱を占め、家庭などで使う専用機は1%未満にとどまるという。

2つ目は海外版のスイッチが中国で既に流通していること。スイッチのことを知り、興味を持っているユーザーは海外版を手に入れている可能性があるのだ。そのようなユーザーがどの程度いるかは不透明。ニンテンドースイッチに対する新鮮さが思っている以上に少ないかもしれない。

3つ目は国策リスク。中国でゲームの新作を発売するためには、監督当局の許可を得る必要があるという。もちろん任天堂もこうした対応をしなければならず、業界リーダーであるテンセントに頼る見込み。これを怠ると思い描くような成功は難しいだろう。

現在好調な任天堂だが、今回の中国市場開拓が成功すれば、より大きな成長エンジンとなり得る。3度目の挑戦。任天堂は失敗することができないのである。

中国市場を開拓し、任天堂の次への起爆剤となるか?

中国版のスイッチは遊べる内容に制限がことから、中国メディアから売れ行きを危ぶむ声も上がっているというが、どのような目で見られているのであろうか?様々な反応を探ってみた。





 

様々な意見はあるものの、13億人を超える未踏の中国市場に進出することは避けて通れない道。スイッチを通じて「スーパーマリオブラザーズ」などを表で販売できる効果は計り知れない。任天堂の3度目の挑戦は吉と出るか凶と出るか?行方が注目されている。

image by:Barone Firenze / Shutterstock.com

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