日本人には仰天の基準。NYの不動産情報の「ビフォー・アフター」

 

驚愕のNY不動産事情

エレベーターが落ちなくとも、他の心配もあります。当時の建築で使われていた、今となっては使用すること自体が違法の素材が使われていないとは言い切ない。例えば、アスベストとか。日本では残骸が残っていることも社会問題になるはず。人体に影響があるかどうかなど、思いもしなかった時代の建物で僕たちは日々生活をしています。日本の人がその外観で憧れても、日々、利用している現地のニューヨーカーには、すぐにでも改善すべき問題が山積みになっているのが、こちらの不動産事情です。

では、なぜ、補修しないのか。そこには、予算の関係も、建物の土壌の関係も、市の開発問題も、いろいろな原因が複雑に絡み合います。でも、最大の理由は、結局は、ここが「ニューヨーク」だから、だと僕は思っています。結局、いつの時代になっても、世界中から人が集まってくる。昨日も、今日も、明日もやってくる。慢性人間飽和状態のこの街は、物価と家賃のインフレの歯止めが効きません。売り手市場か、買い手市場かと言われると、この街の大家さんは、いつだって、買い手市場の担い手、強気のネゴシエーター。次から次へと人がくるのに、お金を使って、わざわざ補修工事なんてしないのだと思います。法律的にひっかかりさえしなければ。

世界中から人を惹きつける、この街の隠された、負の遺産な部分かもしれません。脅かすわけじゃなく。旅行で来た際は、エレベーター、気をつけて。気をつけようがないけれど。

image by: Shutterstock

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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