終生権力者か、死か。大統領引退後のプーチンを襲うロシアの現実

 

プーチンが24年以降も権力を維持する3つの方法

1つ目、憲法を改定し、制限を撤廃する。要するに、2期だけでなく、3期でも4期でもOKにする。いってみれば、習近平ですね。今まで、中国の国家主席は、任期5年2期までと決められていた。習はこれを廃し、合法的に「終身国家主席」になることができるようになった。

しかし、現状プーチンがこれをするのは難しいでしょう。理由は、07年のような圧倒的支持がないからです。これをすると、国際的孤立がさらに強まるだけでなく、政権を崩壊させるほどの大規模デモ、クーデターなどの可能性が高まります。

2つ目、08年~12年モデル。つまり、大統領に無力な男を据え、自分は首相になる。既述のように、これだと新大統領が裏切る可能性が高い。メドでさえ裏切ったのだから。

3つ目、カザフスタンモデル現状、プーチンは、これを目指している可能性が高いと思います。

中央アジアカザフスタンのナザルバエフさん。この方は、1991年から2019年まで、実に28年も大統領をしていた。誰もが、「ナザルバエフは、終身大統領だ」と思っていた。しかし、案外あっさり引退して、世界を仰天させました。ところが、彼は引退後も、国家指導者」という地位にある。さらに、「国家安全保障会議」の議長でもありつづけ、権力を保持しつづけています

プーチン、憲法改定を提案

プーチンは15日、憲法改定を提案しました。

プーチン露大統領、大幅改憲提案 下院に組閣委譲・任期制限 求心力回復狙いか

産経新聞 1/15(水)22:10配信

 

【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は15日、上下両院議員らに内政や外交の方針を示す年次教書演説を行った。プーチン氏は、現在は大統領が主導する組閣を下院主導にするなど、大統領や議会の権限を大幅に変更する憲法改正を行うべきだとの考えを示した。2024年の大統領退任を前に、ロシアで将来的な権力構造のあり方をめぐる議論が活発化する可能性がある。

 

ロシアの組閣は現在、大統領が下院の同意を得た上で首相を任命し、首相が各閣僚を選出する方式。プーチン氏はこの大統領主導の組閣方式を変更し、議会に首相の任命権を与えるべきだとした。議会に任命された首相が行う組閣を大統領は拒否できないともした。

 

このほか、現在は大統領が専権的に行える露連邦保安局(FSB)など治安・情報機関トップの任命について、議会との協議を必要とすべきだとの考えを表明。大統領任期に関しても、別の役職を挟めば何度でも大統領になれる「連続2期まで」との現行規定を「最大2期まで」に変更すべきだとも述べた。

プーチンの提案。まとめると、

  • 首相任命権を、大統領から議会に移す
  • 治安、情報機関トップの任命権を大統領から奪う
  • 大統領任期は最大2期まで(1期休んで、再登板は不可能になる)

これらの改革は、どれも大統領の権限を弱めるもの」です。なぜ、こんなことをするのでしょうか?そうプーチンの後に大統領になる人物が、弱い大統領」(^▽^)であるために。自分が大統領だった時は、強い大統領だった。自分以外の人が大統領になるので、弱い大統領にしよう。そういうことでしょう。

というわけで、プーチンは現状、「2024年に大統領を辞めよう」「新大統領は、弱っちい大統領でいてもらおう」と考えている。というわけで、プーチンは2024年、大統領を辞め、別の地位で実権を確保する道を模索しはじめたようです。たとえば、

改憲案には諮問機関である国家評議会(State Council)の権限拡大も含まれている。シンクタンク「R.Politik」のタチアナ・スタノバヤ(Tatiana Stanovaya)代表は、プーチン氏が退任後に国家評議会の議長として影響力を行使する準備を整えているようだと指摘。
(AFP時事 1月16日)

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