アメリカのトランプ大統領は2月に入り、自身の側近を相次いで呼び戻していると共同通信、東京新聞などが報じている。身内で周辺を固め、11月の大統領選に臨む考えだと思われるが、「忠誠心」を優先させた人事に懸念の声があがっているという。
トランプ氏、再選へ側近呼び戻し - 弾劾で不信、忠誠心優先に懸念もhttps://t.co/mYngIqLp7T
— 共同通信公式 (@kyodo_official) February 16, 2020
お気に入り人事
アメリカのメディアによると、元ホワイトハウス広報部長のヒックス氏(31)が大統領顧問に復帰。ヒックス氏は2016年の大統領選から広報担当として仕えており、トランプ氏のお気に入りだったとしている。
政府内部からの批判
側近を相次いで呼び戻しているのには、ワケがある。ウクライナ疑惑を巡る弾劾裁判の際、政府内部から次々と批判的証言が出たからだ。トランプ氏はこれについて激怒していた。
問題となっていたのは、自らの選挙を有利にするためにウクライナに圧力をかけたとする「権力の乱用」と、下院の弾劾調査への協力を拒否し、政府高官らの証言を禁じた「議会の妨害」だ。いずれも過半数に届かず、無罪となった。しかしこの裁判で、共和党のロムニー議員は「権力の乱用」について「有罪」としていた。
元側近に異例の措置
アメリカの主要メディアによると、国防情報局長官やトランプ政権の初代国家安全保障問題担当補佐官を務めたフリン被告に対する捜査や公判の進め方を見直すため、バー米司法長官が新たに別の部署の検事を任命していたこと報じた。これは異例の措置で、トランプ氏の元側近に便宜を図る目的との見方が出ている。
司法の独立を揺るがす事態
フリン氏に対する検察官の求刑をトランプ氏が批判した後、司法省は「減刑」の方針を示した。これを受けて、司法省の元職員ら1100人ほどが、バー司法長官の辞任を求める文書を公開。文書では「すべての人が法の下で平等であるべき」とし、「大統領に近い人間だからといって特別扱いを受けるべきではない」と批判、「強大な権力で敵を罰し、味方を報いる政府は憲法に基づく共和国ではなく、独裁君主制だ」と厳しい声が書かれている。
image by: Siromegane / CC BY-SA