雇い主と労働者との間で起きるトラブルには様々なパターンのものがあります。職業紹介会社を介して起きてしまうトラブルもその一つ。しかし、この職業紹介会社との連携がうまくいかなかったことで大きなトラブルになってしまうケースもあるのだそうです。無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』の中で、とある労使間紛争を引き起こした原因となった出来事を紹介。企業側が気をつけるべきことを話しています。
職業紹介会社との連携
最近、人手不足関連の話題をよくこのサイトでもしている。今日は、最近よく電話がかかってくる職業紹介会社とのやりとりに要注意!という内容だ。
所長 「税理士さんの紹介で、労使間紛争の案件がはいってきそうだよ」
E子 「どんな案件ですか?」
所長 「雇止めか期間満了かってところだね」
深田GL 「昨年4月から3月末まで契約期間1年で採用した人に期間満了でやめてもらおうと思ったら、私は正社員ですから、雇止めはおかしいと言ってこられたそうだよ」
新米 「期間雇用なのに正社員?」
所長 「ん、求人の入り口の不備でトラブルになることは多々あるけど、今回もそのようだね」
新米 「求人の入り口?」
E子 「たとえば、ハローワークでの求人票。正社員募集で求人をあげていても、面接の段階でこの人は正社員とするにはまだ早いな。経験も資格もない、まずは契約社員からだなってことってあるでしょ」
新米 「はい、あるでしょうね…」
深田GL 「君だって、そうだったんじゃない?資格は面接直前に持ってたかもしれないけど、フリーターの経験しかない。社会経験が短いからまずはアルバイトから、そしてさらには期間契約社員経由だったでしょ」
新米 「あ、そうでした、はい…」
深田GL 「ハローワーク求人の正社員募集からの応募だと、面接時点で有期契約からのスタートと切り替えた場合は昨春からキャリアアップ助成金・正社員転換コースの対象にはならないのはもう知ってるよね」
新米 「はい、それは大丈夫です」
E子 「昨春までは、キャリアアップ助成金の対象にしたいからということもあったのか面接時に切り替える会社さんも多かったわね」
新米 「確かに…」
深田GL 「この間も、ハローワークの正社員求人で面接され、面接時にしっかり説明できていなかったからクレームになったケースがあったわね」
新米 「あれは、勤務初日にも労働条件通知書を渡してなくって、数日経ってから渡したときに、中身が違う! ってなったんですよね」
E子 「そういうこと、事前にしっかり説明・確認できていなかったのが原因よね。自業自得とも言える…あらためていただかないとね」
所長 「今回のケースは、雇用契約書を採用日の4月よりも4ヵ月も早い11月に渡せていたのに揉めているんだ」
新米 「え? 内容に不備があったんですか? 」
所長 「契約書には、1年契約であるとしっかり書かれている。両者の署名押印もある」
新米 「え?じゃぁ、なんで揉めることになるんですか」
深田GL 「どうも職業紹介会社からの紹介で、そこでは、正社員採用と聞いていたらしいんだ。所長、そうでしたよね? 」
新米 「あらー、でも有期契約とある契約書に署名押印しているんですよね? 」
所長 「職業紹介会社から内定通知が出ていて、そこに正社員と書かれていたそうだ」
新米 「え? それって会社さんが知らない間にですか? 」
所長 「どうもそうらしい。酷だよな。で、職業紹介会社にクレームを言ったら、実際の契約は御社と雇用者間のものですから、内定通知書は関係ないですなんて、開き直っちゃったらしい」
新米 「え? 、そうなんですか~? 」
E子 「あなたの会社が余計なことをするから、紹介してくれた人とトラブルになってるんだよって文句言っていきましょうよー」
所長 「ホントにそう思うよ。ところが、よくよく聞くと採用を決めた日に書いてほしいとFAXしてきたフォーマット紙がどうもその内定通知書だったみたいなんだな」
新米 「そうなんですかー」
所長 「T社さんは送られて来たフォーマットの空白欄に給与や勤務時間など必要事項を記入しただけなんだが、他の欄に正社員と書いてあったということにあとから気づいたらしい」
新米 「えぇーっ!! 」
所長 「もっとも、面接時にも契約時にも『最初の1年は有期契約です』と明確に説明し、契約期間の明記された契約書に署名押印ももらっている、何度話しても平行線なので、公平な第三者に入ってもらえる『労働局のあっせん』を使った方が良いとご提案したんだ」
新米 「両者間で平行線なら、確かにその方が良さそうですね」
深田GL 「最近、職業紹介会社からの電話も多いよね。求人を出すとすぐに電話がかかってくる。人材不足の折、職業紹介会社を使う機会も増えてくるだろう、基本的なことだけど、書類は自分が書いた箇所以外にも気をつけてチェックをする、ポイントですね」
全員 「了解です。お客さまに前もってお伝えしておきたいですね」
image by: Shutterstock.com