感染者数75万人超。WHOの世界地図から読み取るべきものとは

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世界中で報告されている新型コロナウイルスの感染者数を可視化した世界地図が、WHOのウェブサイトにあります。こうした情報の可視化技術を「人類の大きな武器」と語るのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんです。山崎さんは、感染爆発を起こしたアメリカのグラフから、日本においては、今まさに準備と覚悟が必要だと訴えます。ウイルスに対抗するためには、人類が手にした武器をいかに有効利用できるかにかかっているのかもしれません。

WHOの世界地図のこと

WHO(世界保健機構)のホームページから「Coronavirus disease(COVID-19)Situation dashboard」というところをクリックすると新型コロナウィルス感染者数の最新の状況が分かる。
Coronavirus disease(COVID-19)Situation dashboard

そこでは世界地図上に散在する肌色の円の大小でその国や地域の感染者数の多少が表されていて分かり易い。現代におけるこうした情報の可視化技術は人類の大きな武器である。是非一度見てもらいたい。

以下に最新の国別感染者数を示す。(2020年4月1日、日本時間11時現在)
 アメリカ 140640
 イタリア 101739
 スペイン 85195
 中国   82545
 ドイツ  61913
 イラン  44606
 フランス 43977
 イギリス 22145
 スイス  15412
 ベルギー 11899
 オランダ 11750
 トルコ  10827
これらは感染者数が万を超えている国のデータである。これに4桁以下の国々が延々と続き、全世界では実に754948人の感染者数となる。

ここ2週間ばかりこのサイトを毎日見て来ていくつか気付いたことがある。1つは中国が頭打ちになったことである。実際、2週間前は感染者数において第1位であったが現在では第4位となっている。勿論、共産党中国のことだからこの数字をまるまる信じていいものかどうかはやはり疑念の残るところではあるが、逆に人権意識の薄い国家体制なればこそ強引な封じ込めもあるいは可能だったのかもしれず何とも評価し難いところである。いずれにしろこの先しばらくは様子を見る必要があるであろう。

ヨーロッパは悪い予測が当たる結果となった。このサイトの世界地図の両端には帯の部分があって、向かって右側には国・地域別の感染者数が表示されていて、それをクリックすると当該国における1日ごとの確定感染者数が分かる棒グラフが左側に表示される仕様になっている。

2週間前のイタリア、フランス、スペインは毎日その棒グラフが前日よりも長くなるという明らかなる増加傾向にあった。現状は先に挙げたデータの通りである。

感染拡大の状況をヨーロッパの地理に即して説明すると、まずイタリアに上陸したウィルスは半島を北上しアルプスにぶち当たる。そこから地中海北岸を西進しラテン諸国を蹂躙し今は西端のポルトガルまで達している。一方アルプス越えに若干は手間取りはしたもののスイスに到達してからはあっと言う間にベルギー、オランダへと拡がっている。

恐いのはアドリア海沿岸を東進したウィルスがバルカン・小アジア辺りでイランから西進して来たウィルスとぶつかってしまうことである。

またアメリカに関しては突然感染者数が爆発的に増えた。2週間前までは1日2~300人程度の増加であったのに対し、3月17日からは突然それが4桁になり、3月23日からは5桁になった。ニューヨークという世界屈指の大都市を襲ったということもあるのかもしれないがグラフの形状が如何にも不気味である。

アメリカは人口も多く、人間の流動性も高い、加えて極端な医療弱者がいるために大惨事となる可能性が現段階では極めて高い。とにかく小康状態を保っていた3月17日以前の2週間、そこからさらに2週間遡っての1か月間を無為に過ごした失策は大きい。感染症対策において初動の遅れは致命的だからである。

数字は人をパニックにすることも多い。だが解析され、可視化されることで、たとえそれがぼんやりとしたものであっても全体像というものが見えて来たりもする。全体像はある程度の未来予測のヒントをくれるから、準備と覚悟の時間ができる。

我々は、今もう既にこの準備と覚悟が必要な段階にある。では何に対しての準備と覚悟か。「worst」である。そしてその準備と覚悟の内にこそ望むべき「best」があると信じる他ないのである。

image by: WHO公式サイト

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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