コロナ禍で明らかになった中国依存の限界と今後日本が進むべき道

 

3.ウイルス禍の裏側でバブルの整理

今回起きている経済的恐慌は、ウイルスだけが原因ではない。アメリカと中国は貿易戦争を展開し、両国共に大きな経済問題を抱えている。日本と韓国も政治問題が経済に飛び火し、韓国経済はそれ以前からの半導体不況に加えて、大きなダメージを受けている。

イギリスはEUから離脱し、不安定な状況にある。中東の政治問題も益々混迷している。原油価格ではロシアとサウジアラビアが対立し、原油の増産と価格下落を招いている。こうした様々な分野の軋轢があった上で、今回のウイルス禍が起きた。このドサクサにあらゆる問題を処理しようという動きが出るのは当然だ。

国際問題に比べると小さい問題のようだが、リモートワークの実践により、強制的に働き方改革が進んだ。そして、通勤時のラッシュがなくなるだけでストレスが軽減されることを知った。同時に、無駄な会議、無駄な出張、無駄な仕事、無駄な社員が明らかになった。

今回のウイルス感染が収束したとしても、元の世の中には戻れないだろう。あらゆる矛盾が明らかとなり、それをどのように解消するかという仕事が待っているのだ。

4.自立したビジネスと暮らし

グローバルなサプライチェーンを構築したのは、経済合理性を追求した結果だった。そして、市場原理を追求すれば、貧富の格差は広がる。世界のごく一部の人が世界のほとんどの富を独占し、大多数の人々は貧しくなってしまう。それを防ぐには、全ての生活を貨幣経済に依存しないことだ。それが今回のマスク生産で証明された。

生活に必要なモノは自分で作れる状態にしておいた方が良い。全てを他国に依存することはリスキーなのだ。例えば、食料を外国に依存するのではなく、半分だけでも自給することができれば、現金収入は減っても生活は安定する。兼農サラリーマン、兼農経営者、兼農コンサルタントが当たり前である生活。今の日本は休耕農地もあるし、空き家もある。人口減少は自給自足的経済には追い風である。

AIの普及によって、なくなる職業が話題になっているが、それらの人も兼農で生きる道が開けるかもしれない。地域に根ざした暮らしと仕事を再構築することで、日本は鎖国でも生き延びることができるだろう。観光立国ではなく、我々は我々の自立した生活を構築し、それを含めた日本文化を静かに楽しむ観光客が増えてくれれば良いと思う。

■編集後記「締めの都々逸」

「家にいるなら 畑に行こう 自給自足の マイファーム」
ウイルス禍により、今まで見えなかったものが見えてきました。但し、余りにも急激な変化なので、変化に対応するという気持ちが起きないようです。勝負はウイルスが収束してからです。元の時代は戻ってきません。全く別の時代が来るでしょう。楽しみでもあり、怖くもありというところです。(坂口昌章)

image by: shutterstock

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