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こんなに差が出る。アフターコロナ時代でも勝ち残る人、負ける人

その流行拡大により、あらゆる「社会的常識」を覆したと言っても過言ではない新型コロナウイルス。現時点では規模の大小を問わず多くの企業が瀬戸際に立たされていますが、果たして生き残る術はあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、自身の様々な経験から導き出された「アフターコロナ時代をサバイブするための考え方」を紹介しています。

新型コロナ後も生き残るのはどんな人と会社?

ロシアが、かなり大変なことになっています。新型コロナウイルスの感染者数が、毎日1万人以上増えているのです。感染者数は現在、18万7,000人。ロシアでは、プーチンが、かなり早い段階で中国からの入国制限を実施しました。しかし、欧州から入ってきて、爆発的に広まったみたいです。

日本の感染者が東京に集中しているように、ロシアの感染者は、首都モスクワに集中しています。そう、私が28年住んでいたモスクワです。それで、私の知人でも、感染した人が複数出てきました。昨日は、妻の親友のお母さんが新型コロナでなくなったという知らせを受けました。娘さん(妻の親友)は、幼い子供2人と地方に避難しています。モスクワにいるお姉さんに連絡したところ、「子供たちが危険だから、葬式には来るな」といわれたそうです。世界中で同じような悲劇が起こっています。

日本はどうでしょうか?安倍総理は4月7日、緊急事態を宣言しました。これについて、欧米メディアは、「遅すぎる!」(罰則がないので)「緩すぎる!」と批判しました。この意見について、私は4月8日の裏メルマガで「緩くて遅い『緊急事態宣言』、海外からの批判を気にする必要はない理由」という記事を出しました。この中で、「欧米より緩い緊急事態宣言でも、3つの理由で効果があるだろう」という内容を書いています。

実際、緊急事態宣言の効果がでているようです。5月8日、新たな感染者数は95人でした。これに対し、退院した人が760人もいます。つまり入院する人の数より、退院する人の数が多い。こんな感じで進んでいけば、5月末には、収束するでしょう。もちろん、勝利できるかどうかは、私たちの今日の行動にかかっています。皆さん、自粛疲れもあると思いますが、気を緩めずに進みましょう。

前置きが長くなりましたが、今日は、「新型コロナ後も生き残るのはどんな人と会社?」という話をしたいと思います。

レコードとCDの話

私は、現在49歳。10月に50歳になります。メルマガを創刊した時は、28歳だった。はじめて本を出した時は、34歳だった。「若いですね~、若いですね~」といわれましたが、いつの間にか、普通のおじさんになりました。

約50年も生きてくると、いろいろな成功劇、悲劇を目撃します。ものすごく昔の話ですが。私が子供の頃は、レコードとカセットテープが主流でした。CDがではじめたのは、私が中学校に入ったころです。松本市の中心には、二つ大きなレコード屋さんがありました。CD革命が起こった時、一つのレコード屋さんは、積極的にCD販売を開始しました。もう一つのレコード屋さんは、どういうわけか、CDを嫌い、レコードにこだわりつづけました。そして、つぶれてしまいました。この二つの店のこと、子供ながら、「教訓」として記憶に刻まれました。

ソ連崩壊後の勝者と敗者

1991年12月、ソ連が崩壊しました。留学中だった私は、国家の崩壊を目撃することになります。この後、99%ぐらいのロシア人は、「負け組」になりました。どういうことでしょうか?ルーブルが紙切れ同然になり、92年に2,600%のインフレが起こった。それで、貯金の価値が26分の1になってしまった。悔しいですね。

しかし、おそらく1%ぐらいの人は、勝者になり、莫大な富を獲得しました。どんな人?一つ目の条件は、「共産主義教」を全然信じていなかった人。もう一つの条件は、「ソ連が崩壊し、共産主義の時代が終わり、資本主義の時代がくる」と予測し、勉強していた人です。

陰謀論ではなく、ユダヤ系の人が多かった。後に新興財閥と呼ばれた、ベレゾフスキー、グシンスキー、ホドルコフスキー、フリードマン、アヴェン、アブラモービッチ、みんなユダヤ系です。彼らはソ連崩壊時に、見事に変化して、富を得たのです。

ただ、プーチンが登場した時、すでにロシアの支配者だった彼らは、「時代が変わったのだ」という認識を持てませんでした。結果、ベレゾフスキーはイギリスに、グシンスキーはイスラエルに亡命、ホドルコフスキーは逮捕され、「シベリア送り」になりました。

新型コロナ禍を活かせる人、活かせない人

新型コロナ禍は、ほとんどの人にとって、地震のように突然やってきました。この災厄は、いずれ過ぎ去ります。あんなにひどかった中国、イタリア、スペインですら経済活動が再開されてきた。つまり、苦しいのは、1~2か月ということになります(期間の長さは、措置の厳しさにもよりますが)。

この災厄の後、「新型コロナで変わった人、会社」「元に戻ってしまった人、会社」で「勝ち組、負け組」がわかれるでしょう。

たとえばテレワーク。全国でテレワークを実施している会社は、30%ほどだそうです。30%でも、いいですね。新型コロナがなかったら、いつこの数字に到達できたか想像もできません。

ですが、問題は、新型コロナが収束した後です。その時、サバイバルできる経営者は、「テレワークでも、結構いけたな。おかげさまで、出勤交通費が手元に残る。新型コロナ後もテレワーク中心にすれば、あんなでかいオフィスいらないよな。ここでも、大金節約できる」などと考え、テレワーク中心を維持します。

これは、会社がお金を節約できるだけでなく、社員の幸福にも寄与する。なぜか?出勤時間の往復2時間が「自由時間」になる。すると、家族と過ごせる時間が2時間増えます。

私は2018年、『日本の生き筋』という本を出しました。副題は、「家族大切主義が日本を救う」です。テレワークの普及は、「家族大切主義」を提唱する私にとって、「とてもよいこと」。そして、日本国の未来にとっても「とてもよいこと」だと思います。

これを読まれている経営者の皆さま。是非この機会に「テレワーク」を定着させてください。軽費を削減しつつ、社員の幸福と日本の国益に貢献できます。

見える変化

私も基本、「ステイホーム」ですが、食品を買いに行くついでに町の様子を見ています。あるレストランの前に、行列ができていました。中はやっていなくて、お弁当を売っているのでした。生き残りの努力をしているのですね。

子供たちの塾から、「週一のオンライン授業に移行します」と連絡がきました。別の塾からは、「2週間に1回プリントを渡すので、自宅学習してください」と連絡がきました(小学校からは、「オンライン授業導入について」の意見を聞かれました。もちろん私は大賛成です)。

緊急事態宣言はつづいていますが、このままではジリ貧なので、生き延びて、顧客も満足するような方策を出せるよう、努力しているみたいです。

このメルマガを読まれている方の境遇は、千差万別。それで、具体的なアドバイスはしにくい。ですが、「時代の流れに沿って変化していく人は、繁栄しつづけることができる」とはいえます。大変な時代ですが、この期間をサバイバルし、収束後に備えましょう。

image by: Bn.bono / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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