コロナ後もリモートワーク継続意向の多いアメリカ
多数の死者という感情を揺さぶる事柄は、大きな変化を生みやすい。今後、新型コロナが世界的に流行する中だからこそ生まれたこれまでなかった新しい取り組み、社会現象、テクノロジーやイノベーションなどに対する受け止め方、反響、普及の速さや程度において、日本と諸外国の間に、少なからぬ差や違いをもたらすかもしれない。
その結果、コロナ後の世界の進化に日本だけが取り残されてしまうかもしれず、また、その変化に鈍くなってしまうかも?これまで以上に海外の変化に注目するときなのかなと思う。
コロナ後、まず変化するのは、リモート・ワークを中心とした働き方の変化。死者数の少ない日本では、再開すればコロナ前とさほど変わらず会社への通勤が多くの企業で再開するだろう。リモートワークを継続すると宣言している日本の企業もあるが数は少ない。
でも、アメリカでは、特にテック系大手のツイッター社は今後ずっとリモート・ワークでも良いと宣言。グーグルやフェイスブックも少なくとも年内いっぱいは大部分の従業員を自宅勤務にすると発表している。
他にはニューヨークに巨大なオフィスを持つ金融機関、例えば、バークレイズやJPモルガン・チェイスでも従業員を同じ時期に一度に戻すことはないとのこと。さらに、コンピューター・メーカーのDellも同社の全社員の50%超となる16万人がオフィスのデスクに戻ることはないかもしれないという。
確立された治療法やワクチンができるまでは慎重なのである(訴訟大国アメリカなので勤務環境の問題から訴訟リスクもある)。そして、リモート・ワークがこのまま成り立つなら、これまで雇用を考えていなかった遠隔に住む人材を雇用したり、オフィス自体を利便性の高い都心部から従業員がより多く住む郊外に引っ越すのも選択肢にあるね、なんて話もでていたりする。
そうなると、オフィスで働く人が減るためこれまで都心部に集中していた商業用不動産はもちろんのこと、その周辺のレストラン、飲み屋などの飲食店での昼食、ハッピー・アワー、夕食、オフィス向けバンケット(祝宴、パーティ用の食事)などの需要が減少する。
ただでさえ、今、まさにコロナ対策で厳しい状況にある飲食店。オフィス街で主にビジネスマンを相手にしていた飲食店はさらに厳しい状況になるかもしれないのだ。この他、駐車場なども同様に厳しい状況となるだろう。
ただし、エッセンシャル・ワーカーのようにそもそも在宅勤務ができないお仕事の方々も大勢いるので、今の時点で予想を決めつけず、実際、どうなるかを今後も引き続き観察していく必要があるだろう。
コロナ後のもっともわかりやすい変化としてリモート・ワークという働き方の変化を今回は考えましたが、実は、このリモート・ワークを中心に他業種への影響を考えるとどのように変化するのか見えてくる気がします。進捗状況は要チェックですね。
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