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コロナは東京に蔓延しているのか?都内で新たに243人の感染確認

東京都で10日、新たに243人の感染が確認されたことがわかり、新型コロナウイルスの「第2波」が懸念されています。前日の9日は224人と過去最多を記録しましたが、これを上回り、過去最多を更新したことになります。増え続ける東京のコロナ感染者、新聞各紙はどう報じたのでしょうか? メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』の著者で、ジャーナリストの内田誠さんが各紙をウォッチ。私たちの生活を守るために、今どんな対策が必要なのでしょうか? 

東京の感染者数「再び200人超え」の衝撃を各紙はどう報じたか?

【ラインナップ】

◆1面トップの見出しから……。
《朝日》…東京224人感染 過去最多
《読売》…都内感染最多224人
《毎日》…東京 新規感染最多224人
《東京》…都内感染 最多224人

◆解説面の見出しから……。
《朝日》…東京再燃
《読売》…家族・職場でも感染
《毎日》…医療・集客 高まる緊張
《東京》…病床 十分か

【プロフィール】

■感染を抑え込む必要■《朝日》
■病床確保を■《読売》
■再び外出自粛を■《毎日》
■病床確保が手遅れにならぬように■《東京》

感染を抑え込む必要

【朝日】は2面の解説記事「時時刻刻」。とりあえず、見出しから。
東京再燃
会食や高齢者施設 40代でも感染増加
都「潜在的に感染者、証左」
医療現場への影響 懸念も
政府、きょうイベント緩和
地方「往来に細心の注意」
経路追えず「新宿は蔓延」忽那医師に聞く

《朝日》は国立国際医療研究センターの国際感染症対策室医長・忽那賢志医師に聞いている。対応する見出しは「経路追えず『新宿は蔓延』」。

忽那医師によれば、経路不明の感染者が6月下旬から新宿区内で増えているという。いわゆる「夜の街」クラスターに留まらず、若者に蔓延している印象があると。接待を伴う飲食店関連の人から家族へ感染した例、「居酒屋や喫茶店で感染したとみられる人もいる」という。行動制限がなくなったために、「都内の感染者がほかの地域で、新たなクラスターを生んでいる可能性がある。ウイルスが高齢者施設や病院に持ち込まれ広がると、重症化する人が増えて一気に深刻化する」とも。

今のうちに「感染を抑え込む」必要があり、「3密を避けて手洗い、マスク装着などの基本対策をすべての人が徹底して欲しい」としている。

uttiiの眼

蔓延している地域が少なくとも1つ特定されており、「居酒屋や喫茶店」での感染という、限りなく「空気感染」に近い状況が推察され、さらに行動制限がなくなった状況下で政府は何をすべきか。

こう考えてくれば、新宿区内でPCR検査による感染の悉皆調査を行う以外に、あり得ないのではないかと思う。忽那医師は「感染を抑え込む」必要を口にしていながら、最後に「3密を避けて手洗い、マスク装着などの基本対策」を求めているが、これでは「課題」と「対策」のバランスが取れない。忽那医師の「認識」は、これまでとは全く別次元の「対策」を当然に要求するものだと思えるのに、立場上言えないのか、苦しそうだ。

新宿に続いて、都内全域でPCR検査の悉皆調査を実施すれば、膨大な数の無症状感染者が見つかるだろうが、その人たちを医療施設やホテルなどで隔離し、必要な治療を行えば、問題は劇的に解決に向かうはず。来年に五輪を是か非でも開催したい安倍政権は、予測される感染者数の数字の大きさに耐えられず、これまでもPCR検査数の飛躍的拡大に踏み切れなかったと想像するが、実は、徹底した検査の実行だけが、五輪開催を可能にするものだということに、早く気付くべきだ。

病床確保を

【読売】は2面の記事と3面の解説記事「スキャナー」。まずは見出しから。
(2面)
緊急事態の再宣言 否定
首相 医療「逼迫していない」
(3面)
家族・職場でも感染
コロナ 都内224人
都、入院・陽性増を警戒
医療機関 病床増強急ぐ

uttiiの眼

今朝の《読売》の最大の特徴は、少なくとも全体状況について専門家に話を聞いていない、聞いていたとしても記事にしていないということ。関心はもっぱら、医療体制に向けられている。

専門家の話としては、僅かに、病床確保の必要を述べた部分の最後に、国際医療福祉大学の和田耕治教授に聞いていて、「現時点では若い世代が中心だが、感染経路が不明な50歳代以上の感染者も出始めているのが心配だ。4月のような医療体制の逼迫を避けるため、感染を広げる恐れが少ない患者は自宅療養にするなどの対応が必要だ」との指摘を掲載しているのみ。

勿論、無症状の感染者を入院させる必要がないようにしつつ、医療体制を整備しておく必要はあるだろうが、これは感染の爆発的増加に備えてのこと。《朝日》の記事で忽那医師が言っていた「感染を抑え込む」話ではない。

再び外出自粛を

【毎日】は3面の解説記事「クローズアップ」。見出しから。
医療・集客 高まる緊張
中高年への拡大警戒
コロナ 都内224人
球場外「密」どう防ぐ
プロ野球・Jリーグ きょうから観客
「緩和ありき」に危惧

uttiiの眼

《毎日》もまだ全体状況についての専門家の発言を掲載する覚悟はないようで、都のモニタリング会議での発言を再録したものを除くと、独自に聞いているのは1人だけ。

けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師は、「これまで少し楽観的過ぎたのではないか。高齢者に感染が広がるのは時間の問題で、再度の外出自粛が必要になる」と。さらに、社会経済活動の段階的な緩和について、「緩和ありきで進むのは心配だ。感染者数が再び増えつつある現状では、『基準を緩和しても大丈夫』とは誰も確信が持てないのではないか」と言っている。要は、段階的な緩和を止め、再び外出自粛を要請すべきだという話。

病床確保が手遅れにならぬように

【東京】は2面の解説記事「核心」。見出しから。
病床 十分か
東京 コロナ感染224人
4月は感染増に追いつかず
首相「医療体制 逼迫していない」
2週間の時間差
看護師4倍必要
イベント開催 きょうから緩和
野党は自粛措置要求

uttiiの眼

《東京》も専門家による全体状況に関する提言などは見当たらない。「核心」の最後の段、病床の確保には単にベッド数を確保するだけではなく、通常よりも4倍必要になる看護師の確保を含め、如何に困難な課題かについての記述の最後に、日本感染症学会理事長の舘田一博・東邦大医学部教授のコメントを掲載。「入院のピークも重症者のピークも遅れてやってくる。今から備えておかないと手遅れになる」という。

image by : shutterstock

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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