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なぜユニクロは同じ銀座に2店舗目の旗艦店をオープンしたのか?

ユニクロが銀座3丁目に旗艦店「UNIQLO TOKYO(ユニクロ・トウキョウ)」をオープンし話題です。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』発行人の理央周さんが、この新店舗の特徴や新たな試みを紹介。同じ銀座に既に旗艦店があるにも関わらず、なぜ2店舗目を出店したのか、その理由を探ります。

ユニクロが銀座に2店目の旗艦店。顧客が行く理由を創る重要性

6月19日にユニクロが、グローバル旗艦店になる、「UNIQLO TOKYO(ユニクロ・トウキョウ)」をオープンしました。売り場の大きさは国内最大級になるとのことです。

全世界で旗艦店と位置付ける店舗は、このUNIQLO TOKYOで16店舗目になるとのことで、日本国内では銀座店(銀座6丁目)、OSAKA店、心斎橋店に続く4店舗目となります。この店はアップルストアや無印良品が近くにある、銀座3丁目の銀座マロニエ2という、商業施設の1階から4階にあります。

UNIQLO TOKYOは何が他の店舗と違うのか?

この店舗には、大きな吹き抜けがあり、そして、紳士、婦人、ベビー・キッズ用の、豊富な品ぞろえが特徴だということです。確かに報道によると、各売り場のディスプレイも若干、他のユニクロの店舗と違っています。

通常の店舗では、シンプルに服をコーデさせている、マネキンが置いてあるだけですが、この店では、マネキンの周りに、観葉植物や花がディスプレイされているので、買いに来たお客さんは、自分が着ているシーンが想像できるようになっています。ファストファッションの店舗ではあまり見られない、VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)ですよね。

ユニクロのグローバルアンバサダーの錦織圭選手の、サイン入りアイテムや関連グッズも置いてあるとのことで、まさに目で楽しむこともできるお店になっています。

また、銀座店ならでは、という商品や販売フロアも充実しています。TOKYO HEAD LINEによると、ユニクロのTシャツシリーズUTを販売するフロアでは、2002年からのこれまでの、UTシリーズの変遷が分かるようになっていたり、新作の人気アーティストとのコラボUTが売っていたりします。

面白いのは、タブレット端末を使って、自分オリジナルのUTやトートバッグを作ることができること。「UTme!」というそうで、UNIQLO TOKYOの限定企画として、銀座の地元人気10店舗とのコラボデザインができるのですが、中でも「銀座 松崎煎餅」や「銀座 みかわや」など、老舗や人気店のデザイン使って、自分だけのTシャツを作ることができるのが新しいですよね。

UNIQLOはなぜ東京2店目の旗艦店を同じ銀座に出したのか?

ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、「新型コロナウイルスの影響で消費者の生活が大きく変化する中、新しい価値を持つ服を提供したい」と述べていますが、まさにその理念を体現化したような店舗です。

また、ユニクロの夏といえば「エアリズム」。この店舗には、今話題の「エアリズム寝具」の売り場もあります。実際に、大人気のようで、この前私も、ユニクロの販売サイトで買おうとしたところ、「アクセス数多数のためつながりにくくなっております」というくらいの人気です。

加えて、この店のオープンとほぼ同時に発売が開始された「エアリズムマスク」も話題になっていましたよね。その時は、SNSで「マスクを買いに店に並んでいたよね」という投稿もちらほらみられたほど話題になっていました。通気性が良いことに加えて、洗えば複数回使えることもあり、人気になるのはわかりますよね。

柳井正会長兼社長は4月の決算説明会で、「服を作ることが本業だ」と、マスクの販売には慎重だったそうです。しかし、マスク不足は解消されつつあるものの、完全な感染収束はまだまだで、夏でも着用できるマスクの需要は高まっています。また、ユニクロでの展開を求める顧客の声の多さなどを考慮し、販売に乗り出すことにしたということです。

銀座の店舗から学べることは、「そこにしかないもの」を提供することですよね。この場合の「そこにしかない」の意味は、ユニクロでしかできない、ということと、ユニクロの中でも、UNIQLO TOKYOに行かないとないもの、の2つになります。

マーケティングは、「自社だけの売りもの」を作ることから始まります。市場で勝てる売りもの、というもことですよね。差別化ポイント、という言葉をよく聞くかと思いますが、今の製品やサービスを、他社と違うものにする、というアプローチではありません。現行の商品ラインアップに、「ここだけ」「うちの会社だけ」を足すことで、他とは違う価値を生み出しているのです。

エアリズムをはじめとする、品質が高いが手に届く価格、という最大の強みがある売りものがユニクロの武器ですが、それに加えてディスプレイや品揃えを始め、銀座店だけで体験できることが揃っているので、お客様は「行きたい」理由がはっきりする、ということになります。

今の世の中、ものが溢れています。なので、技術や製品の特徴だけで差別化することが、とても難しくなっています。このUNIQLO TOKYOの事例から学べることは、自社だけが提供できる価値を見つけ、自社製品やサービスに加えることで、新しい価値になる、ということ。自社の製品やサービスの参考になりますね。

image by: Shutterstock.com

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