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大丈夫か、楽天モバイル。繰り返す「誤掲載」の謎と拭えぬ不信感

何かとトラブルが続く楽天モバイルですが、今度はシステムメンテナンスを巡る情報が誤掲載されるという問題が発生しました。同社は、なぜこのようなミスを頻繁に犯すのでしょうか。ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で今回、ハッキングの可能性を疑いつつ、「社内の情報管理体制を根本から見直したほうがいい」と提言しています。

楽天モバイルが「大規模メンテナンス」を誤掲載――繰り返される「誤掲載」と「社内連絡ミス」

楽天モバイルは7月17日朝、当日午前8時から午後9時まで大規模なシステムメンテナンスを行うとアナウンスした。対象エリアは北海道、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県の一部自治体。メンテナンス内容はデータ通信、音声通話、SMSの利用ができなくなるというものだ。

筆者を含め、この告知Twitterを見たユーザーがSNS上で騒ぎ出した。「当日、昼間から音声通話とデータ通信が使えなくなるメンテナンスを実施するとは何事だ。しかも直前に告知なんてありえん」という具合だ。

百歩譲って、ホワイト企業として社員が深夜に働かないよう、昼間にメンテナンスするというのは理解しよう。実際、他社でも昼間にメンテナンスしていることも多い。ただ、告知の内容を見ると、朝から晩まで音声通話とデータ通信、SMSが全く使えないと読める。他社であれば、朝から晩のうち、数分程度、使えなくなるかもしれない時間が発生する程度ではないか。楽天モバイルは、これまで完全仮想化により、システムのアップデートも数分間で完了すると幹部が語っていたのに、なぜ13時間も時間を要するのか。

と、SNS上で、あれこれ突っ込まれていたのだが、午前10時ごろになって、楽天モバイルからメンテナンス情報は誤掲載であったという連絡があった。広報部によれば「そもそもメンテナンスの予定などはなかったが、なぜかあのようなページが存在し、なぜかアップされてしまった」という。また「社内の連携ミスも原因」とのこと。

楽天モバイルの「なぜか、あのようなページがあり、勝手にアップされてしまった」というので思い出されたのが、昨年12月、料金プランに関するページが誤掲載された件だ。当時も「表示検証のために作成したページが公開されてしまった」とのことだった。

これほどまで重要な情報が社内の連携ミスで勝手にアップされてしまう状況を鑑みると、社内の情報管理体制を根本から見直したほうがいいのではないか。もしかすると楽天モバイルはハッキングされまくっているのではないか。何度も誤掲載が続くとなると、ハッキングされやすい環境と疑いたくなってくる。もはやキャリアというより、会社組織として大丈夫なのか心配だ。

このご時世で、社員がテレワークで在宅勤務をしているから「社内の連携ミス」が発生しているのか。先日の技適問題も「社内の連携ミス」が原因だった。とはいえ、ユーザーにとって重要な情報が誤掲載されるのは本当に理解に苦しむ。技適問題や今回のメンテナンス騒動など、楽天モバイルは自ら墓穴を掘り、ネガティブなキャンペーンを展開しているように思う。

メディアとしても、どこまで楽天モバイルを信じていいかわからず、今後、楽天モバイルからリリースが出る度に「これは誤掲載ではないのか」と確認作業から始める必要がありそうだ。

日本通信が月額2,480円で音声かけ放題プランを投入――福田社長「確かにリスクはゼロではない」

7月15日、日本通信は月額2,480円で音声通話かけ放題、データ容量3GBがついたプランの提供を開始した。これは、6月30日に総務大臣からの裁定により、データ通信のみならず、音声通話に関しても原価ベースでの調達が可能になったため実現したものだ。

ただし、実際の卸料金の決定はNTTドコモに6ヶ月の猶予が与えられているため、12月末にならないと判明しない。日本通信としては見切り発車的にサービスをスタートさせたことになる。通話定額オプションをそのまま提供を受けるわけではなく、単に卸料金が値下げしただけで音声通話定額の提供に踏み切った。つまり、ユーザーが大量に音声通話をすれば赤字に陥る可能性もあり得るのだ。

日本通信の福田尚久社長は「確かにリスクはゼロではない」という。ただし、卸料金は30秒数円、数円といってもかなり下の方の数円になると予想しており、問題はなさそうだということだ。

今回の裁定により、NTTドコモからの音声通話による卸役務の料金は見直されることになる。日本通信だけの卸料金とは言え、公開情報であるから、いずれ全てのMVNOに適用されることになるだろう。しかし、NTTドコモはこれから、音声通話に関してもMVNOに対しては「すべてのMVNOに接続で提供していきたい。接続であれば平等で公平性もある」(吉澤和弘社長)という。NTTドコモでは、プレフィックス番号を設備側で付与できるよう改修工事を進めており、年内に提供する予定だ。

一方、日本通信はどんな考えなのか。NTTドコモがすべてのMVNOに音声を接続で提供するという意思を示す中、日本通信の福田社長は「将来的に接続ができて、代替案として機能し、卸よりもベターなら接続を考える。今回の大臣裁定が出ても、卸で提供していく義務がNTTドコモにある。卸で続けていくのも選択肢だし、接続が見えて、卸よりベターなら乗り換えていく」という。

果たして、12月にNTTドコモはどんな卸料金を出してくるのか。一方、接続においても、どんな料金設定が登場してくるのか。日本通信にとってみれば、卸料金の設定が重要になってくる。一方で、接続によって他のMVNOはどんな料金を実現できるものなのか。今年12月に向かってMVNO関連の料金が大きく動くことになりそうだ。そこでメインキャリアやサブブランドがどう対抗するかが注目と言えるだろう。

image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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