トランプ大統領は米中戦争に乗り出す
ポンペオ米国務長官は23日、対中国政策について、強権的な手法で影響力を強める中国に「私たちが共産主義の中国を変えなければ、彼らが私たちを変える」と警戒感を表明。行動を改めさせるため、民主主義国家による新たな同盟を構築して対抗すべきだと訴えた。
さらに、国連や北大西洋条約機構(NATO)、主要7カ国(G7)、20カ国・地域(G20)などの国際的な枠組みを列挙し「経済、外交、軍事力を適切に組み合わせれば、脅威に十分対処できる」と述べた。
そして、「今週、我々はヒューストンの中国領事館を閉鎖した。スパイ活動と知的財産窃盗の拠点だったからだ。」と領事館閉鎖の理由を述べている。
その対抗処置として、中国は、成都の米国領事館の閉鎖を要求したので、今後、米中が相手国の公館閉鎖要求を繰り返すことになりそうである。
事実、トランプ米大統領は、中国が対抗処置を取った場合、米国内にある他の中国の在外公館の追加閉鎖も「いつでもあり得る」と言う。
これらのことで、トランプ政権で、ポンペオ国務長官などの強硬派が対中政策を掌握したことが明らかになった。今までは中国の米農産物の買い入れやエネルギー買い入れのために対中強硬派ではなく、ムニューシン財務長官などの対中穏健派が対中政策をリードしてきた。
しかし、トランプ米大統領は、新型コロナウイルスの感染拡大における中国の役割を理由に、中国との貿易合意の意味は私には「はるかに薄れた」との認識を示した。
そして、英ジョンソン首相は「中国びいき」と言い、近年、親中路線を歩んできたが、ファーウェイの5Gシステム向け設備の購入を禁止するなど、米国に同調している。そして、中国が香港への国家安全維持法を施行したことで、香港住民に英市民権付与し、英国への移住を認めるとした。
このように、世界は、米国を取るか、中国を取るかの「二者択一の世界」に巻き込まれている。
豪州政府は、新型コロナの発生源がどこかや、中国の感染初期の対応について、客観的な調査を要求したが、中国は強く反発。中国は、豪州産牛肉の輸入停止、豪州旅行自粛を自国民に通告した。
カナダは、米国の要請を受けて18年12月にファーウェイの孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕して以降、対中関係が悪化している。
インドに対しては、中国はヒマラヤ地域での国境紛争で、インド兵を殺して、インドは対中政策を大きく変化させて、中国製品の使用を中止するとした。このインドと豪州で、豪印防衛協定を結ぶことになっている。
その中国は、インドの保護国であるブータン国境に軍を移動させて、領土要求をして、依然、インドとの関係悪化を深めている。
日本に対しては、尖閣諸島は中国の領土であり、日本漁船の操業を停止しろと要求してきた。
周辺諸国を含む米中対決により、英国は、太平洋に空母を派遣して中国との対決に備える方向である。
しかし、中国対決の前面に立つのが、日本となる。ロシアが南下政策で、その防波堤として日本と英国は日英同盟を結び、その後日露戦争になったように、今後は、中国の南下政策に対して、英国と米国は、日本と同盟関係を結び、台湾侵攻をする中国に対して、防波堤の日本を巻き込んだ「米英台日」対「中」の戦争になる可能性がある。
習近平中国国家主席は、国際的に四面楚歌の状態になっても、国内での失業者の不満があり、海外に突破口を開くしかない状況である。一方、トランプ大統領も11月の大統領選挙で、コロナ対策の失敗などを受けて、支持率が低下して、再選が危ぶまれている。
どちらの指導者も、戦争手前まで緊急を高めて、国内の不満などを愛国心に代えて、自分の地位を守りたいと思っているようだ。
事実、第4次コロナ経済対策と中国総領事館閉鎖要求した時のラスムッセン世論調査では、トランプ大統領の支持率と不支持率が49%vs49%で拮抗と大幅に改善している。
このように支持率を上げようとして、チキンゲーム状態になり下手をすると、米中戦争になってもおかしくない。日本にとっては、最悪なことになる可能性もあり、身構える必要がありそうだ。
さあ、どうなりますか?
image by: 首相官邸