840通りの組み合わせの中から、自分に合った自分だけのフライパンを作ることができる、その名も「フライパン物語」が人気を呼んでいます。大阪の八尾市にある藤田金属が展開するこのサービスを「顧客密着」と高く評価するのは、MBAホルダーの青山烈士さん。青山さんは無料メルマガ『MBAが教える企業分析』で今回、同社のきめ細やかな戦略と戦術を分析・解説しています。
顧客密着のフライパン
今号は、人気のフライパンを分析します。
● 株式会社藤田金属が製造・販売提供しているカスタマイズできるフライパン「フライパン物語」
自分に合ったフライパンを探している方をターゲットに「金属加工の技術」に支えられた「自分の生活にフィットする」「日々の生活が楽しくなる」等の強みで差別化しています。
メリットやデメリットを確認しながら、自分に合った自分だけのフライパンを作る(素材などを選ぶ)プロセスが楽しいことが、購入検討者の背中を後押ししています。
■分析のポイント
「すべてをまかなうフライパンはありません」
これは「フライパン物語」のHPに記載されている言葉ですが、全ての料理に適していて、誰の手にも合うような万能なフライパンは無いということですね。世の中には、様々な高機能なフライパンが存在しますがどのフライパンも得意領域があり、合う方、合わない方がいるということです。
もちろん、ある領域を極めた最高品質のフライパンも魅力的ですが、例えば、肉を焼くのに最高のフライパンがあったとして、肉料理をあまり作らない方にとっては、そのフライパンが自分にとって最高とはならないでしょう。「フライパン物語」が着眼したのは、まさにここでフライパンを使う方にとっての最高、ベストフィットを提供することにフォーカスをあてたのです。
ですが、自分に合ったフライパンとはどんなものか、わかる方は少ないでしょう。だからこそ、「フライパン物語」のHPでは丁寧にサイズや持ち手の意味を伝えているのです。購入検討者が、自分に合ったフライパンを見つけられるようナビゲートしているわけです。
また、「フライパン物語」のHPには
「料理に合わせていくつものフライパンを持つのが理想」
と記載されていますが、自分に合ったフライパンを見つけた方は自分のことを道具にこだわる人間だと感じるようになるでしょうし、料理が楽しくなると、さらにこだわりたくなるものです。そんな時にも840通りからカスタマイズできる「フライパン物語」は心強い味方となってくれるはずです。まさに顧客密着のフライパンと言えますね。
今後の「フライパン物語」ひいては藤田金属の作るフライパンに注目していきたいです。
◆戦略分析
■戦場・競合
- 戦場(顧客視点での自社の事業領域):フライパン
- 競合(お客様の選択肢):高機能なフライパン など
■強み
- 自分の生活にフィットする
素材も、表面の加工も、持ち手の素材も自分にあったものを選ぶことができる - 日々の生活が楽しくなる
料理が楽しくなる
★上記の強みを支えるコア・コンピタンス
- 藤田金属は「長持ち」「優しい」そして「便利」な金属を考える
- 創業以来培ってきた金属加工の技術をフライパンに注ぎこむ
- 国内で、鉄製とアルミ製フライパンの両方を生産しているのは藤田金属のみと思われる
上記のような、考え方や技術が強みを支えています。
■顧客ターゲット
- 日々の生活を楽しみたい方
- 市販のフライパンに満足できない方
- 自分に合ったフライパンを探している方
◆戦術分析
■売り物
「840通りからカスタマイズできるフライパン『フライパン物語』」
フライパンの素材から、表面加工、持ち手やカラーまで選べるあなただけのフライパン
- ステップ1:本体の材質/内面加工を選ぶ
- ステップ2:サイズを選ぶ
- ステップ3:持ち手を選ぶ
- ステップ4:外面カラーを選ぶ
→持ち手に名入れも可能
■売り値
20cmサイズの場合
- 町工場の粋な鉄フライパン20cm:3,300円(税込み)
- 町工場の粋なアルミフライパン20cm 3,300円(税込み)
■売り方
- キャッチコピーは「あなただけのフライパン」
- HPでフライパンのメリットとデメリット明確に伝える
- 全品送料無料の期間限定キャンペーン
■売り場
- 公式Webサイト
※ 売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。
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